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2021/06/11

HR陽性HER2陰性早期乳癌で内分泌療法の反応により化学療法追加の必要性が判断できる可能性【ASCO 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の早期乳癌において、リンパ節転移(N)とOncotype DXによる再発スコア(RS)、Ki67で評価した内分泌療法の反応は予後予測に有用であり、N0-1/RS12-25の患者では化学療法の追加の必要性も判断できることが、West German Study Group(WSG)によるフェーズ3試験のADAPT HR+/HER2-試験の内分泌療法および化学療法コホートの解析結果で示された。

 ドイツEv. Hospital Bethesda, Breast Center NiederrheinのOleg Gluz氏らが、6月4日から8日にオンラインで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)で発表した。

 ADAPT HR+/HER2-試験は、18歳以上の女性、エストロゲン受容体(ER)陽性および/またはプロゲステロン受容体(PR)陽性、HER2陰性の片側早期乳癌で、cT1-T4c、cN0-3の患者を対象に行われた。治療前にOncotype DXによる再発スコア(RS)とKi67が測定された。導入期に3週間(+/-1週間)の標準的な内分泌療法(閉経後の患者には主にアロマターゼ阻害薬、閉経前の患者にはタモキシフェン)が行われた。

 このうちc/pN2-3の患者、またはグレード3かつKi67が40%超で腫瘍径が1cm超の患者、またはRSが25超の患者は、高リスクとして、化学療法の試験に無作為に割り付けられた。一方、pN0-1でRSが0-11の患者、またはpN0-1でRSが12-25かつ内分泌療法後のKi-67が10%以下の患者は内分泌療法のみで治療された。

 主要評価項目は、浸潤癌のない生存期間(iDFS)、副次評価項目は、遠隔転移のない生存期間(dDFS)と全生存期間(OS)だった。

 今回は初めて化学療法コホートの結果が報告された。

 試験全体で5625人が登録し、化学療法のコホートは2331人で、年齢中央値は51.0歳、50歳以下が48.4%を占めた。N2-3の患者が16.8%、RSが12-25の患者が39.3%、RS 25超の患者が41.4%、グレード3が46.8%、内分泌療法後にKi67が10%超の患者が53.4%だった。観察期間中央値は58カ月(0-84カ月)だった。

 化学療法コホートでは、2週おきにパクリタキセルを4回投与し、EC療法(エピルビシン、シクロホスファミド)を4回行う群と、週に1回nab-パクリタキセルを8回投与し、EC療法を4回行う群に分けられた。2群を比較した結果は今後報告される。

 化学療法と内分泌療法のコホートにおいて、単変量解析の結果、iDFSの予後因子として、リンパ節転移の有無、腫瘍の大きさ、内分泌療法後のKi67値、RSが有意であった。

 化学療法と内分泌療法のコホートで、N0-1かつRS12-25の患者において、内分泌療法の反応で分けると、内分泌療法後のKi67が10%以下で内分泌療法のみが行われた患者では、5年iDFS率は93%(95%信頼区間:91-94)だった。Ki67が10%超で化学療法も行なった患者では、5年iDFS率は90%(95%信頼区間:87-92)であった(ログランク検定p=0.213)。

 同様にdDFSは、Ki67が10%以下で内分泌療法のみだった患者で、5年dDFS率は96%(95%信頼区間:94-97)、Ki67が10%超で化学療法も行なった患者は93%(95%信頼区間:90-95)だった(ログランク検定p=0.050)。

 またこの集団(N0-1かつRS12-25)でdDFSを年齢別に見ると、50歳以下の患者では、Ki67が10%以下で内分泌療法のみだった患者の5年dDFS率は97%(95%信頼区間:94-99)、Ki67が10%超で化学療法も行なった患者の5年dDFS率は92%(95%信頼区間:89-95)であった(ログランク検定p=0.032)。

 一方、50歳超の患者では、Ki67が10%以下で内分泌療法のみだった患者の5年dDFS率は95%(95%信頼区間:93-96)、Ki67が10%超で化学療法も行なった患者の5年dDFS率は94%(95%信頼区間:88-97)であった(ログランク検定p=0.533)。

 なお50歳以下の患者で、内分泌療法に反応した患者は42.5%だが、50歳超の患者で内分泌療法に反応した患者は81.6%だった。

 またN0-1かつRS12-25の患者において、化学療法のコホートでは、多変量解析の結果、RS、リンパ節転移(N1とN0)、腫瘍の大きさ(T2以上とT2未満)は、iDFSおよびdDFSと関連していたが、年齢、グレード、ER、PR、ベースラインのKi67は予後との関連は示されなかった。

 次に化学療法のコホートにおいて、N2-3の患者で、RS別のdDFSは、RS 0-11の患者では5年dDFS率が94%(95%信頼区間:77-98)、RS 12-25の患者では76%(95%信頼区間:67-83)、RS 25超の患者では69%(95%信頼区間:53-81)であった。多変量解析では、RSとリンパ節転移(N3とN2)はdDFSに有意に関連することが示された。

 また化学療法のコホートにおいて、RSが25超の患者で、内分泌療法の反応で分けると、Ki67が10%以下では5年dDFS率は88%(95%信頼区間:80-93)、Ki67が10%超では81%(95%信頼区間:76-86)だった(ログランク検定p=0.047)。多変量解析で、内分泌療法後のKi67、腫瘍の大きさがdDFSに関連することが示された。

 以上の結果から、腫瘍の大きさ、リンパ節転移、ベースラインおよび内分泌療法後のKi67、RSは予後に影響を与えるが、年齢やグレードは関連しないとした。

 また内分泌療法の反応は、ルミナール早期乳癌において予後を示す重要な情報であり、N0-1/RS12-25の患者では化学療法の使用の意思決定に役立ち、またRS25超で化学療法を行う患者においても予後の予測に有用であるとした。特に50歳以下のN0-1/RS12-25患者では、内分泌療法の反応によって、内分泌療法単独で良好な予後が得られる患者を同定できるとした。

 WSGでは、化学療法の代わりに内分泌療法ベースの治療を行うADAPT cycle試験を開始しているという。術前・術後補助化学療法の適応のある患者を対象に、リンパ節、RS、Ki67でリスク層別化し、CDK4/6阻害薬Ribociclibとアロマターゼ阻害薬の併用療法もしくは化学療法が行われる。

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