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2020/09/24

切除不能なIII期のNSCLCに対する化学放射線療法後の地固め療法としてデュルバルマブは4年後も有効性が持続【ESMO2020】

森下紀代美=医学ライター

 切除不能な III期の非小細胞肺癌(NSCLC)で化学放射線療法後に増悪していない患者を対象として、抗PD-L1抗体デュルバルマブとプラセボを比較したフェーズ3のランダム化比較試験PACIFICの最新結果が明らかになった。4年後の時点でも、デュルバルマブにより無増悪生存期間(PFS)と(OS)における有用性が持続していることが示された。デュルバルマブ群に割り付けられた患者は、4年後の時点でも約半数が生存しており、約3分の1の患者は増悪していなかった。

 9月19日から21日まで開催されたESMO VIRTUAL CONGRESS 2020(ESMO2020)で、英The University of Manchester、The Christie NHS FoundationのCorinne Favire-Finn氏が発表した。

 PACIFIC試験の対象は、切除不能なIII期のNSCLCで、2サイクル以上の白金系抗癌剤を含む化学療法と同時に放射線療法を行い、増悪していない患者だった。PD-L1の状態は問わなかった。デュルバルマブ10mg/kg(デュルバルマブ群)またはプラセボ(プラセボ群)を2週毎に最大12カ月間投与する群に、患者を2対1でランダムに割り付けた。ランダム化割り付けは、患者が最後の放射線療法を受けてから1-42日の間に行われた。層別化因子は、年齢、性別、喫煙歴だった。主要評価項目は、盲検下独立中央判定(BICR)によるPFSとOSだった。

 713人がランダム化割り付けに進み、デュルバルマブ群476人、プラセボ群237人となった。初回の中間解析で、PFSはデュルバルマブ群で有意に延長した。データカットオフ日を2017年2月13日とし、追跡期間中央値14.5カ月において、PFS中央値は、デュルバルマブ群16.8カ月、プラセボ群5.6カ月、ハザード比0.52(95%信頼区間:0.42-0.65、p<0.001)となった(S.J. Antonia, et al. N Engl J Med 2017;377:1919-29)。

 2018年にはOSの結果も報告された。データカットオフ日を2018年3月22日とし、追跡期間中央値25.2カ月において、OS中央値は、デュルバルマブ群は未到達、プラセボ群は28.7カ月、ハザード比0.68(99.73%信頼区間:0.47-0.997、p=0.0025)となった。24カ月時のOS率はそれぞれ66.3%、55.6%だった(p=0.005)。PFSは初回報告と同様だった(S. J. Antonia, et al. N Engl J Med 2018;379:2342-50)。

 安全性プロファイルも管理可能であり、これらの結果から、デュルバルマブは化学放射線療法後の地固め療法として標準治療として位置づけられた。今回は、探索的な解析として、PACIFIC試験で最後の患者がランダム化割り付けされてから4年後のOSとPFSの最新結果が報告された。

 2017年5月に最後の患者が試験治療を完了した。2020年3月20日をデータカットオフ日とし、追跡期間中央値は34.2カ月(範囲:0-64.9)となった。

 最新のOS中央値は、デュルバルマブ群47.5カ月(95%信頼区間:38.4-52.6)、プラセボ群29.1カ月(95%信頼区間:22.1-35.1)、ハザード比0.71(95%信頼区間:0.57-0.88)となった。12カ月時、24カ月時、36カ月時、48カ月時のOS率は、デュルバルマブ群でそれぞれ83.1%、66.3%、56.7%、49.6%、プラセボ群では74.6%、55.3%、43.6%、36.3%だった。

 最新のPFS中央値は、デュルバルマブ群17.2カ月(95%信頼区間:12.3-23.8)、プラセボ群5.6カ月(95%信頼区間:4.6-7.7)、ハザード比0.55(95%信頼区間:0.44-0.67)となった。12カ月時、24カ月時、36カ月時、48カ月のPFS率は、デュルバルマブ群でそれぞれ55.3%、44.8%、39.8%、35.3%、プラセボ群で34.4%、24.8%、20.5%、19.5%だった。

 事前に定められていたサブグループでは、EGFR遺伝子変異陽性を除き、すべてのグループのOSとPFSでデュルバルマブが優れることが示された。

 またPD-L1については、PACIFIC試験では検査が必須とされておらず、ランダム化された患者の37%はPD-L1の状態が不明だった。可能だった患者において、化学放射線療法施行前の腫瘍組織でPD-L1の検査が行われた。PD-L1の発現によるサブグループ解析では、1%未満のグループを除き、すべてのグループのOSとPFSでデュルバルマブが優れる結果となった。

 Faivre-Finn氏は「現在進行中の複数の臨床試験では、免疫チェックポイント阻害薬+同時化学放射線療法のレジメンが検討されており、切除不能なIII期のNSCLC患者の治療状況は今後変わる可能性がある」と話した。

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