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2021/06/08

再発・難治性B細胞急性リンパ性白血病にCD19標的CAR-T細胞療法KTE-X19は高い効果と安全性を示す【ASCO 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 再発・難治性B細胞急性リンパ性白血病(ALL)に対し、CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法のKTE-X19は、高い効果を示し、副作用も管理可能であることが、フェーズ1/2試験であるZUMA-3試験のフェーズ2部分の解析結果で明らかになった。

 米Moffitt Cancer CenterのBijal D. Shah氏らが、6月4日から8日にオンラインで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)で発表した。

 ZUMA-3試験のフェーズ1部分において、KTE-X19投与の安全性は確認され、フェーズ2試験の推奨用量は1×106 CAR-T細胞/kgと決定された。また完全寛解率が全患者で69%、1×106 CAR-T細胞/kg群では83%であった(Shah BD, et al. Blood 2021)。

 ZUMA-3試験のフェーズ2部分は、18歳以上の再発・難治性B細胞ALLで、骨髄芽球が5%超、ECOG 0-1の患者を対象に行われた。ブリナツモマブ投与歴のある患者も含まれた。前処置の化学療法は、フルダラビン25mg/m2をKTE-X19投与の4日、3日、2日前に投与し、シクロホスファミド900mg/m2を2日前に投与した。KTE-X19は1×106 CAR-T細胞/kgを単回投与した。

 主要評価項目は、中央審査による完全寛解(complete remission:CR)および血球数の回復は不十分な完全寛解(CRi)の割合とした。重要な副次評価項目は、微小残存病変(MRD)陰性率、寛解期間(DOR)、無再発生存期間(RFS)、全生存期間(OS)、安全性などだった。

 登録された71人のうち、55人にKTE-X19が投与された。2020年9月9日時点で、観察期間中央値は16.4カ月(10.3-22.1カ月)であった。KTE-X19は71人中65人(92%)で作製に成功し、白血球除去からKTE-X19投与までの期間中央値は米国患者で13日、欧州の患者で14.5日であった。

 55人の年齢中央値は40歳(19-84歳)、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性が27%、スクリーニング時の骨髄芽球中央値は65%(5-100%)だった。47%の患者が3回以上の前治療を受けており、ブリナツモマブによる治療を受けた患者は45%、イノツズマブ・オゾガマイシンは22%、同種造血幹細胞移植(allo-SCT)を受けた患者は42%であった。

 この結果、KTE-X19の投与でCR/CRiは39人に認められ、CR/CRi率は70.9%で、主要評価項目を達成した。CR率は56.4%、CRi率は14.5%だった。初回CR/CRiまでの期間中央値は1.1カ月(0.85-2.99カ月)だった。効果のあった患者でのMRD陰性率は97%であった(1人は検体が得られなかった)。

 サブグループ解析でも、年齢や治療歴、再発あるいは難治のサブグループで、全体としてCR/CRi率は良好で、70%前後であった。しかしベースラインの骨髄芽球が75%以上の患者ではCR/CRi率は低かった。

 KTE-X19治療後にallo-SCTを受けた時点で打ち切った場合、CR/CRi患者におけるDOR中央値は12.8カ月(95%信頼区間:8.7-評価できず[NE])だった。allo-SCTを受けた時点で打ち切らなかった場合も、DOR中央値は12.8カ月(95%信頼区間:9.4- NE)だった。

 CR/CRiが得られた患者39人中12人(31%)では、allo-SCT含む次治療を受けることなく、寛解は持続した。9人(23%)はKTE-X19治療後にallo-SCTを受け、5人(13%)は別の抗癌剤治療を受けた。12人(31%)は再発し、1人(3%)は死亡した。

 OS中央値は、全患者で18.2カ月(95%信頼区間:15.9-NE)だった。CR/CRi患者でのOS中央値は到達せず(95%信頼区間:16.2-NE)、CR/CRiが得られなかった患者では2.4カ月(95%信頼区間:0.7-NE)だった。

 RFS中央値は、全患者で11.6カ月(95%信頼区間:2.7-15.5)、CR/CRi患者では14.2カ月(95%信頼区間:11.6-NE)であった。

 安全性については管理可能で、有害事象は全体に可逆的であった。グレード3以上の有害事象は95%の患者に認められ、主に貧血(49%)と発熱(36%)であった。グレード5の有害事象は10人で、4人はALL、2人はKTE-X19関連であった(脳ヘルニア、敗血症性ショック)。3人は別の抗癌剤治療後に発生し(真菌性肺炎、敗血症、呼吸不全)、1人はKTE-X19とは関連しない肺炎であった。

 サイトカイン放出症候群(CRS)は89%に認められ、グレード3以上は24%、グレード5のCRSはなかった。主な症状は発熱と低血圧で、CRS発生までの期間中央値は5日、CRSの持続期間中央値は7.5日だった。神経毒性は60%に見られ、グレード3以上は25%だった。主な症状は振戦と錯乱状態で、発生までの期間中央値は9日、持続期間中央値は7日だった。

 CR/CRiが得られた患者では血中のCAR-T細胞のピーク値は高く、MRD陰性患者ではMRD陽性患者よりも高かった。またグレード2以上のCRS、グレード3以上の神経毒性が見られた患者ではCAR-T細胞のピーク値は高かった。KTE-X19投与からCAR-T細胞ピーク値までの期間中央値は15日(7-32日)だった。

 治療効果が続いていた12人のうち、12カ月時点で評価できた10人では全員がB細胞は回復し、CAR-T細胞が検出されたのは1人のみだった。

 以上の結果から、治療歴の多い再発・難治性B細胞ALL患者に対し、観察期間中央値16.4カ月で、KTE-X19単回投与は高い効果と持続的な効果を示したとした。

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