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2021/01/16

化学療法中の栄養サポートはGPS陽性、低アルブミン血症の進行胃癌患者の治療成功期間を延長【ASCO GI 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 化学療法を受けた進行胃癌患者のうち、Glasgow Prognostic Score(GPS)陽性、低アルブミン血症の患者では、栄養サポートにより治療成功期間(TTF)が有意に延長することが、レトロスペクティブな解析で明らかになった。名古屋医療センター腫瘍内科の杉山圭司氏らが、1月15日から17日までWEB上で開催されている2021 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2021)で発表した。

 進行胃癌において低栄養状態やサルコペニア、悪液質は予後不良に関連することが知られている。しかし化学療法を受けた進行胃癌患者に対する栄養サポートの影響は明らかでない。そこで、切除不能もしくは再発の胃癌および食道胃接合部癌で、化学療法を受け、ECOG PS 0-2の患者を対象に、栄養サポートの有無による治療成績が検討された。

 栄養サポートチーム(NST)は、消化器内科医、歯科医、歯科衛生士、栄養士、理学療法士、臨床検査技師で構成され、栄養士が個々の患者の栄養療法を作成、提案した。

 2015年1月から2020年6月に治療を受けた患者のうち、適格基準を満たした97人を対象に解析が行われた。年齢中央値は71歳(26-92歳)で、男性23人、女性74人、胃切除術を受けた患者が26人だった。化学療法はシスプラチン(24人)、オキサリプラチン(51人)、そのほか(22人)だった。

 栄養サポートを受けた群(30人)と通常のケアのみの群(67人)に分けた。2群の患者背景で有意に異なっていたのは、BMI(p=0.06)、転移部位数(p=0.08)、血清アルブミン値と総リンパ球数を用いた予後栄養指標(PNI)(p=0.02)、好中球/リンパ球比(NLR)(p=0.01)、血清アルブミン値と血清C反応性蛋白(CRP)値を組み合わせたGlasgow Prognostic Score(GPS)(p=0.01)であった。

 栄養サポート群のほうが、NLR高値、GPS高値の患者の割合が高かった。NLRが高値(3以上)の患者が栄養サポート群83.9%、通常ケア群57.6%、GPSが0(陰性)の患者が栄養サポート群23.3%、通常ケア群42.4%で、GPS 1が36.7%と15.2%、GPS 2が40.0%と42.4%だった。このため栄養サポートは炎症反応が強い、または低栄養の患者に提供されていたとした。

 治療成功期間(TTF)は、通常ケア群でTTF中央値が4.2カ月(95%信頼区間:2.6-6.0)、栄養サポート群で5.3カ月(95%信頼区間:3.3-6.4)(p=0.15)であった。全生存期間(OS)は、通常ケア群でOS中央値が10.1カ月(95%信頼区間:6.5-13.7)、栄養サポート群で10.2カ月(95%信頼区間:8.0-28.8)であった(p=0.55)。

 GPS陽性(スコアが1か2)患者において、TTF中央値が通常ケア群で2.3カ月(95%信頼区間:1.8-3.7)、栄養サポート群で5.0カ月(95%信頼区間:3.2-6.4)と、栄養サポート群で有意に長かった(p=0.05)。OS中央値は、通常ケア群で6.1カ月(95%信頼区間:3.1-10.4)、栄養サポート群で8.5カ月(95%信頼区間:3.8-10.3)であった(p=0.61)。

 低アルブミン血症の患者において、TTF中央値が通常ケア群で2.3カ月(95%信頼区間:1.8-3.9)、栄養サポート群で5.3カ月(95%信頼区間:3.3-6.4)と、有意に栄養サポート群で長かった(p=0.02)。OS中央値は、通常ケア群で6.1カ月(95%信頼区間:2.7-10.4)、栄養サポート群で9.1カ月(95%信頼区間:6.4-11.4)であった(p=0.39)。

 多変量解析の結果、PS(0、1/2)と栄養サポートの有無がTTFに関連する有意な因子であった。

 以上の結果から、GPS陽性または低アルブミン血症の進行胃癌患者において栄養サポートは有用であり、この研究はこれらの進行胃癌患者における栄養サポートや悪液質に対する治療に関するさらなる研究の根拠となるものであるとした。また化学療法を受けた進行胃癌患者において、GPSや血清アルブミンは栄養サポートの良い指標になるだろうとしている。

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