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2020/09/24

PD-L1の発現が50%以上の進行NSCLCの1次治療として抗PD-1抗体cemiplimabが有効【ESMO2020】

森下紀代美=医学ライター

 PD-L1の発現が50%以上の進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者の1次治療として、抗PD-1抗体cemiplimabによる単剤療法は、医師が選択した白金系抗癌薬を含む2剤併用化学療法と比べて、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが、多施設共同、非盲検、国際的なフェーズ3のランダム化比較試験EMPOWER-Lung 1の中間解析から示された。化学療法群からcemiplimabへのクロスオーバー率は73.9%と高率だった。

 9月19日から21日まで開催されたESMO VIRTUAL CONGRESS 2020(ESMO2020)で、トルコBaskent UniversityのAhmet Sezer氏が発表した。

 EMPOWER-Lung 1試験の対象は、未治療のIIIB期、IIIC期、IV期の扁平上皮/非扁平上皮NSCLCで、腫瘍細胞にPD-L1が50%以上発現している患者だった。EGFR、ALK、ROS1遺伝子変異はないこととし、既治療で臨床的に安定している中枢神経系転移、コントロールされたB型肝炎、C型肝炎、HIVの患者は可とされた。

 cemiplimab 350mgを3週毎に最大108週間、または増悪まで投与する群(cemiplimab群)、または医師が選択した白金系抗癌剤を含む2剤化学療法を4-6サイクル行う群(化学療法群)に、患者を1対1でランダムに割り付けた。増悪した場合、cemiplimab群ではcemiplimabと4サイクルの化学療法が選択肢となり、化学療法群はcemiplimab単剤へのクロスオーバーが認められた。

 主要評価項目は、OSと盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目は、奏効率、奏効期間、健康関連QOL、安全性だった。プロトコールで予定された5回の中間解析のうち、今回は2020年3月1日をデータカットオフ日とした2回目の中間解析の結果が報告された。

 710人がランダム化割り付けに進み、ITT解析対象はcemiplimab群356人、化学療法群354人となった。化学療法群のcemiplimabへのクロスオーバー率は73.9%だった。cemiplimab群の31.6%が増悪に対しcemiplimab+化学療法を受けた。

 PD-L1の発現が50%以上のITT解析対象は563人となり、cemiplimab群283人、化学療法群280人となった。ITT解析対象、PD-L1の発現が50%以上のITT解析対象ともに、ベースラインの患者背景はバランスがとれていた。

 OSについて、ITT解析対象の追跡期間中央値は両群13.1カ月となり、OS中央値は、cemiplimab群22.1カ月(95%信頼区間:17.7-NE)、化学療法群14.3カ月(95%信頼区間:11.7-19.2)、ハザード比0.68(95%信頼区間:0.53-0.87、p=0.002)となった。12カ月時と24カ月時のOS率は、cemiplimab群で70.3%、48.6%、化学療法群で55.7%、29.7%となった。

 PD-L1の発現が50%以上のITT解析対象の追跡期間中央値はcemiplimab群10.8カ月、化学療法群10.2カ月となり、OS中央値は、cemiplimab群未到達(95%信頼区間:17.9-NE)、化学療法群14.2カ月(95%信頼区間:11.2-17.5)、ハザード比0.57(95%信頼区間:0.42-0.77、p=0.0002)となった。12カ月時と24カ月時のOS率は、cemiplimab群で72.4%、50.4%、化学療法群で53.9%、27.1%となった。

 PFSについて、ITT解析対象のPFS中央値は、cemiplimab群6.2カ月(95%信頼区間:4.5-8.3)、化学療法群5.6カ月(95%信頼区間:4.5-6.1)、ハザード比0.59(95%信頼区間:0.49-0.72、p<0.0001)となった。12カ月時と24カ月時のPFS率は、cemiplimab群で37.8%、28.0%、化学療法群で7.2%、3.9%となった。

 PD-L1の発現が50%以上のITT解析対象のPFS中央値は、cemiplimab群8.2カ月(95%信頼区間:6.1-8.8)、化学療法群5.7カ月(95%信頼区間:4.5-6.2)、ハザード比0.54(95%信頼区間:0.43-0.68、p<0.0001)となった。12カ月時と24カ月時のPFS率は、cemiplimab群で40.7%、27.8%、化学療法群で7.1%、NEとなった。

 奏効率は、ITT解析対象のcemiplimab群では36.5%(95%信頼区間:31.5-41.8)、化学療法群では20.6%(95%信頼区間:16.5-25.2)、p<0.0001となった。奏効期間中央値はcemiplimab群21.0カ月、化学療法群6.0カ月、奏効までの期間の中央値は両群ともに2.1カ月だった。PD-L1の発現が50%以上のITT解析対象のcemiplimab群では39.2%(95%信頼区間:33.5-45.2)、化学療法群では20.4%(95%信頼区間:15.8-25.6)、p<0.0001となった。奏効期間中央値はcemiplimab群16.7カ月、化学療法群6.0カ月、奏効までの期間の中央値は両群ともに2.1カ月だった。

 ベースラインのPD-L1の発現の高さは、cemiplimab群の転帰の改善と関連していたが、化学療法群ではこのような関連はみられなかった。

 健康関連QOLは、cemiplimab群で早期から改善がみられ、持続していた。

 cemiplimabへの曝露期間が長期に及んだにも関わらず、安全性プロファイルと健康関連QOLの結果は、この薬のポジティブなベネフィットとリスクのプロファイルを裏付けるものとなった。グレード3以上の有害事象の発現率は、cemilplimab群37.2%、化学療法群48.5%だった。

 Sezer氏は「今回のデータは、PD-L1の発現が50%以上の進行NSCLC患者に対し、cemiplimabは単剤で新たな1次治療の選択肢となる根拠となるもの」とした。

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