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2021/05/09

未治療トリプルネガティブ乳癌でRAD51免疫蛍光検査はPARP阻害薬の患者選択に有望【ESMO BREAST 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 未治療の早期トリプルネガティブ乳癌(TNBC)患者において、相同組み換え修復(HRR)に関与するRAD51タンパク質の免疫蛍光検査は、HRR欠損の腫瘍やPARP阻害薬に感受性のある腫瘍を同定できる可能性が、フェーズ2試験のRIO試験(EudraCT 2014-003319-12)の事後解析で明らかになった。スペインVall d’Hebron Institute of OncologyのVioleta Serra氏らが、5月5日から8日まで開催されたESMO BREAST CANCER VIRTUAL CONGRESS(ESMO BREAST 2021)で発表した。

 HRRの異常は、TNBC患者のおよそ60%で認められる。相同組み換え修復欠損(HRD)のバイオマーカーとして、BRCA1/2などのHRR関連遺伝子の異常やゲノム痕跡(genomic scar)の解析、RAD51などの機能的な検査が知られている(Miller et al. Annals of Oncology 2020)。今回の解析では、RAD51に対する免疫蛍光(RAD51-IF)検査でHRDを評価し、そのほかのHRD検査および治療効果との関連性が検討された。

 RIO試験(EudraCT 2014-003319-12)は、未治療の散発性TNBC患者43人を対象にPARP阻害薬rucaparibの有効性を検証したフェーズ2試験。主要評価項目であるKi67が低下した患者の割合は12%だった(Chopra et al. Nature Communications 2020)。

 ベースラインおよび治療終了時に採取した腫瘍検体で、BRCA1/2遺伝子の欠損を予測するHRDetectによりHRDと判断された患者は69%だった。また治療終了時の検体で免疫組織化学(IHC)によりRAD51の集積は77%に認められた。投与15日目の血中腫瘍DNA(ctDNA)の割合は、BRCA遺伝子変異、HRDetect陽性、RAD51-IHC欠損の患者で低値だったことが報告されている。

 今回のRAD51-IF検査は、ベースラインの腫瘍検体が得られた17人のうち17人(100%)で、治療終了時の検体では28人中27人(96%)で可能だった。RAD51-IFスコアは17人で検討され、10%以下の場合に低値(HRD)と定義された。

 RAD51-IF検査で、HRDが認められたのは17人中8人(47%)だった。HRR関連遺伝子の異常でHRDと判断されたのは、評価した29人中7人(24%)、HRRプロモーター領域の高メチル化では27人中8人(30%)、HRDetectでは26人中18人(69%)、治療終了時のRAD51-IHCでは23人中18人(78%)であった。

 RAD51-IF検査でHRDが認められた8人のうち、RAD51-IHCの結果と一致していたのは6人だった。また遺伝子異常との関連性を見たところ、BRCA1/2遺伝子変異、PALB2遺伝子変異のある患者ではRAD51スコアが低値だった。

 RAD51-IF検査でHRDが認められた8人のうち、HRDetectの結果が得られなかった1人を除き、HRDetectとの一致は7人全員だった。7人のうちHRR関連遺伝子異常の結果との一致は4人、HRRプロモーター領域の高メチル化との一致は2人だった。

 次にrucaparibによる治療前後で比較すると、RAD51スコアはベースラインに比べて治療終了時には有意に上昇した(p=0.026)。またHRRに関連するリン酸化H2AX(γH2AX)も治療終了時には上昇傾向を示した(p=0.22)。

 さらにRAD51スコアが低値の腫瘍は、RAD51スコア高値の腫瘍よりもrucaparib投与15日目のctDNAの割合が低いことが確認された(p=0.052)。

 以上の結果から、未治療の早期TNBCにおいて、RAD51-IF検査によるHRDのスコアリングは実施可能であり、HRDetectと同様に、HRR関連遺伝子異常がなくてもHRDである腫瘍を特定することができ、さらにPARP阻害薬に感受性のある腫瘍を同定することができるとしている。

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