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2021/05/10

HER2陽性進行乳癌へのT-DXd投与で起こる間質性肺疾患は早期発見と適切な管理で高グレード化を予防【ESMO BREAST 2021】

横山勇生=編集委員

 既治療HER2陽性進行乳癌への抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカンT-DXd、DS-8201)の副作用として注目されている間質性肺疾患ILD)は、早期に発見して適切な管理をすることで高グレード化を防げることが明らかとなった。またILDの発症は、投与開始から時間が経つにつれて減少し蓄積毒性はないことも示唆された。フェーズ1試験とフェーズ2試験で、HER2陽性進行乳癌に承認された用量でT-DXdが投与された患者のデータを独立審査委員会が解析した結果示された。

 5月5日から8日まで開催されたESMO BREAST CANCER VIRTUAL CONGRESS(ESMO BREAST 2021)で、米Mount Sinai HospitalのCharles A. Powell氏が発表した。

 T-DXdは、多施設共同のフェーズ2試験DESTINY-Breast01試験で既治療の進行HER2陽性乳癌患者に対し高い抗腫瘍効果を示すこと明らかとなり、日米欧で承認されている。

 2015年から2018年に患者登録が行われた2件のフェーズ1試験であるJ101試験(NCT02564900)とA104試験(NCT03383692)、DESTINY-Breast01試験において、HER2陽性進行乳癌に対して承認用法・用量である3週おきにT-DXd 5.4mg/kgの単剤投与を受けた患者の画像、臨床データを独立審査委員会がレトロスペクティブに解析した。そして2020年6月8日(データカットオフ)までの観察期間で薬剤関連と判定された結果が報告された。

 なお、T-DXdのILDに関する審査委員会は2017年11月に設置され、2018年第1四半期に臨床使用のガイドラインが出された。2019年6月からILDについて認知を広めるキャンペーンが開始され、2019年12月にステロイド使用の推奨を含むILDの毒性管理ガイドラインのアップデートが行われた。

 解析の対象となったのは、多くの治療歴を有するHER2陽性進行乳癌患者245人のデータ。フェーズ1試験から61人、フェーズ2試験から184人のデータが集められた。年齢中央値が56.0歳(28-96)、日本人が23.7%、ECOG PS 1が42.4%、前治療数中央値が7.0(2-27)だった。治療期間の中央値は9.7カ月(0.7-40.3)。

 解析の結果、38人(15.5%)が薬剤関連のILDを起こしたと判定された。ほとんどのILDはグレード1/2で30人に発現、ILDを起こした患者の79%を占めた。グレード3とグレード4のILDは1人(0.4%)ずつで、グレード5が6人(2.4%)に起きた。42%の患者で12カ月以上の投薬が行われていたが、38人中37人(97%)が投与開始から12カ月までに最初のILDを起こし、12カ月を超えて投与された患者で新たにILDを起こすリスクは低かった。

 ILDの発現時期について、独立審査委員会の評価と研究グループの評価を比較したところ、一致したのは44件中15件(34.1%)で、44件のうち27件(61.4%)は独立審査委員会が研究グループの報告よりもより早期にILDを発現していたと判定、適切な時期に検査することの重要性を指摘した。判定時期の差の中央値は52.0日(1-288)だった。

 グレード2-4のILDイベント24件のうち14件(58.3%)、グレード5の6件中3件(50%)で全身ステロイド投与が行われた。全グレードのILD発現から全身ステロイド投与開始までの期間の中央値は25.0日(1-87)だった。44件中43件は、毒性ガイドラインがアップデートされる2019年12月15日より前に起きていた。早期に判定し、ステロイドで最適な管理をすることの重要性が示された。

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