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2021/04/13

進行ぶどう膜悪性黒色腫の1次治療としてtebentafuspは医師が選択した治療と比べてOSを有意に延長【AACR 2021】

森下紀代美=医学ライター

 転移を有するぶどう膜悪性黒色腫の1次治療として、二重特異性融合蛋白質tebentafuspは、免疫チェックポイント阻害薬を含む医師が選択した標準治療と比べて、全生存期間(OS)のハザード比が0.51となり、死亡のリスクをほぼ半減することが、第3相、非盲検のランダム化比較試験IMCgp100-202から示された。tebentafuspの有害事象プロファイルは予測可能かつ管理可能で、治療中止に至る割合は低かった。4月10日から15日に開催されているWeek 1 of the virtual American Association for Cancer Research(AACR 2021)で、ドイツUniversity Hospital HeidelbergのJessica C. Hassel氏が発表した。

 ぶどう膜悪性黒色腫は黒色腫の中ではまれで、腫瘍遺伝子変異量は少なく、肝転移の頻度が高い。免疫チェックポイント阻害薬で得られるベネフィットは乏しく、転移に対する標準治療はなく、予後不良である。多くはメラノソーム構造蛋白質gp100を発現している。

 tebentafuspは、可溶性で高親和性のT細胞受容体(TCR)と抗CD3抗体のFc領域を融合させた二重特異性融合蛋白質で、gp100陽性細胞を標的とするT細胞にリダイレクトするよう設計されている。TCRが結合するドメインは、HLA-A*02:01に存在する特異的なgp100由来のペプチドを認識するため、tebentafuspはこのHLA型の患者のみに使用できる。tebentafuspは、転移を有するぶどう膜悪性黒色腫で既治療の患者において有望な抗腫瘍効果が示されている。

 今回、Hassel氏らは、転移を有するぶどう膜悪性黒色腫で、HLA-A*02:01陽性、転移に対する全身治療は未治療の成人患者に対する1次治療として、tebentafuspと試験担当医が選択した治療を比較する第3相試験から、ITT解析対象における主要解析の結果を報告した。

 対象の患者378人を2対1で、tebentafuspを投与する群(tebentafusp群、252人)、または試験担当医が選択した治療を行う群(IC群、126人、ペムブロリズマブ:103人、イピリムマブ:16人、ダカルバジン:7人)に、ランダムに割り付けた。tebentafusup群では用量を漸増し、1サイクル目の1日目は20mcg、1サイクル目の8日目は30mcg、1サイクル目の15日目以降は68mcgを投与した。IC群では、ペムブロリズマブは2mg/kgを3週毎、イピリムマブは3mg/kgを3週毎、ダカルバジンは1000mg/m2を3週毎に投与した。層別因子はLDH値だった。

 主要評価項目は、ランダム化割り付けされた全患者(ITT解析対象)におけるOS、ならびにtebentafusp群で1週目に発疹が発生した患者とIC群のOSだった。副次的評価項目は、試験担当医の評価による奏効率と無増悪生存期間(PFS)、病勢コントロール率(DCR)、安全性だった。試験は、事前に定めた初回の中間解析において、独立データモニタリング委員会により盲検解除とされた。

 データカットオフ日は2020年10月13日で、観察期間中、tebentafusp群の29%、IC群の9%が試験治療を継続していた。両群の患者背景に偏りはなかった。

 OSの観察期間中央値は14.1カ月だった。ITT解析対象におけるOS中央値は、tebentafusup群21.7カ月、IC群16.0カ月、ハザード比0.51(95%信頼区間:0.37-0.71、p<0.0001)となった。1年OS率はtebentafusp群73.2%、IC群58.5%だった。

 tebentafusp群におけるOSのベネフィットは、すべてのサブグループ解析で認められた。tebentafuspのペムブロリズマに対するハザード比は0.51(95%信頼区間:0.35-0.75)、LDHが基準値上限を超える患者におけるtebentafuspのICに対するハザード比は0.73(95%信頼区間:0.46-1.09)だった。

 PFSの観察期間中央値は11.4カ月だった。PFS中央値は、tebentafusp群3.3カ月、IC群2.9カ月、ハザード比0.73(95%信頼区間:0.53-0.94、p=0.0139)となった。奏効率はtebentafusp群9%(完全奏効[CR]1人、部分奏効[PR]22人)、IC群5%(PR 6人)となった。12週以上持続したDCRはそれぞれ46%、27%だった。

 最良効果が増悪(PD)の患者に限定したOSの事後解析でも、tebentafusp群はIC群と比べてベネフィットが得られ、ハザード比は0.4(95%信頼区間:0.248-0.642)となった。

 tebentafusup群で観察された有害事象は作用機序と一致し、サイトカインが介在する有害事象のうち、全グレードで多かったのはサイトカイン放出症候群の89%、発熱の76%、悪寒の47%、嘔気の43%などで、グレード3/4はそれぞれ1%、4%、0.4%、1%だった。皮膚に関連する有害事象のうち、全グレードで多かったのは発疹の83%、掻痒の69%などで、グレード3/4はそれぞれ18%、5%だった。これらの有害事象の多くは最初の数週間に発現し、その後は頻度、重症度が低下した。有害事象は全般的に管理可能だった。有害事象による治療中止は、tebentafusp群2%、IC群4.5%だった。試験担当医の評価ではtebentafuspに関連する死亡はなかった。

 これらの結果から、Hassel氏は「転移を有するぶどう膜悪性黒色腫の1次治療として、tebentafuspは医師が選択した治療との比較でOSの延長を示した初の治験薬となった。tebentafusupはぶどう膜悪性黒色腫の臨床を変える可能性がある」とした。

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