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2021/04/14

BRAF V600E変異陽性の高/低悪性度グリオーマにダブラフェニブとトラメチニブの併用療法は持続的な効果を示す【AACR 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 BRAF V600E変異を有する再発・進行性の高悪性度および低悪性度のグリオーマ(神経膠腫)に対し、BRAF阻害薬ダブラフェニブMEK阻害薬トラメチニブの併用療法は持続的な効果を示し、安全性プロファイルは他の癌での既報と一致していることが明らかになった。非ランダム化非盲検フェーズ2バスケット試験であるRare Oncology Agnostic Research (ROAR)試験から、グリオーマコホートの解析結果によるもの。

 米The University of Texas MD Anderson Cancer CenterのVivek Subbiah氏らが、4月10日から15日に開催されているWeek 1 of the virtual American Association for Cancer Research Annual Meeting(AACR 2021)で発表した。

 対象は、BRAF V600E変異を有し、WHO分類(2007年)で高悪性度グリオーマ(HGG:グレードIII、IV)または低悪性度グリオーマ(LGG:グレードI、II)が組織学的に確認された成人患者。治療は、ダブラフェニブ150mgを1日2回、トラメチニブ2mgを1日1回投与し、許容できない毒性、病勢進行、または死亡まで継続した。主要評価項目はRANO(response assessment in neuro-oncology)基準に基づいて治験担当医師が評価した客観的奏効率(ORR)、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性であった。

 データカットオフ日(2020年9月14日)までに、HGGコホートには45人(うち男性23人)、LGGコホートには13人(うち男性4人)が登録された。年齢中央値は42歳(18-72歳)と33歳(18-58歳)だった。

 HGGコホートでは、膠芽腫が69%(31人)を占め、退形成性多形黄色星細胞腫(pleomorphic xanthoastrocytoma)が11%、退形成性星細胞腫が11%であった。3人がIDH1遺伝子変異を有し、8人がMGMT遺伝子プロモーター領域のメチル化を有していた。LGGコホートでは、神経節膠腫が31%、びまん性星細胞腫が15%、多形黄色星細胞腫が15%だった。IDH1遺伝子変異は1人、MGMT遺伝子プロモーター領域のメチル化のある患者はいなかった。

 前治療として、HGGコホートでは93%が化学療法を受け、98%が放射線治療を受けていた。LGGコホートでは化学療法は38%、放射線治療は62%が受けていた。

 観察期間の中央値は、HGGコホートで12.7カ月(1.1-56.1カ月)、LGGコホートは32.2カ月(0.8-71.8カ月)だった。HGGコホートで、35人が治療を中止、6人が治療を継続、4人がフォローアップ中であった。LGGコホートでは7人が治療を中止し、5人が治療を継続し、1人がフォローアップ中だった。

 ORRは、HGGコホートで33%(95%信頼区間:20.0-49.0)、完全奏効(CR)は3人、部分奏効(PR)は12人で、DOR中央値は36.9カ月(95%信頼区間:7.4-44.2)、24カ月DOR率は68.8%(95%信頼区間:36.4-87.1)だった。

 LGGコホートのORRは69%(95%信頼区間:38.6-90.9)、CRが1人、PRが6人、minor responseが2人、DOR中央値は未到達であった。24カ月DOR率は76.2%(95%信頼区間:33.2-93.5)だった。

 PFS中央値は、HGGコホートで3.8カ月(95%信頼区間:1.8-9.2)、OS中央値は17.6カ月(95%信頼区間:9.5-45.2)であった。24カ月OS率は41.8%(95%信頼区間:26.3-56.5)となった。

 LGGコホートのPFS中央値は未到達(95%信頼区間:7.4-未到達)、OS中央値も未到達(95%信頼区間:11.6-未到達)であった。24カ月OS率は83.9%(95%信頼区間:49.4-95.7)であった。

 またHGGコホートにおいて、事後解析の結果、年齢が18-39歳(22人)ではORRは50%(95%信頼区間:28.2-71.8)、40歳以上(23人)では17%(95%信頼区間:5.0-38.8)であり、PFSとOSも若年者のほうが良好な結果であった。

 悪性度が高い膠芽腫(31人)において、ORRは32%(95%信頼区間:16.7-51.4)、PFS中央値は2.8カ月(95%信頼区間:1.8-13.7)、OS中央値は13.7カ月(95%信頼区間:8.4-25.6)だった。

 安全性については既報と一致しており、新たな問題は認められなかった。コホート全体で93%の患者が有害事象(AE)を経験した。発現頻度30%以上のAEは疲労(50%)、頭痛(43%)、吐き気(34%)、発熱(33%)であった。グレード3以上のAEは53%で、疲労(9%)、頭痛(5%)、好中球数減少(9%)、好中球減少症(5%)が主に見られた。

 探索的にベースラインの腫瘍検体(23人)を用いて次世代シークエンサー(NGS)で570遺伝子について解析したところ、HGGコホート、LGGコホートいずれも、腫瘍変異量(TMB)は少なかった。

 以上の結果から、BRAF V600Eはアクショナブルな遺伝子変異であり、グリオーマ患者においてBRAF V600Eの検査を考慮すべきであるとした。そしてBRAF V600E変異陽性患者にダブラフェニブとトラメチニブの併用療法は治療選択肢になると述べた。

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