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2021/06/10

EGFR変異陽性NSCLCの術後補助療法としてのゲフィチニブは化学療法よりDFSとOSを有意に延長できず【ASCO 2021】

横山勇生=編集委員

 II期からIII期のEGFR変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対して、完全切除後の術後補助療法としてゲフィチニブを投与することは、シスプラチン+ビノレルビンを投与した場合に比べて早期の再発抑制傾向はあるが無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)を有意に延長できないことが明らかとなった。ただし、DFSとOSは非劣性であり、またシスプラチン+ビノレルビン投与が不適の患者集団にゲフィチニブを用いることができる可能性も示唆された。日本で実施された無作為化フェーズ3試験であるIMPACT試験(WJOG6410L試験)の結果示された。

 6月4日から8日にオンラインで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)で、吹田徳洲会病院の多田弘人氏が発表した。

 IMPACT試験は、II期からIII期の非小細胞肺癌を完全切除した後のEGFR変異陽性(del19またはL858R)患者を対象に、ゲフィチニブの術後補助化学療法としての再発抑制効果ついて、シスプラチン+ビノレルビン併用の術後補助化学療法に対する優越性をDFSを指標として検証した試験。患者はゲフィチニブ投与群(手術後250mgを1日1回2年間投与)とシスプラチン+ビノレルビン群(手術後3週間を1コースとして、1日目にシスプラチン80mg/m2、1日目と8日目にビノレルビン25mg/m2を投与。4コース実施)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はITTにおける中央判定でのDFSで、副次評価項目はOS、安全性と忍容性、再発パターンだった。

 試験には2011年9月から2015年12月までに234人が割り付けられた。ゲフィチニブ群の2人は同意撤回があったためITTから外された。ゲフィチニブ群(116人)とシスプラチン+ビノレルビン群(116人)の患者背景に差はなかった。両群とも女性が6割を占め、年齢中央値は64歳だった。喫煙歴がなかった人はゲフィチニブ群が58.6%、シスプラチン+ビノレルビン群が63.8%だった。IIA期はゲフィチニブ群が31.0%、シスプラチン+ビノレルビン群が32.8%、IIIA期はゲフィチニブ群が61.2%、シスプラチン+ビノレルビン群が62.9%だった。

 ゲフィチニブ群で投与を完了したのは61.2%、シスプラチン+ビノレルビン群は77.6%だった。治療関連死はゲフィチニブ群ではなかったが、シスプラチン+ビノレルビン群で3件起きた。

 試験の結果、観察期間中央値70.1カ月で、DFS中央値はゲフィチニブ群が35.9カ月(95%信頼区間:30.0-47.7)、シスプラチン+ビノレルビン群が25.0カ月(95%信頼区間:17.7-41.8)で、ゲフィチニブ群の方が長かった。しかし、カプランマイヤー曲線は最初はゲフィチニブ群が上にあったが術後4年程度で交差しており、ハザード比0.92、p=0.63で有意な差ではなかった。2年DFS率はゲフィチニブ群が63.7%、シスプラチン+ビノレルビン群が52.3%、5年DFS率はゲフィチニブ群が31.8%、シスプラチン+ビノレルビン群が34.1%だった。DFSのサブグループ解析で、ゲフィチニブ群で有意に良好なグループはなかった。

 OS中央値は両群とも未到達だったが、5年生存割合はゲフィチニブ群が78.0%、シスプラチン+ビノレルビン群が74.6%で、ハザード比1.03、p=0.89で有意な差はなかった。ただし、サブグループ解析で、70歳以上の患者(46人)のハザード比は0.314(95%信頼区間:0.101-0.981)、70歳未満の患者(186人)のハザード比1.438(95%信頼区間:0.844-2.450)で、交互作用のp=0.018でゲフィチニブ群の方が良い結果を示していた。

 再発パターンは、局所再発については両群で差はなかったが、遠隔再発については、脳がゲフィチニブ群で26件、シスプラチン+ビノレルビン群が14件とゲフィチニブが多かった。

 後治療でTKIを投与されていたのは、ゲフィチニブ群が67%(65人中47人)、シスプラチン+ビノレルビン群が93%(62人中58人)だった。

 副作用に関する新たな問題は認められず、血液毒性はシスプラチン+ビノレルビン群で多く、肝毒性と皮膚毒性はゲフィチニブ群で多かった。

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