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2021/04/14

プラチナ製剤抵抗性の進行卵巣癌で抗PD-1/PD-L1抗体未投与の患者にtislelizumab+sitravatinibが有望【AACR 2021】

森下紀代美=医学ライター

 プラチナ製剤抵抗性の進行卵巣癌で抗PD-1/PD-L1抗体未投与の患者に対し、抗PD-1抗体tislelizumab と、TAM受容体(Tyro3/Axl/MerTK)とVEGFR2/KITを標的とするチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)sitravatinibの併用療法は、忍容性が良好で、予備的な抗腫瘍効果の評価でも有望な結果が得られた。進行固形癌患者を対象に、tislelizumab+sitravatinibの安全性/忍容性と予備的な抗腫瘍効果を評価した非盲検、マルチコホートの第1b相試験から示された。4月10日から15日に開催されているWeek 1 of the virtual American Association for Cancer Research(AACR 2021)で、オーストラリアIcon Cancer CentreのJeffrey C. Goh氏が発表した。

 抗PD-1抗体のtislelizumabは、Fcy受容体のマクロファージへの結合を最小限にし、抗体依存性貪食を排除する。進行固形癌患者において、tislelizumab単剤の臨床的な抗腫瘍効果が示されている。またsitravatinibは、経口のスペクトラム選択的なTKIで、骨髄由来免疫抑制細胞と制御性T細胞の数を減らす一方、M1/M2型マクロファージの比率を上げ、免疫抑制性の腫瘍微小環境を克服するとともに、抗腫瘍免疫応答を増強する可能性がある。

 PD-1阻害薬を免疫調節と抗腫瘍効果を持つ薬剤と併用することにより、各薬剤の抗腫瘍効果が増強する可能性がある。今回、Goh氏らは、進行固形癌患者を対象としてtislelizumab+sitravatinibを評価する第1b相試験から、プラチナ製剤抵抗性の再発卵巣癌患者のコホートの結果を報告した。

 対象は、組織学的に確認されたプラチナ製剤抵抗性(プラチナ製剤の最終投与から6カ月以内に増悪)の進行卵巣癌で、抗PD-1/PD-L1抗体未投与の患者だった。プラチナ製剤で難治性の患者は除外した。tislelizumabは200mgを3週毎に静脈内投与し、sitravatinibは120mgを経口で毎日投与した。投与は増悪、受容不能な毒性の発現、死亡、同意の撤回などまで継続した。

 主要評価項目は安全性/忍容性、重要な副次的評価項目は試験担当医がRECISTv1.1で評価した奏効率、病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)だった。PD-L1 IHCアッセイ、血漿中のVEGF/血清中のCXCL10(IP-10)も後ろ向きに評価した。

 2020年10月13日をデータカットオフ日とし、プラチナ製剤抵抗性の進行卵巣癌患者60人が登録され、13人(22%)が試験治療を継続していた。安全性解析の対象は60人、有効性の評価が可能だったのは53人だった。患者の年齢中央値は64歳(範囲:26-80)、白人が80%を占め、前治療のレジメン数中央値は4(範囲:1-11)だった。

 観察期間中央値は6.0カ月(範囲:0.2-23.4)だった。試験治療下で発現した有害事象(TEAE)は、全グレードでは97%、グレード3以上では68%、重篤なTEAEは70%に発現した。TEAEにより投与中止となったのは、tislelizumabで15%、sitravatinibで23%だった。TEAEにより4人が死亡したが、試験治療と関係しないとされた。

 投与期間中央値は、tislelizumabで18週(範囲:3-103)、sitravatinibで15週(範囲:3-103)となった。用量強度の平均は、tislelizumabで94%、sitravatinibで69%だった。tislelizumabでは患者の43%で投与が延期され、sitravatinibでは患者の50%でTEAEによる減量が行われた。全グレードのTEAEでは、下痢、嘔気、倦怠感、高血圧が患者の40%以上に発現し、グレード3以上のTEAEで多かったのは、高血圧(18%)、腹痛(12%)だった。

 奏効率は26%(95%信頼区間:15.3-40.3)となり、14人で部分奏効が得られた。DCRは77%(95%信頼区間:63.8-87.7)、奏効期間中央値は4.7カ月(95%信頼区間:2.83-NE)だった。

 観察期間中央値6.9カ月におけるPFS中央値は4.1カ月(95%信頼区間:4.0-5.1)、観察期間中央値7.5カ月における予備的なOS中央値は12.9カ月(95%信頼区間:6.3-17.2)となった。

 腫瘍細胞(TC)におけるPD-L1の発現が1%以上(20人)と1%未満(29人)で分けると、PFS中央値はそれぞれ4.1カ月(95%信頼区間:1.5-9.5)、4.2カ月(95%信頼区間:4.1-6.0)、OS中央値はそれぞれ14.6カ月(95%信頼区間:6.3-NE)、11.8カ月(95%信頼区間:6.1-21.3)となった。対象数が少ないため有意差はなく、経過観察継続中である。

 腫瘍浸潤免疫細胞(IC)におけるPD-L1の発現が10%以上(26人)と10%未満(23人)で分けると、PFS中央値はそれぞれ4.1カ月(95%信頼区間:4.1-6.1)、4.2カ月(95%信頼区間:3.0-6.9)、OS中央値はそれぞれ14.6カ月(95%信頼区間:6.1-NE)、6.9カ月(95%信頼区間:5.29-NE)となった。PD-L1の発現が10%以上の場合にOSの延長傾向がみられたが、対象数が少ないことに注意が必要である。

 血漿中のVEGF、血清中のCXCL10は、ベースラインと比べて治療後に有意に増加していた(いずれもp<0.0001)。

 今回の結果について、Goh氏は「tislelizumabとsitravatinibの併用療法は、プラチナ製剤抵抗性の卵巣癌患者の治療選択肢の1つとなる可能性があり、今後の検討の根拠となることが示された」とした。

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