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2020/10/06

消化器癌のリキッドバイオプシーは腫瘍検体より検査結果返却までの期間が短縮、より多くの患者が治験に参加可能

横山勇生=編集委員

 国立がん研究センター東病院は、消化器癌で、患者の血液を用いて癌のゲノム異常を検出する検査(リキッドバイオプシー)を治験のスクリーニングに取り入れた結果、従来の腫瘍組織を用いた検査より、迅速に検査結果が返却されること、その結果より多くの患者が治験に登録できたことをこのほど世界で初めて示した。国立がん研究センター東病院消化管内科長の吉野孝之氏、トランスレーショナルリサーチ支援室・消化管内科の中村能章氏らが行ったGI-SCREEN-JapanGOZILA Studyの結果示された。

 また研究グループは、リキッドバイオプシーを用いて血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を調べることで、変異が癌細胞のどの程度で起こっているかを解析、食道扁平上皮癌のNFE2L2変異や膵癌のGNAS変異、胆道癌のCTNNB1変異など、消化器癌の各癌種で有用なバイオマーカーや治療標的として将来的な臨床開発に繋がる可能性のある新しいドライバー遺伝子異常も同定した。

 詳細は、Nature Medicine誌オンライン版に2020年10月5日に掲載された。

 国立がん研究センターは、産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業であるSCRUM-Japanを立ち上げ、2014 年2月から「GI-SCREEN-Japan(現在はMONSTAR-SCREEN)」を進めてきた。GI-SCREEN-Japanは、国内の主要ながん専門病院や大学病院と共同で、進行消化器癌患者の腫瘍組織を遺伝子パネル検査で解析し、治療薬を届けるプロジェクト。2018年1月からは、進行消化器癌患者の血液をリキッドバイオプシー(Guardant360Rで変異を検査)で解析するスクリーニングプロジェクトGOZILA Studyを、米国Guardant社と開始した。

 今回の成果は、2015年2月から2019年4月までにGI-SCREEN-Japanで腫瘍組織検査が行われた5743例と、2018年1月から2019年8月までにGOZILA Studyでリキッドバイオプシーで検査が行われた1787例を比較した結果に基づく。

 研究の結果、GI-SCREEN-Japanの場合、登録後から検体到着までの期間の中央値が14日、検体到着から解析結果返却までの期間の中央値が19日だったのに対し、GOZILA Studyの場合は、登録後から検体到着までの期間の中央値が4日、検体到着から解析結果返却までの期間の中央値が7日と、有意にリキッドバイオプシーの場合が短かった(p<0.0001)。治療標的となるゲノム異常が見つかったのは、GI-SCREEN-Japanの場合が54%、GOZILA Studyの場合が57%と同等だった。

 ゲノム異常に適合した薬剤の治験に登録された患者の割合は、GI-SCREEN-Japanの場合が4.1%、GOZILA Studyの場合が9.5%と有意にリキッドバイオプシーの方が高かった。病勢進行し状態が悪くなる前に早期に検査結果が返ってくるためだという。一方、治験治療で腫瘍が縮小した患者の割合(奏効割合)は、GI-SCREEN-Japanの場合が16.7%、GOZILA Studyの場合が20.0%と同等だった(p=0.69)。また、無増悪生存期間中央値は、GI-SCREEN-Japanの場合が2.8カ月、GOZILA Studyの場合が2.4カ月で同等だった(p=0.70)。

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