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2021/04/12

乳癌患者のpCR達成を高精度で予測するcfDNA integrity indexを同定【AACR 2021】

中西美荷=医学ライター

 乳癌患者の術前化学療法(NAC)完遂後における血漿セルフリーDNA(cfDNA)のintegrity分析により求めたcfDNA integrity index(cfDI index)で、pCR達成を高精度で予測できることが示された。検証/確立されれば、CRを得た患者ではセンチネルリンパ節生検(SLND)を省略して経時的な放射能画像による監視に変えるといった、より低侵襲の乳癌治療を実現できる可能性があるという。4月10日から15日に開催されているWeek 1 of the virtual American Association for Cancer Research Annual Meeting(AACR 2021)において、イタリアUniversity of GenoaのFrancesco Ravera氏らが報告した。

 血漿セルフリーDNA(cfDNA)は死滅した細胞から血中に放出されるDNA断片。正常細胞由来のcfDNAが短鎖でサイズも揃っているのに対して、腫瘍細胞由来のcfDNAは長鎖でサイズもさまざまである。cfDNAの短鎖と長鎖の比(cfDNA integrity:cfDI)は、がんの早期発見、再発、治療反応性に関する有用な情報をもたらす可能性が示されている。

 Ravera氏らは、NACを受けた患者から採取した血漿検体中のcfDNAについて、サイズ別の濃度を測定。術後の組織病理学的評価に基づいて、NACに対する反応性を反映する断片サイズを同定するとともに、全身治療に対する反応性指標としてのcfDI index同定を試みた。

 対象はアンスラサイクリン/タキサンベースのNACを受け、手術を行った62例の乳癌患者で、診断時(T0)、アンスラサイクリン投与後(T1)、NAC終了時(T2)に血漿検体を採取した。cfDNA抽出後、自動電気泳動装置(Agilent2200 TapeStationシステム)を用いてcfDNA fragmentation profiling(DFP)を行った。

 異なるサイズ(90-150bp、150-220bp、221-320bp、321-1000bp)のcfDNAの濃度評価から、NACに対する反応性予測に最も有益として選ばれたのは150-220bpのcfDNA濃度に対する321-1000bpのcfDNA濃度だった。これを本研究におけるcfDI indexとし、NACに対する反応性指標としての能力をロジスティック回帰分析ブーストトラップ法で評価して、MRIと比較した。

 予備的な分析から最も期待できると考えられた測定ポイントT2における検体がある38例の術後の組織病理学的評価は、27例がpCR、11例がnon-pCRだった。

 non-pCRの11例と比較して、pCRを得た27例のcfDI indexは有意に高値を示した(p=0.0014)。cfDI indexによるpCR達成予測の全体精度は81.6%(AUC:0.816、95%信頼区間:0.676-0.957)で、カットオフ値2.71における感度は81.8%、特異度は81.5%だった。一方、この集団におけるMRIの全体精度は77.1%(AUC:0.771、95%信頼区間:0.614-0.928)で、感度は72.7%、特異度は81.5%だった。またcfDI index とMRIの結果が一致した症例では、全体精度92.6%、陽性反応(pCR)的中度は87.5%、陰性反応(non-pCR)的中度は94.7%だった。

 症例数が少ないという限界はあるものの、「cfDI indexはMRIと簡単に組み合わせることのできる新たな指標であり、これにより、乳癌患者におけるpCR達成をより正確に予測できる可能性が示された。実臨床における有用性を確認するため、今後、検証が必要である」とした。

 Ravera氏は、「現在、NACによる臨床的CR(cCR)達成の術前評価はMRI画像をもとに行われているが、最適とは言えない。腋窩リンパ節のCRを得られなかった患者では腋窩リンパ節郭清(ALND)が行われるが、ALNDは永続的な副作用を及ぼす可能性もある。したがって、NACに対する反応性を正確に評価することは、手術管理において重要である」「より適切なCR評価法が明らかになれば、CRを得た患者ではSLNDを省略して経時的な放射能画像による監視に変えることも可能となる」との見解を示した。

 そして本研究について、cfDNA integrityの変化の生物学的基盤について研究するものではないとした上で、「乳癌患者に対する効果的で低侵襲の治療追求という意味において、大きな進歩と言えるのではないか」と話した。

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