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2020/12/10

乳房温存手術後に内分泌療法を受けた65歳以上の低リスク乳癌で術後全乳房照射は全生存に影響しない、10年の結果【SABCS2020】

八倉巻尚子=医学ライター

 乳房温存手術後に内分泌療法を受け、ホルモン受容体陽性、腋窩リンパ節陰性、腫瘍径3cm以下で再発リスクが低い65歳以上の乳癌女性において、術後全乳房照射は10年時点でも乳房内再発を減少させたが、全生存には影響しないことが、国際ランダム化フェーズ3試験のPRIME 2試験で明らかになった。この結果から術後全乳房照射の省略は妥当な選択肢であるとしている。英国University of Edinburgh, Institute of Genetics and Molecular MedicineのIan H Kunkler氏らが、12月8日から11日まで開催されている2020 Virtual San Antonio Breast Cancer Symposium(SABCS2020)で発表した。

 PRIME 2 試験(Postoperative Radiotherapy in Minimum-Risk Elderly)では、乳房温存手術と術後内分泌療法を受けた65歳以上の低リスク患者において、5年時の乳房内再発率は全乳房照射群では1.3%、全乳房照射をしなかった群は4.1%と報告されている(Kunkler et al. Lancet Oncol. 2015;16:266-73)。今回は10年時点での結果が報告された。

 試験の適格基準は、65歳以上、組織学的に片側浸潤性乳癌で、T1-2(腫瘍径3cm以下)、乳房温存手術を受け腋窩リンパ節陰性(pN0)、切除断端距離1mm以上、ホルモン受容体(HR)陽性、術後内分泌療法を受けていた患者。グレード3かつ脈管侵襲のある患者は除外された。

 主要評価項目は同側性乳房内再発(IBTR)で、副次評価項目は領域再発、対側乳癌、遠隔転移、無病生存期間、全生存期間であった。

 5年IBTR率が2群間で3%以上の差が出るための患者登録数は1300人であった(検出力80%、有意水準5%)。2003年4月から2009年12月までに1326人が登録し、全乳房照射(RT)を受ける群(658人)と受けない群(668人)に無作為に割り付けられた。全乳房照射は40-50Gyを15-25回に分割して照射した。

 2群の患者背景はバランスがとれていた。患者の平均年齢はRTなし群が71.12歳、RT群は70.78歳、腫瘍径は0-10mmが38.6%と40.3%、10.1-20mmが48.8%と48.5%であり、20.1-30mmは12.6%と11.2%であった。またグレード1が40.9%と44.4%、グレード2が55.6%、54.6%で、グレード3は3.5%と2.0%と少なかった。脈管浸潤ありは4.8%と4.1%で、術前内分泌療法を受けた患者は9.1%と8.3%だった。

 データカットオフ日は2020年5月28日、観察期間中央値は7.3年だった。

 10年時点でIBTR率は、RTなし群で9.8%(95%信頼区間:6.5-13.2)、RT群で0.9%(95%信頼区間:0.1-1.6)であった。ハザード比は0.12(95%信頼区間:0.05-0.31)、p<0.0001で、IBTR率は有意にRT群で低かった。

 領域再発率は、RTなし群2.3%、RT群0.5%で有意差が認められた(p=0.014)。遠隔転移率は、RTなし群1.9%、RT群3.6%で有意差は認められなかった(p=0.07)。対側乳癌は、RTなし群1.2%、RT群2.2%で有意差はなく(p=0.20)、乳癌以外の新たな癌がRTなし群10.2%、RT群8.7%だった(p=0.41)。

 10年生存率は、RTなし群で80.4%(95%信頼区間:76.4-84.5)、RTあり群で81.0%(95%信頼区間:76.7-85.3)で有意差はなかった(p=0.68)。また転移のない10年生存率は、RTなし群で98.1%(95%信頼区間:96.7-99.6)、RTあり群で96.4%(95%信頼区間:94.5-98.4)だった(p=0.28)。

 癌による死亡が、RTなし群は35人(39%)、RT群は29人(37%)で、このうち乳癌による死亡はRTなし群8人(9%)、RT群3人(4%)であった。心血管疾患による死亡が9人(10%)と14人(18%)、そのほか/不明が44人(50%)と36人(45%)。このためほとんどの患者(93.4%)の死亡は乳癌によるものではなかったとした。

 また計画されていなかったサブグループ解析だが、エストロゲン受容体(ER)の状態で分けると、RTなし群において、ER高発現の患者では10年局所再発率が9.2%、ER低発現の患者では18.8%で有意に高かった(p=0.007)。

 以上の結果から、pT1-2(腫瘍径3cm以下)でグレード1/2の患者において、術後全乳房照射の省略によって遠隔転移のリスク増加も生存への影響もないことから、術後全乳房照射の省略は妥当な選択肢であるとKunkler氏は述べた。

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