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2020/12/10

低リスクでない非浸潤性乳管癌で乳房温存手術後の全乳房照射の後にブースト照射は局所再発率を低下させる【SABCS2020】

八倉巻尚子=医学ライター

 低リスクでない非浸潤性乳管癌DCIS)で乳房温存手術を受けた患者において、全乳房照射(WBI)後の腫瘍床に対するブースト照射は有意に局所再発を低下させることが、ランダム化フェーズ3試験BIG 3-07/TROG 07.01で明らかになった。また従来のWBIと寡分割WBIでは局所再発率に有意な違いはなかった。オーストラリアUniversity of New South WalesのBoon Hui Chua氏らが、12月8日から11日まで開催されている2020 Virtual San Antonio Breast Cancer Symposium(SABCS2020)で発表した。

 非浸潤性乳管癌(DCIS)に対する乳房温存手術後の全乳房照射(WBI)は局所再発のリスクを低下させるが、適切な照射線量と分割スケジュールは明らかでなかった。BIG3-07/TROG 07.01試験は、多施設共同並行群間比較ランダム化非盲検フェーズ3試験で、乳房温存手術を受けた低リスクでないDCIS患者において、腫瘍床ブースト照射の追加、WBIでの分割照射が検証された。

 試験の適格基準は、乳房温存手術を受けたDCISで、切除断端距離が1mm以上、かつ年齢が50歳未満、または50歳以上の場合は局所再発のリスク因子(症状がある、触知可能な腫瘍、多巣性、腫瘍サイズが1.5cm以上、中または高核グレード、中心壊死、面疱型、切除断端距離が10mm未満)のうち少なくとも1つを有する女性。

 患者は、試験開始前に施設によって3つのランダム化カテゴリー(A、B、C)のうちの1つに割り付けられた。層別化因子は年齢(50歳未満、50歳以上)、内分泌療法の計画(あり、なし)、治療施設。

 ランダム化Aは、従来のWBI(50Gyを25回)、寡分割WBI(42.5Gyを16回)、従来のWBIの後にブースト照射(16Gyを8回)、寡分割WBIの後にブースト照射の4群が比較された。ランダム化Bでは、従来のWBI、従来のWBIの後にブースト照射の2群が、ランダム化Cでは、寡分割WBI、寡分割WBI後にブースト照射の2群が比較された。

 主要評価項目は局所再発、副次評価項目は乳癌再発(局所再発、領域再発、遠隔転移、対側乳癌)、放射線毒性、全生存期間などだった。

 試験はブースト照射なし群とブースト照射群の5年無局所再発率に3%の差を検出するように設計されていた(93%と96%、ハザード比0.56)。評価項目はintention-to-treat解析された。ブースト照射の効果はランダム化された全患者で評価した。WBI線量分割の効果はランダム化A、および感受性解析として全患者で評価した。またブースト照射とWBI線量分割の相互作用についてもランダム化Aおよび全患者を対象に評価した。

 2007年6月から2014年6月までに1608人が登録した。WBI後にブースト照射を受けた患者は803人、ブースト照射なしは805人、従来のWBIを受けた患者は831人、寡分割WBIは877人だった。またランダム化Aで従来のWBIを受けたのは250人、寡分割WBIは253人だった。各群で患者背景はバランスがとれていた。どの群でも50歳以上が8割強、症状のない患者が8割以上、単巣性が9割、腫瘍径20mm以下が6割、切除断端距離の中央値は5mm、内分泌療法の計画のある患者は9%から18%だった。

 観察期間中央値は6.6年だった。解析の結果、5年無局所再発率は、ブースト照射群で97%(95%信頼区間:96-98)、ブースト照射なし群で93%(95%信頼区間:91-94)、ハザード比0.47(95%信頼区間:0.31-0.72)、p<0.001で、有意にブースト照射群で良好だった。年齢や内分泌療法、核グレード/面疱壊死、腫瘍サイズ、切除断端距離のサブグループのいずれもブースト照射群で良い結果となった。

 従来のWBI群と寡分割WBIの比較では、ランダム化Aにおいて、5年無局所再発率は、従来のWBI群94%(95%信頼区間:90-96)、寡分割WBI群94%(95%信頼区間:91-97)、ハザード比0.94(95%信頼区間:0.51-1.73)、p=0.84で有意な差はなかった。また全患者でも従来のWBI群95%(95%信頼区間:93-96)、寡分割WBI群95%(95%信頼区間:93-96)、ハザード比0.94(95%信頼区間:0.51-1.74)、p=0.85で有意差は認められなかった。

 ブースト照射とWBI線量分割の局所再発についての相互作用は、ランダム化Aおよび全患者で有意ではなかった(両方ともp=0.89)。

 遠隔転移なども含めた乳癌再発についても、5年無病再発率は、ブースト照射群で97%、ブースト照射なし群で91%、ハザード比0.63(95%信頼区間:0.46-0.87)、p=0.004で、有意にブースト照射群で良好だった。またランダム化Aにおいて、従来のWBI群の5年無病再発率は93%、寡分割WBI群も93%で、ハザード比0.79(95%信頼区間:0.47-1.31)、p=0.36となった。全患者でも従来のWBI群94%、寡分割WBI群94%、ハザード比0.79(95%信頼区間:0.48-1.32)、p=0.37で有意差はなかった。

 ブースト照射によるグレード2以上の毒性は、急性毒性では放射線皮膚炎、晩期毒性では乳房痛、硬化や線維化、毛細管拡張症が認められたが、グレード3以上の毒性は少なかった。

 以上の結果から、乳房温存手術を受けた低リスクでないDCIS患者において、WBI後に腫瘍床に対するブースト照射を追加することで局所再発率は低下し、従来型WBIと寡分割WBIでは局所再発率に差はなかったとした。ただし長期の観察は必要であるとしている。

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