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2021/03/22

白金系抗癌薬抵抗性の再発卵巣癌にGAS6/AXL経路阻害薬AVB-500が有用である可能性【SGO 2021】

横山勇生=編集委員

 白金系抗癌薬に抵抗性の再発卵巣癌に対して、GAS6/AXL経路を阻害するAXLデコイ蛋白AVB-500(AVB-S6-500)が有用である可能性が明らかとなった。化学療法と併用投与するフェーズ1b試験(NCT03639246)で忍容性が認められ、抗腫瘍効果が確認された。3月19日からバーチャル形式で開催されている米国婦人科腫瘍学会(2021 Annual Meeting on Women’s Cancer:SGO 2021)で、米Washington UniversityのKatherine Fuh氏が発表した。

 高グレード漿液性卵巣癌(HGSOC)ではGAS6とAXLの過剰な発現が認められている。受容体チロシンキナーゼであるAXLは治療抵抗性に関連することが示唆され、AXLが高度に発現している患者は化学療法抵抗性となり、予後不良であることが報告されている。また前臨床試験の結果、AXLの発現が上昇すると薬剤抵抗性に関するRNA発現が増加すること、AXLを不活化すると腫瘍細胞内のパクリタキセル量が増加することも示されている。AVB-500は、AXLのリガンドであるGAS6にAXLよりも強く結合するように設計された融合蛋白で、GAS6/AXL経路を阻害すると期待されている。

 フェーズ1b試験は、白金系抗癌薬抵抗性で1から3レジメンの治療歴を有するHGSOC、類内膜卵巣癌、未分化腺癌を対象に行われた。AVB-500の投与は2週間おきに行われ、パクリタキセル(28日を1サイクルとして1日目、8日目、15日目に80mg/m2を投与)と併用するかリポソーム型トキソルビシン(28日おきに40mg/m2を投与)と併用された。

 患者登録は2018年12月から2020年4月に行われ、AVB-500-パクリタキルを投与されたのが23人(AVB-500+パクリタキセル群)で、このうちAVB-500の投与量が10mg/kgだったのが16人、15mg/kgだったのが16人、20mg/kgだったのが4人だった。AVB-500-リポソーム型ドキソルビシンを投与されたのが30人(AVB-500+PLD群)で、このうちAVB-500の投与量が10mg/kgだったのが24人、15mg/kgだったのが3人、20mg/kgだったのが3人だった。

 患者背景は、平均年齢がAVB-500+パクリタキセル群、AVB-500+PLD群ともに64歳、HGSOCがAVB-500+パクリタキセル群の83%、AVB-500+PLD群の93%を占めていた。PARP阻害薬の投与歴があったのは、AVB-500+パクリタキセル群が6人(26%)、AVB-500+PLD群が8人(27%)だった。データカットオフは2021年1月17日だった。

 投薬中にグレード3以上の副作用を発現したのは、AVB-500+パクリタキセル群が4人(17.4%)、AVB-500+PLD群が2人(6.7%)、重篤な副作用が発現したのはAVB-500+パクリタキセル群が1人(4.3%)、AVB-500+PLD群が1人(3.3%)だった。グレード5はなく、用量制限毒性は認められず、副作用で投薬中止になった患者はいなかった。

 AVB-500+パクリタキセル群は7人で奏効が認められ、奏効率は36.8%(完全奏効が10.5%)、AVB-500+PLD群は4人で奏効が認められ、奏効率は16.0%(完全奏効はなし)で、AVB-500+パクリタキセル群の方が高い抗腫瘍効果を示した。また、AVB-500+パクリタキセル群の6人で無増悪生存期間(PFS)が200日を超えていた。

 AVB-500+パクリタキセル群で、AVB-500の血中トラフ値と抗腫瘍効果の関係を調べたところ、最低有効濃度(13.8mg/L)を超えていた10人の奏効率は50%(完全奏効20%)でPFS中央値が7.5カ月、全生存期間(OS)中央値は19.0カ月だった。一方、最低有効濃度を下回った9人の奏効率は22.2%、PFS中央値は2.8カ月、OS中央値は8.7カ月だった。

 AVB-500+パクリタキセル群でベバシズマブの投与歴がなかった患者9人の奏効率は66.7%、PFS中央値は7.7カ月、OS中央値は19.3カ月だった。ベバシズマブ投与歴があった10人の奏効率は10%、PFS中央値は2.8カ月、OS中央値は9.2カ月だった。

 また、血清中の可溶性AXLとGAS6の比率(sAXL/GAS6)と抗腫瘍効果に関連が認められ、比率が0.773を超える患者で奏効が得られやすかった。

 2021年第1四半期に、白金系抗癌薬抵抗性の卵巣癌を対象にAVB-500 15mg/kgとパクリタキセルの併用療法を評価するフェーズ3試験(GOG 3059/ENGOT OV66)の患者登録が米国で開始されている。

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