このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

News ニュース

ニュース一覧へ

新着一覧へ

ニュース

2021/06/11

術前化学療法後に浸潤性残存病変を認めるTNBCのiDFSでプラチナ製剤はカペシタビンに非劣性も優越性も示せず【ASCO 2021】

森下紀代美=医学ライター

 トリプルネガティブ乳癌(TNBC)で術前化学療法後に浸潤性残存病変を認める患者に対し、術後化学療法におけるプラチナ製剤はカペシタビンと比べて、intrinsic subtype分類に関わらず、浸潤性疾患のない生存期間(iDFS)で非劣性または優越性を示す可能性が極めて低いと考えられることが、フェーズ3のランダム化比較試験ECOG-ACRIN EA1131から示された。術後化学療法におけるカペシタビンの役割が増すことが示唆される結果となった。6月4日から8日にオンラインで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)で、米Vanderbilt UniversityのIngrid A. Mayer氏が発表した。

 TNBCで術前化学療法後に浸潤性残存病変を認める患者は、再発のリスクが非常に高いが、術後化学療法のカペシタビンで減少することがCREATE-X試験から報告されている(N. Masuda, et al. N Engl J Med 2017;376:2147-59)。また、前臨床モデルでは、TNBCのbasal-like型でプラチナ製剤の使用を裏付けるデータが示されている(W. M. Sikov, et al. JCO 2015;33:13-21、G.von Minckwitz, et al.Lancet Oncol 2014;15:747-56)。

 EA1131試験では、basal-like型のTNBCで術前化学療法後に残存病変を認める患者において、術後化学療法としてのカペシタビンとプラチナ製剤をiDFSで比較することとした。

 対象は、診断時に臨床病期II/III期のTNBCで、タキサン±アンスラサイクリンを含む術前化学療法を行い、切除標本で1cm以上の残存病変(pTc1以上、any pN)を認める患者。TNBCのサブタイプ(basal-like型 vs. non-basal-like型)は切除標本を用いてPAM50で解析した。プラチナ製剤を投与する群(カルボプラチンAUC 6またはシスプラチン75mg/m2を3週毎に4サイクル投与)、またはカペシタビンを投与する群(1000mg/m2を14日間投与、7日間休薬を3週毎、6サイクル)に、患者を1対1でランダムに割り付けた。主要評価項目はiDFS、副次的評価項目は全生存期間(OS)、無再発生存期間(RFS)、有害事象、basal-like型の分布、non-basal-like型のiDFSだった。

 試験は非劣性デザインで優越性も検証するハイブリッドデザインとし、最初に非劣性を検証した。帰無仮説におけるハザード比の非劣性マージンは1.154、対立仮説におけるハザード比の非劣性マージンは0.754とした。

 2021年1月に5回目の中間解析が行われ、プラチナ製剤のカペシタビンに対するハザード比は1.09(95%信頼区間:0.62-1.90)、条件付検出力は6%となった。データ安全性モニタリング委員会(DSMC)は2021年3月25日、プラチナ製剤の非劣性または優越性が示される可能性は低く、グレード3または4の毒性はプラチナ製剤で多いことから、試験の中止を勧告した。

 この試験には2015年から2020年までに410人が登録され、データカットオフ日は2021年4月7日、主要解析の対象となるbasal-like型のTNBCは308人登録された。観察期間中央値は20カ月、iDFSのイベントは120件発生し、このうち93件は遠隔転移、15件は局所再発だった。プラチナ製剤の早期中止の主な理由は有害事象、カペシタビンの早期中止の主な理由は増悪だった。

 basal-like型のTNBC患者308人のうち、プラチナ製剤を投与する群(プラチナ群)は148人、カペシタビンを投与する群(カペシタビン群)は160人となった。患者背景と腫瘍の特性は両群でバランスがとれていた。

 3年時のiDFS率は、プラチナ群42%(95%信頼区間:30-53)、カルボプラチン群49%(95%信頼区間:39-59)、プラチナ群のカルボプラチン群に対するハザード比は1.06(95%繰り返し信頼区間:0.62-1.90)となった。

 3年時のiDFS率をintrinsic subtype分類でみると、basal-like型では45.8%(95%信頼区間:38.1-53.2)、non-basal-like型で55.5%(95%信頼区間:38.6-69.5)、ハザード比は1.71(95%信頼区間:1.10-2.67)となった。さらに3年時のiDF率を治療とintrinsic subtype分類でみると、basal-like型のプラチナ群では42%(95%信頼区間:30-53)、カペシタビン群では49%(95%信頼区間:39-59)、ハザード比1.06(95%信頼区間:0.62-1.81)、non-basal-like型のプラチナ群では46%(95%信頼区間:25-65)、カペシタビン群では69%(95%信頼区間:45-83)、ハザード比1.94(95%信頼区間:0.69-5.45)となった。

 3年時のRFS率は、プラチナ群46%(95%信頼区間:35-57)、カペシタビン群49%(95%信頼区間:39-59)、ハザード比0.99(95%信頼区間:0.67-1.45)となった。3年時のOS率は、プラチナ群58%(95%信頼区間:45-68)、カペシタビン群66%(95%信頼区間:56-74)、ハザード比1.13(95%信頼区間:0.71-1.79)となった。

 予定した治療サイクル数を完了したのは、プラチナ群82.2%、カペシタビン群78.7%だった。用量の調整を要したのはそれぞれ52.4%、73.2%、減量を要したのはプラチナ群の41.6%だった。グレード3または4の主な有害事象は、プラチナ群では貧血が7%、白血球減少症が10%、カペシタビン群では下痢が6%、手掌足底発赤知覚不全症候群が5%に観察された。グレード5の毒性は発現しなかった。

この記事を友達に伝える印刷用ページ