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2020/10/27

ベバシズマブ投与で発現する高血圧・蛋白尿と関連する可能性があるSNPを同定【ENA2020】

横山勇生=編集委員

 ベバシズマブで発現する高血圧蛋白尿に関連する可能性がある1塩基多型(SNP)が同定された。重篤な副作用の発現予測などに利用でき、患者のより適切な管理などにつながる可能性がある。米国で進行乳癌、前立腺癌、膵癌の5件の臨床試験に参加した1000人以上の患者の数十万の遺伝子変異を解析した、ゲノムワイド関連解析(GWAS)の結果から示された。

 10月24日と25日にWEB上で開催された 32th EORTC-NCI-AACR Symposium on Molecular Targets and Cancer Therapeutics(ENA2020)で、米the University of North Carolina in Chapel HillのFederico Innocenti氏が発表した。

 研究グループは、CALGBが行ったベバシズマブ投与を含む4件の無作為化フェーズ3試験のデータについてGWASを行った。試験の目的は、高血圧または蛋白尿発現に関連する新規の遺伝子と遺伝子変異の同定だった。また、高血圧で最も有意な関連を示したSNPについては、ベバシズマブを投与した別の独立した試験の患者データで検証した。

 解析されたのは、進行膵癌を対象に行われたCALGB80303試験(154人)、ホルモン受容体陽性乳癌を対象に行われたCALGB40503試験(105人)、転移を有する去勢抵抗性前立腺癌を対象に行われたCALGB90401試験(314人)、再発・転移性乳癌を対象に行われたCALGB40502試験(466人)の合計1039人のデータ。患者の末梢血から生殖細胞系列DNAを抽出し、59万SNPsについて調べた。毒性はグレード2以上の場合を発現とした。4試験でグレード2以上の高血圧が発生していたのは15%から51%、グレード2以上の蛋白尿が発生していたのは6%から31%だった。グレード4の毒性は認められていなかった。

 解析の結果、蛋白尿と最も関連していたSNPとしてrs339947が同定された。対象となった3試験中2つの試験でp値は0.05未満で、全体でマイナーアレル頻度0.12-0.14、p=7.66×10-8と有意に関連していた。80303試験と90401試験で、CC型よりもCA型、CA型よりもAA型で蛋白尿が多く発現していた。rs339947は、DNAH5遺伝子とTRIO遺伝子の間に位置していた。研究グループは、rs339947のAアレルが糸球体におけるTRIO遺伝子の発現を高め、腎に障害を与えるたんぱく質の活性を誘導し、ベバシズマブによる蛋白尿のリスクを高めていると推測している。TRIO遺伝子がRac1の活性を誘導することは2018年に報告されている。

 高血圧と有意に関連するSNPとして、4試験中3つの試験でp値が0.05未満だった2つのSNPであるrs2350620とrs6770663が同定された。rs2350620はASPH遺伝子にあるSNPで、p=1.44×10-6で有意に関連していた。rs6770663はKCNAB1遺伝子にあるSNPで、p=4.79×10-6で有意に関連していた。

 この2つのSNPについて、582人を対象に行われたECOG-ACRIN 5103試験のデータで検証が行われた。収縮期血圧が160mmHg以上かつ/またはグレード3以上の高血圧が発現した患者を高血圧群、160mmHg未満かつ/または発現高血圧はグレード2以下の患者を非高血圧群として解析された。ECOG-ACRIN 5103試験は乳癌を対象とした試験だった。

 検証の結果、rs6770663のGアレルへの変化がより高血圧との関連が強いことが分かった。rs6770663のGアレルへの変化は、収縮期血圧が160mmHg以上の患者においてp=0.005、グレード3以上の高血圧が発現した患者においてp=0.213、rs2350620のTアレルへの変化は、収縮期血圧が160mmHg以上の患者においてp=0.235、グレード3以上の高血圧が発現した患者においてp=0.731だった。

 また、40503試験(p=0.035)、90401試験(p=0.007)、40502試験(p=4.70×10-4)で、rs6770663のGアレルへの変化で高血圧の蓄積発生率が増加していた。

 KCNAB1遺伝子は、カリウムチャネルのサブユニットをコードしている。研究グループは、Gアレルへの変化でKCNAB1遺伝子の低活性化が起こり、カリウムチャネルの活性が障害され、血管収縮が増加しベバシズマブによる高血圧のリスクが上昇すると推定している。

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