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2020/09/22

ハイリスク早期乳癌の術前補助化学療法としてiddEPC療法のiDFSとOSはweeklyパクタキセル+リポソーム化ドキソルビシンと変わらず【ESMO2020】

森下紀代美=医学ライター

 ハイリスクの早期乳癌患者に対する術前補助化学療法として、intense dose-dense EPC療法(iddEPC、エピルビシン、パクリタキセル、シクロホスファミド)は、weeklyパクリタキセル+リポソーム化ドキソルビシン(トリプルネガティブ乳癌ではカルボプラチンも併用)と比べて、病理学的完全奏効(pCR)率に加え、浸潤性疾患のない生存期間(iDFS)、全生存期間(OS)でも差がないことが、フェーズ3のランダム化比較試験GeparOctoから示された。ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性乳癌のサブグループでは、iddEPC療法でiDFSとOSが有意な改善が示された。

 9月19日から21日まで開催されたESMO VIRTUAL CONGRESS 2020(ESMO2020)で、ドイツUniversity Hospital、German Cancer Research CenterのAndreas Schneeweiss氏が発表した。

 GeparOcto試験の対象はハイリスクの早期乳癌で、TNBC、HER2陽性乳癌、ハイリスクのHR陽性HER2陰性乳癌のいずれかとされた。

 術前補助化学療法として、iddEPC療法を行う群(iddEPC群)、またはweeklyパクリタキセルとリポソーム化ドキソルビシン(トリプルネガティブ乳癌[TNBC]ではカルボプラチンも追加)を投与する群(PM群)に、患者をランダムに割り付けた。iddEPC群では、エピルビシン150mg/m2を2週毎に3サイクル投与した後、パクリタキセル225mg/m2、シクロホスファミド2000mg/m2も同様に2週毎に各3サイクル投与した。PM群では、パクリタキセル80mg/m2とリポソーム化ドキソルビシ20mg/m2をそれぞれ週1回投与し、TNBCの患者にはカルボプラチンもAUC1.5で週1回投与、いずれも18週間繰り返した。両群ともにHER2陽性の患者には、トラスツズマブ6mg/kg(初回投与時は8mg/kg)とペルツズマブ420mg(初回投与時は840mg)を3週毎に全サイクルで追加投与した。術後の局所療法と内分泌療法はドイツのガイドラインに従って実施した。

 主要評価項目は病理学的完全奏効(pCR;ypT0/is ypN0)、主な副次的評価項目は浸潤性疾患のない生存期間(iDFS)と全生存期間(OS)だった。

 2014年12月から2016年6月までに961人がランダム化割り付けに進み、945人で試験治療が開始され、iddEPC群470人、PM群475人となった。

 pCRの結果はすでに報告されており、pCR率はiddEPC群48.3%、PM群48%、オッズ比0.99(95%信頼区間:0.77-1.28、p=0.979)で有意差はなく、「iddEPC療法は実地臨床における有効なdose-denseレジメンの1つ」と結論された(A. Schneeweiss, et al. European Jouranl od Cancer 2019;106:181-92)。

 今回は、副次的評価項目のiDFSとOSの結果が報告された。これらの解析は、Covid-19の状況により、当初予定されていた169件より少ない162件のイベント発生時に行われたが、検出力の低下は2%のみだった。

 追跡期間中央値47.0カ月において、iDFSのイベントは162件、死亡は79件発生した。iddEPC群ではそれぞれ75件、41件、PM群では87件、38件だった。iDFSでは遠隔転移が最も多く、iddEPC群47件、PM群51件で報告された。

 全対象ではiDFSとOSに差はなかった。4年時のiDFS率は、iddEPC群81.9%、PM群79.7%で、PM群のiddEPC群に対するハザード比は1.16(95%信頼区間:0.85-1.59、p=0.3357)、OS率はそれぞれ90.3%、90.6%、ハザード比0.90(95%信頼区間:0.58-1.40、p=0.6371)となった。

 TNBCのサブグループでも差はなく、4年時のiDFS率は、iddEPC群73.7%、PM群80.3%、ハザード比0.73(95%信頼区間:0.47-1.13、p=0.1562)、OS率はそれぞれ82.9%、88.3%、ハザード比0.66(95%信頼区間:0.38-1.15、p=0.1442)だった。

 HER2陽性乳癌のサブグループでも差はなく、4年時のiDFS率は、iddEPC群91.3%、PM群86.1%、ハザード比1.77(95%信頼区間:0.93-3.36、p=0.0836)、OS率はそれぞれ96.3%、97.3%、ハザード比0.55(95%信頼区間:0.16-1.89、p=0.3444)だった。

 ただし、HR陽性HER2陰性乳癌のサブグループでは有意差がみられた。4年時のiDFS率は、iddEPC群77.9%、PM群62.5%、ハザード比2.11(95%信頼区間:1.08-4.10、p=0.0284)、OS率はそれぞれ94.7%、80.1%、ハザード比3.26(95%信頼区間:1.06-10.00、p=0.0388)となり、いずれもiddEPC群で有意に改善した。

 HR陽性HER2陰性乳癌で有意差が示されたことについて、Schneeweiss氏は「pCRやCPS-EGスコアのような予後予測マーカーでは示されない、ルミナール様のHER2陰性乳癌患者に対する術前補助化学療法の追加効果の概念を裏付けるもの」と話した。

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