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2020/12/11

H3B-6545はESR1 Y537S変異やCDK4/6阻害薬・フルベストラントを含む治療歴の多いER+HER2-転移乳癌に対し有望【SABCS2020】

中西美荷=医学ライター

 選択的エストロゲン受容体(ERα)共有結合型アンタゴニスト(SERCA)であるH3B-6545は、ESR1遺伝子Y537S変異例やCDK4/6阻害薬、フルベストラントを含む数多くの治療歴を有するER+HER2-転移乳癌(mBC)患者に対するフェーズ1/2試験で、管理可能な安全性プロファイルのもとで有望な効果を示した。プロゲステロン受容体(PgR)陽性かつY537S変異例で効果がより高い可能性も示唆された。12月8日から11日まで開催されている2020 Virtual San Antonio Breast Cancer Symposium(SABCS2020)において米国Sarah Cannon Research InstituteのErika P Hamilton氏が報告した。

 H3B-6545は、前臨床においてESR1遺伝子変異を有するモデルを含む複数の乳癌患者由来異種移植(PDX)モデルにおいて有意な抗腫瘍活性を示している(Korpal et al. SABCS2017 #P1-10-08)。今回、ER+HER2-mBCを対象とする多施設共同フェーズ1/2試験(NCT03250676)の結果が報告された。

 2017年8月から2020年2月までの間に、フェーズ1に47例、フェーズ2に83例、合計130例が登録された。平均年齢は62歳(31-87)、ECOG PSは0が47%、1が53%、肝または肺転移ありが82%。mBCに対する前治療数中央値は3(1-10)で、41%が4ライン以上の治療を受けていた。mBCに対する治療として、67%がCKD4/6阻害薬、82%がアロマターゼ阻害薬、71%がフルベストラント、54%が化学療法を受けていた。また循環血中腫瘍細胞DNA(ctDNA)のバリアントアレル頻度(VAF)解析で、75例(58%)にESR1遺伝子の変異が検出(≧0.05%)された。

 フェーズ1の目的は最大耐用量とフェーズ2における推奨用量(RP2D)を明らかにすること。フェーズ2の主要評価項目は奏効率(ORR)、臨床ベネフィット率(CBR)、無増悪生存(PFS)、副次評価項目は安全性。

 H3B-6545は28日1サイクルで1日1回経口投与した。フェーズ1は100mgで開始し、200mg、300mg、450mgを経て600mgまで漸増した。450mgまで用量規定毒性(DLT)は観察されず、600mg投与の7例中2例でDLTs(グレード[G]3の疲労、G3の発疹)が観察された。この結果に基づき、PR2Dとして450mgが選択された。

 450mg投与の73例を含む105例において有効性の評価が可能だった。ORRは全例で12.4%(90%信頼区間:7.5-19.0)、450mg投与例で15.1%(90%信頼区間:8.7-23.7)だった。またCBR(CR+PR+23週超のSD)は全例で34%、450mg投与例で33%だった。抗腫瘍効果は内臓転移を伴う患者、前治療数の多い患者、転移疾患に対する治療としてフルベストラント、CDK4/6阻害薬、化学療法を受けた患者においても認められた。

 一般にエストロゲン受容体αをコードする遺伝子ESR1にホットスポット変異を有する患者は内分泌療法が奏効せず臨床成績が不良だが、Y537S陽性12例では3例でPR(25%)、4 例でSD(33%)を認め、CBRは50%、D539G陽性22例では13例でSD(59%)を認め、CBRは32%だった。またPFS中央値は全例の3.7カ月に対して、Y537S陽性例では7.3カ月と良好だった。

 PFS中央値はPgR陽性38例では5.5カ月で、PgR陽性かつY537S陽性の6例では13.0カ月と特に良好だった。PgR陽性D538G陽性(10例)では4.5カ月、PgR陽性Y538S陽性D538G陽性(16例)では7.2カ月、PgR陽性Y537S陰性D538G陰性(19例)では3.8カ月。

 有害事象の多くはG1/2で、安全性プロファイルは心毒性を含めて管理可能だったが、Hamilton氏は洞性徐脈については綿密な監視を行うことが望ましいとした。治療関連死はなかった。

 15%以上で報告された有害事象(G1/2/3)は、全例で貧血(12/12/8%)、下痢(25/8/3%)、悪心(32/11/3%)、嘔吐(17/5/1%)、疲労(16/8/8%)、ALT上昇(12/2/4%)、AST上昇(11/5/5%)、めまい(15/2/0%)、掻痒(12/2/1%)、洞性徐脈(35/4/0%)。450mg投与の94例では貧血(10/12/6%)、下痢(30/7/4%)、悪心(31/13/4%)、嘔吐(16/6/1%)、疲労(17/7/9%)、ALT上昇(6/2/3%)AST上昇(6/6/2%)、めまい(13/1/0%)、掻痒(14/2/1%)、洞性徐脈(34/5/0%)だった。

 G4の血清ビリルビン上昇、低ナトリウム血症が各1例で観察されたが、いずれも増悪に関連すると考えられた。ほか1例でG4の白血球減少が認められた。

 100-300mg投与の29例において、41%でG1(無症候性)の洞性徐脈、3%でG1のQT(Fridericia補正法:QTcF)延長が観察された。450mg投与の94例では34%でG1、5%でG2(症候性だが介入不要)、5%で3日以上の休薬を要する洞性徐脈、5%でG1、2%でG2、3%でG3のQTcF延長を認めた。

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