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2021/04/12

小児高悪性度グリオーマにHSV-1 G207を用いたウイルス療法+放射線治療は有望【AACR 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 小児高悪性度グリオーマ(神経膠腫)に対し、治療用の単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)G207を用いたウイルス療法単独および放射線治療との併用療法は、安全性と忍容性、さらに効果も認められることが、フェーズ1試験で明らかになった。またG207が腫瘍浸潤リンパ球を増加させ、cold tumorをhot tumorに変える可能性も示された。米University of Alabama at BirminghamのGregory K. Friedman氏らが、4月10日から15日に開催されているWeek 1 of the virtual American Association for Cancer Research Annual Meeting(AACR 2021)で発表した。

 試験では、高悪性度グリオーマ(HGG)を有する小児を対象に、治療用のHSV-1 G207の単独および5Gy照射との併用療法における安全性と有効性が評価された。3+3デザインで4つのコホートが設定された。主要目的は安全性と忍容性、副次目的はG207の効果と生物学的反応であった。G207は直接の腫瘍崩壊と免疫応答への刺激が期待されている。

 頭蓋骨の小さな外科的開口部から、定位生検で腫瘍を確認し、腫瘍内カテーテルを4本まで留置した。翌日に107PFU(プラーク形成単位)または108PFUのG207を6時間かけて点滴した(コホート1、2)。コホート3およびコホート4の患者には、G207投与後24時間以内に、肉眼的腫瘍体積に対して5Gyの照射が行われた。

 IDH野生型でテント上HGGの患者12人(7-18歳)が投与を受け、10人は膠芽腫、1人は退形成星細胞腫(AA)、1人は特定不能(NOS)であった。スクリーニング時に、10人の患者が2辺の和が5.5cm以上の腫瘍を有し、3人が多巣性で、1人は軟膜転移が見られた。治療歴は多く、8人が2回以上の前治療が不応となり、4人は3回以上の前治療が不応だった。

 12人のうち8人では4本のカテーテル、4人には3本のカテーテルが大脳全体に安全に留置された。G207はいずれの用量レベルでも安全に投与された。G207に関連する有害事象は全てグレード1で、計20件に認められ、重篤な有害事象はなかった。主な有害事象は吐き気、嘔吐、疲労感、発熱、頭痛、発作などだった。血液、唾液、結膜にG207の排出は認められなかった。

 11人の患者で放射線学的、神経病理学的、および/または臨床的な効果が認められた。画像ではSwiss cheese様の変化が見られ、それとともに全身状態(performance score)が改善した患者もいた。全生存期間(OS)中央値は12.2カ月(95%信頼区間:8.0-16.4)であった。4人は18カ月以上生存していた。過去のデータではHGG患者のOS中央値は5.6カ月であり、それと比較して良好であるとしている。

 ベースラインでHSV-1 IgG抗体を保有していた患者(3人)ではOS中央値が5.1カ月(95%信頼区間:3.0-7.2)、G207投与後にセロコンバージョンが起こり抗体陽性となった患者(3人)では18.3カ月(95%信頼区間:9.2-27.4)だった。

 また治療前と治療後の免疫組織学的な解析で、G207はCD8陽性T細胞を増加させたことが示された。このためG207は免疫学的にcold tumorをhot tumorに変えたとしている。またCD4陽性T細胞もG207投与後、増加していた。

 以上の結果から、小児HGGに対し、G207の投与は最大用量の108PFUおよび5Gy照射において安全性と忍容性が認められ、有望な生存データも得られたとした。再発もしくは進行性小児HGGを対象にG207と5Gy照射の多施設共同フェーズ2試験が計画されている(NCT04482933)。フェーズ1試験の結果はNew England Journal of Medicine誌4月10日号に掲載された。

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