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2021/06/11

化学放射線療法後に化学療法を追加しても局所進行子宮頸癌のOSとPFSの改善は見られず【ASCO 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 局所進行子宮頸癌の初回治療として、標準治療である化学放射線療法(CRT)後に、化学療法を追加しても、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)は改善しないことが、無作為化フェーズ3試験のOUTBACK試験(ANZGOG 0902、RTOG 1174、NRG 0274)で明らかになった。

 オーストラリアPeter MacCallum Cancer CentreのLinda R. Mileshkin氏らが、6月4日から8日にオンラインで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)のプレナリーセッションで発表した。

 局所進行子宮頸癌に対する標準治療は、シスプラチンを用いた同時CRTであるが、再発する患者は多く、子宮頸癌による死亡のほとんどは遠隔転移によるものだった。過去の試験で、シスプラチンとゲムシタビンを用いたCRTおよび術後補助療法は、シスプラチンベースの同時CRTに比べ、3年PFS率と3年OS率で9%の上乗せが報告されていた(J Clin Oncol.2011)。しかし観察期間が1年と短く、また毒性の増加が問題とされた。

 そこでGynecologic Cancer Inter Group(GCIG)は、CRT後に化学療法を追加することの生存への影響を確認するため、国際無作為化フェーズ3試験のOUTBACK試験を実施した。

 試験には、ANZGOG(オーストラリア、ニュージーランド)、NRG(米国、サウジアラビア、カナダ、中国)、シンガポールが参加した。適格基準は、根治目的のCRTが適応となる局所進行の子宮頸癌で、臨床進行期分類(FIGO 2008)ステージIB1かつリンパ節転移陽性、IB2、II、IIIB、IVA、およびECOG PS 0-2、扁平上皮癌、腺癌、腺扁平上皮癌の患者。

 患者を、シスプラチンを用いた標準的なCRTを行う群(CRT群)、またはシスプラチンを用いたCRT後に、カルボプラチンとパクリタキセルを4サイクル投与する群(CRT+補助化学療法群)に無作為に割り付けた。またリンパ節転移の有無、拡大放射線療法の必要性、FIGO分類、年齢、施設/地域で層別化された。

 主要評価項目はOS、副次的評価項目はPFSと有害事象、再発形式、放射線療法の遵守などであった。

 CRTでは、骨盤に40-45Gy/20-25分割の外部照射、および必要に応じてリンパ節にブースト照射を行い、さらに小線源治療を行なった。また放射線療法の間にシスプラチン40mg/m2が週1回投与された。術後化学療法は、CRT後に、カルボプラチンAUC 5とパクリタキセル155mg/m2を3週おきに4サイクル投与した。

 試験は当初780人の登録を予定していたが、途中でプロトコールが変更された。補助化学療法を行わない患者がいること、予想よりも再発率が低かったことを考慮し、5年時点のOS率が補助化学療法の追加で72%から80%に改善することを検出するため、検出力80%、両側検定αは5%と設定して、サンプルサイズは900人となった。

 2011年4月から2017年6月までに登録された患者926人のうち、適格基準を満たした919人を解析対象とした。CRT群が456人、CRT+補助化学療法群が463人で、361人(78%)で補助化学療法が開始されたが、22%の患者は補助化学療法を受けなかった。観察期間の中央値は5年だった。

 2群の患者背景はバランスがとれていた。年齢中央値はCRT群45歳、CRT+補助化学療法群46歳だった。リンパ節転移のない患者が両群とも半数を占めた。8割が扁平上皮癌で、最大腫瘍径の中央値は5.0cmだった。

 CRTにおいてシスプラチン投与を5サイクル受けた患者が84%と83%で、CRTが完了した患者が2群とも77%だった。補助化学療法は4サイクルの治療ができたのは全体の62%で、補助化学療法を開始した患者の約8割を占めた。

 研究グループの以前の報告で、CRT+補助化学療法群において、60歳以上の女性、白人以外、CRTを完了していない患者では、補助化学療法を開始しない確率が高いことがわかっている。

 今回の解析で、5年時点のOS率は2群でほぼ同じだった。5年OS率がCRT群71%、CRT+補助化学療法群72%で、OSハザード比は0.90(95%信頼区間:0.70-1.17)、p=0.8であった。2群ともOS中央値には達していない。

 5年時点のPFSも2群でほぼ同等だった。5年PFS率がCRT群61%、CRT+補助化学療法群63%で、PFSハザード比は0.86(95%信頼区間:0.69-1.07)、p=0.6であった。

 サブグループ解析で、どのサブグループでも2群のOSとPFSに違いはなかった。ただし年齢のサブグループでは、60歳以上でOSとPFSはCRT群のほうが良好で、交互作用のp値がOSは0.01、PFSは0.03であった。

 また再発形式も2群で類似していた。3分の2の患者は再発しておらず、局所再発はCRT群7%、CRT+補助化学療法群10%だった。

 有害事象は、CRT+補助化学療法群で血液毒性や脱毛、疲労感、筋肉痛、神経障害が多く見られた。発熱性好中球減少症は両群とも2%だった。治療に関連した死亡はなかった。1年以降で2群の違いは末梢神経障害のみで、グレード2の感覚性の神経障害がCRT群2%、CRT+補助化学療法群7%だった。

 QOLはQLQ-C30で評価された。CRT+補助化学療法群で、術後化学療法中およびその後3-6カ月はQOLが低下したが、12カ月から36カ月には2群間に違いはなかった。

 感度分析で、CRTを完了した患者と完了しなかった患者における術後化学療法の効果が比較された。CRTが完了した患者で、5年OS率がCRT群71%、CRT+補助化学療法群74%で、OSハザード比は0.81(95%信頼区間:0.60-1.08)、p=0.15であった。CRTが完了しなかった患者で、5年OS率がCRT群73%、CRT+補助化学療法群64%で、差は-9.2%で、OSハザード比は1.32(95%信頼区間:0.77-2.25)、p=0.32であった。交互作用のp値は0.11だった。

 またPFSでは、CRTが完了した患者で、5年PFS率がCRT群62%、CRT+補助化学療法群66%で、4.8%の差があり、PFSハザード比は0.78(95%信頼区間:0.60-1.00)、p=0.05であった。CRTが完了しなかった患者で、5年PFS率がCRT群60%、CRT+補助化学療法群51%で、差は-8.6%で、PFSハザード比は1.16(95%信頼区間:0.75-1.80)、p=0.49であった。しかし交互作用のp値は0.12だった。

 これらの結果から、試験の強みは、サンプル数が多く、無作為化され、CRTが遵守されていたこと、多施設での共同研究であったことを挙げた。試験の限界としては、CRTの前に無作為化したこと、術後化学療法が22%の患者で開始されなかったこと、予想よりもアウトカムが良好だったこと、高所得の国に限っていたこと、CRTの遵守についての感度分析にバイアスがあった可能性を挙げた。

 結論として、局所進行の子宮頸癌女性において、標準的なシスプラチンベースCRT後に、補助化学療法を行なってもOSとPFSは改善しなかったとし、今後はより忍容性や有効性がある術後治療に焦点をあてるべきだろうとした。

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