スイスNovartis社は3月9日、進行非小細胞肺癌(NSCLC)の2次治療または3次治療としての抗IL-1β抗体カナキヌマブとドセタキセルの併用療法は、ドセタキセルのみの場合と比べて全生存期間(OS)の延長を認めないことが明らかとなったと発表した。フェーズ3試験であるCANOPY-2試験の結果示された。
カナキヌマブはCANTOS試験で、アテローム性動脈硬化症患者の再発性心血管イベントを有意に低下させた一方で、カナキヌマブ投与群では肺癌の死亡率が低下したことが示され、肺癌における効果の有無が注目されている。
CANOPY-2試験は、白金系抗癌薬ベースの化学療法と抗PD-1(L1)抗体による治療を既に受けた局所進行または転移を有するNSCLC患者237人を対象に行われたフェーズ3試験。患者はカナキヌマブとドセタキセルを併用投与する群とドセタキセルのみの群に割り付けられた。主要評価項目はOS。適切な投与量を決定するために安全性を調べるパート1とOSについて評価するパート2から構成されていた。パート1の結果はすでに2019年に米国臨床腫瘍学会で発表されており、今回発表されたのはパート2の結果。試験結果の詳細は今後学会で発表される予定。
カナキヌマブの肺癌における開発は、CANOPY-2試験以外に、1次治療として免疫療法と化学療法(白金系抗癌薬を含む2剤併用療法)との併用の有効性を評価するCANOPY-1試験と、手術後にシスプラチンベースの化学療法を受けた患者を対象に術後補助療法としての有効性を評価するCANOPY-A試験の2件のフェーズ3試験が行われている。
CANOPY-1試験の結果は今年末までに得られる見通しで、CANOPY-A試験は1500人登録の予定で既に950人以上が登録されている。また、術前療法としてペムブロリズマブとの併用療法の有効性を評価するフェーズ2試験であるCANOPY-N試験も行われている。