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2020/12/10

50歳以下の乳癌サバイバーのうつ症状の改善にマインドフルネス瞑想とサバイバー教育が有効【SABCS2020】

森下紀代美=医学ライター

 50歳以下の若い年代の乳癌サバイバーに対し、マインドフルネス瞑想(心を今に向けた状態に至らせるための瞑想)とサバイバーシップの教育という2つの介入は、診断と治療に伴ううつ症状を有意に減らすことが、多施設共同、フェーズ3のランダム化比較試験Pathways to Wellnessからわかった。マインドフルネス瞑想では、うつ症状に対する効果が6カ月間持続し、倦怠感や睡眠障害、ホットフラッシュに対する効果も持続した。12月8日から11日までバーチャル形式で開催されている2020 San Antonio Breast Cancer Symposium(SABCS2020)で、米UCLA Jonsson Comprehensive Cancer CenterのPatricia A Ganz氏が発表した。

 乳癌患者の約20%は50歳未満である。若い年代のサバイバーは、癌の診断と治療による弊害として、持続するうつ症状などのリスクが高く、QOLの顕著な低下につながっている。

 今回のフェーズ3試験では、若い年代の乳癌サバイバーに対する2つの介入、マインドフルネス瞑想(Mindfulness Awareness Practices:MAPS)とサバイバーシップ教育(Survivorship Education:SE)の有効性を検討するためにデザインされた。

 2つの介入は6週間、6回のセミナーとディスカッションをグループで行うプログラムとし、各セッションは2時間の内容で構成され、指導者は3施設でオンコロジーナースなどが務めた。内容に含まれるのは、MAPSでは「マインドフルネスとは何か」「聞くこと、体現すること、妨げとなること」「痛みに対応する」「難しい感情と向き合うこと、前向きな感情を養うこと」など、SEでは「Breast 101:若い年代のサバイバーにとって重要な問題」「乳癌サバイバーのQOL」「エネルギーバランス、栄養、身体活動」「家族の癌:癌の遺伝学と検査」などだった。

 2017年から2019年に、患者の適格性のスクリーニングを電話調査で行った。適格基準は、50歳以下の0期からIII期の乳癌で、初回治療からの期間は6カ月から5年まで、PHQ-8で軽度のうつが確認されていることだった。患者はランダム化割り付けに同意し、6週間のグループプログラムに参加可能であることとした。1216人の適格性を評価し、適格基準を満たす251人を登録・ランダム化割り付けし、247人が試験対象となった。適格患者を試験実施施設とうつの重症度で層別化した後、MAPS群、SE群、Wait-Listの対照群にランダムに割り付けた。

 評価は、ランダム化割り付け前のベースライン、介入終了直後、介入終了後の経過観察期間の3カ月時と6カ月時に行った。包括的な質問票、体重と身長、血液中の炎症反応マーカーのデータを収集した。主要評価項目は、介入終了直後(T2)のうつ症状で、Center for Epidemiologic Studies Depression scale(CES-D)で評価した。副次的評価項目は、経過観察期間の6カ月時(T4)のCES-Dスコア、T2およびT4の不安(GAD-7[Generalized Anxiety Disorder-7]で評価)、倦怠感の重症度(簡易倦怠感尺度で評価)、睡眠障害(不眠症重症度質問票で評価)、ホットフラッシュ(BCPT symptom checklistで評価)だった。炎症反応マーカーの変化は探索的に評価した。

 247人をランダム化割り付けし、MAPS群85人、SE群81人、対照群81人となった。 主要評価項目であるT2のデータ収集率は87%だった。18人が再発または同意を撤回し、T4のデータ収集率は83%となった。

 患者背景はほぼすべての項目で3群に有意差はなく、全対象の試験登録時の平均年齢は45.4歳、白人が82%、既婚の患者が75%(MAPS群68%、SE群51%、対照群75%で有意差あり)、雇用がフルタイムの患者は68%、診断からの期間の平均は2.6年、乳房切除術を受けたのは56%、腫瘍摘出術を受けたのは40%、化学療法は62%、放射線療法は66%が受けており、内分泌療法を現在受けているのは66%だった。試験実施施設、人種、結婚の有無のベースラインの背景の違いを調節し、対照群と各介入群を比較した。

 CES-Dスコアで評価すると、MAPS群では、対照群と比べて、介入終了直後、経過観察期間の3カ月時、6カ月時のうつ症状が有意に減少した(p<0.001、p<0.001、p<0.027)。SE群でも、対照群と比べて、介入終了直後と経過観察期間の3カ月時に有意な減少がみられた(いずれもp<0.01)。

 また、MAPS群とSE群では、対照群と比べて、介入終了直後の不安が有意に減少した(それぞれp<0.001、p<0.01)が、効果は持続しなかった。MAPS群では、その他の症状に対する効果もみられ、倦怠感の重症度、睡眠障害、ホットフラッシュが有意に減少し、効果は6カ月間持続した。一方、SE群では、その他の症状の改善は対照群と有意差はなかった。
 
 Ganz氏によると、2つの介入は標準化され、3施設で順調に行われているという。同氏は「これらの介入のさらなる広がりと評価は、若い年代の乳癌サバイバーのまだ満たされていない社会心理学的なニーズに取り組むうえで必要」とした。

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