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2021/06/08

進行NSCLCでTPS 1-49%の患者のほとんどのサブグループで化学療法+IOがIO単剤よりもOSとPFSを延長、FDAの探索的な統合解析【ASCO 2021】

森下紀代美=医学ライター

 進行非小細胞肺癌(NSCLC)でPD-L1の腫瘍細胞における陽性率(TPS)が1-49%の患者の1次治療として、抗PD-1/PD-L1抗体と化学療法の併用療法は、免疫療法薬(IO)の単剤療法と比べて、65-74歳、ECOG PS 1などを含むほとんどのサブグループで全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を延長する可能性があることが、米食品医薬品局(FDA)の探索的な統合解析から示された。ただし、75歳以上の患者は治療選択肢にかかわらず同様の転帰となった。6月4日から8日にオンラインで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)で、FDAのOladimeji Akinboro氏が発表した。

 IO+化学療法±血管新生阻害薬は、転移を有するNSCLCに対しFDAが承認した1次治療であり、IOの単剤療法はPD-L1陽性のNSCLCのみに承認されている。TPS 1-49%の患者には多くの治療選択肢があるが、どのようなサブグループで治療レジメンのベネフィットが得られるかはほとんどわかっていない。

 今回の解析では、進行NSCLC患者の1次治療として、IOの単剤療法および化学療法+IOで抗PD-1/PD-L1抗体を評価したランダム化比較試験8件のデータを統合した。PD-L1の陽性率は、免疫染色による腫瘍細胞における割合と定義し、陽性率が1-49%の腫瘍を有する患者を対象とした。腫瘍浸潤免疫細胞の染色は行わなかった。EGFRやALKの遺伝子変異は除外した。化学療法+IOを行った患者、IOの単剤療法を行った患者でOSとPFSを比較した。サブグループは、年齢(65歳未満、65-74歳、75歳以上)、ECOG PS(0、1以上)、喫煙状態(非喫煙者、現/元喫煙者)で分類した。

 1次治療の化学療法+IOとIO単剤療法に対しFDAの承認を裏付けた試験は、IOの単剤療法ではKEYNOTE-042試験、CheckMate-227試験、化学療法+IOではKEYNOTE-189試験、KEYNOTE-407試験、KEYNOTE-021試験(コホートG)、IMPOWER-150試験、IMPOWER-130試験、CA2099LA試験だった。

 これら8件の試験から、NSCLCでTPS 1-49%の患者2108人を特定した。このうち化学療法+IOを受けた患者は639人(化学療法+IO群)、IOの単剤療法を受けた患者は529人(IO群)だった。化学療法を受けた患者は940人だった。

 全対象の患者背景は、65-74歳は37%、75歳以上は12%、女性は33%、白人は79%、ECOG PS 1以上は65%、非扁平上皮癌は68%、現/元喫煙者は85%だった。化学療法+IO群では、白人(88%)、現/元喫煙者(91%)、非扁平上皮癌(77%)の割合が上回っていた。

 観察期間中央値は12.1カ月だった。探索的な解析の結果、OS中央値は、化学療法+IO群21.4カ月(95%信頼区間:19.4-25.2)、IO群14.5カ月(95%信頼区間:12.2-16.9)、ハザード比0.68(95%信頼区間:0.52-0.90)となり、化学療法+IO群で延長した。

 PFS中央値は、化学療法+IO群7.7カ月(95%信頼区間:7.1-8.4)、IO群4.2カ月(95%信頼区間:4.0-4.9)、ハザード比0.60(95%信頼区間:0.48-0.76)となり、化学療法+IOで延長した。

 OSについて、年齢のサブグループでみると、化学療法+IO群とIO群のOS中央値は、65歳未満でそれぞれ23.7カ月、IO群16.1カ月、ハザード比0.63(95%信頼区間:0.43-0.92)、65-74歳でそれぞれ22.5カ月、14.8カ月、ハザード比0.61(95%信頼区間:0.38-0.97)、75歳以上でそれぞれ13.9カ月、10.3カ月、ハザード比0.95(95%信頼区間:0.42-2.14)となった。75歳以上の患者では差がないことが示された。

 ECOG PSのサブグループでみると、化学療法+IO群とIO群のOS中央値は、ECOG PS 0の患者でそれぞれ25.2カ月、20.0カ月、ハザード比0.65(95%信頼区間:0.38-1.10)、ECOG PS 1の患者でそれぞれ16.8カ月、11.0カ月、ハザード比0.68(95%信頼区間:0.50-0.94)となった。

 喫煙の状態のサブグループでみると、化学療法+IO群とIO群のOS中央値は、現/元喫煙者でそれぞれ20.8カ月、13.5カ月、ハザード比0.68(95%信頼区間:0.51-0.91)、非喫煙者でそれぞれ28.2カ月、18.0カ月、ハザード比0.57(95%信頼区間:0.22-1.46)となった。

 PFSについて、年齢のサブグループでみると、化学療法+IO群とIO群のPFS中央値は、65歳未満でそれぞれ7.1カ月、4.0カ月、ハザード比0.55(95%信頼区間:0.40-0.76)、65-74歳でそれぞれ9.5カ月、4.5カ月、ハザード比0.60(ハザード比0.40-0.88)、75歳以上でそれぞれ6.4カ月、4.9カ月、ハザード比0.85(95%信頼区間:0.42-1.71)となった。PFSも、75歳以上の患者では差がなかった。

 ECOG PS のサブグループでみると、化学療法+IO群とIO群のPFS中央値は、ECOG PS 0の患者でそれぞれ9.6カ月、5.8カ月、ハザード比0.57(95%信頼区間:0.38-0.86)、ECOG PS 1以上の患者でそれぞれ7.0カ月、4.0カ月、ハザード比0.65(95%信頼区間:0.49-0.86)となった。

 喫煙の状態のサブグループでみると、化学療法+IO群とIO群のPFS中央値は、現/元喫煙者でそれぞれ7.6カ月、4.2カ月、ハザード比0.62(95%信頼区間:0.49-0.80)、非喫煙者でそれぞれ8.1カ月、4.1カ月、ハザード比0.44(95%信頼区間:0.21-0.92)となった。

 今回の解析について、Akinboro氏は、後ろ向きの探索的な統合解析であること、臨床試験の対象はFDAが承認したレジメンで治療した実地臨床の患者を反映していないことなど、複数の限界を挙げている。

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