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2020/09/22

mCRPCでBRCA1、BRCA2±ATMの遺伝子変異を有する患者のOSをオラパリブが有意に延長【ESMO2020】

森下紀代美=医学ライター

 転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)で、相同組換え修復(HRR)に関与するBRCA1BRCA2、ATMの遺伝子異常を有し、前治療で増悪した患者に対し、オラパリブは新規ホルモン療法薬と比べて、画像上の無増悪生存期間(PFS)の有意な延長に加え、クロスオーバー率が高かったにもかかわらず、全生存期間(OS)も有意に延長した。非盲検、フェーズ3のランダム化比較試験(RCT)PROfoundのOSの最終解析から明らかになった。

 9月19日から21日まで開催されたESMO VIRTUAL CONGRESS 2020(ESMO2020)で、スペインVall d’Hebron Institute of Oncology、Vall d’Hebron University HospitalのJoaquin Mateo氏が発表した。

 PROfound試験の対象は、mCRPCで、エンザルタミドやアビラテロンなどの新規ホルモン療法薬の投与中に増悪した男性患者。この試験では、FoundationOne CDxを用いて、腫瘍の生検標本でBRCA1、BRCA2、ATM、BARD1、BRIP1などHRRに直接的または間接的に関与する15遺伝子を検査しており、全例がこれらの遺伝子の異常を1つ以上有していた。コホートA(245人)はBRCA1、BRCA2、ATMの遺伝子異常のうち1つ以上を有する患者、コホートB(142人)はその他の遺伝子異常のうち1つ以上を有する患者とした。各コホートの患者を、オラパリブ300mgを1日2回投与する群(オラパリブ群)、または医師の選択によりエンザルタミドかアビラテロン+プレドニゾンを投与する対照群に、2対1でランダムに割り付けた。対照群の患者は、画像で増悪が認められた場合はオラパリブへのクロスオーバーが認められた。

 主要評価項目は、盲検独立中央判定(BICR)によるコホートAの画像所見に基づく無増悪生存期間(PFS)、重要な副次的評価項目の1つがコホートAのOSだった。患者のランダム化割り付けは2017年4月から2018年11月までに行われた。

 主要評価項目であるコホートAのPFSの結果はすでに報告されている。PFS中央値は、オラパリブ群(162人)7.4カ月、対照群(83人)3.6カ月、ハザード比0.34(95%信頼区間:0.25-0.47、p<0.001)となった。中間解析におけるコホートAのOSは、オラパリブ群18.5カ月、対照群15.1カ月、ハザード比0.64(95%信頼区間:0.43-0.97、p=0.02)となっていた(J. de Bono, et al. N Engl J Med 2020;382:2091-102)。

 今回は、最終のOSの解析結果が報告された。コホートA+Bのオラパリブ群は256人、対照群は131人で、対照群の86人(66%)がオラパリブにクロスオーバーしていた。この影響を調整したOSの感度分析の実施も事前に定められており、rank-preserving structural failure time(RPSFTM)モデルを用いて行われた。

 データカットオフの2020年3月20日の時点で、コホートAの追跡期間中央値は、オラパリブ群21.9カ月、対照群21.0カ月だった。コホートAのOS中央値は、オラパリブ群19.1カ月(95%信頼区間:17.4-23.4)、対照群14.7カ月(95%信頼区間:11.9-18.8)、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.50-0.97、p=0.0175)で、オラパリブ群で有意に延長した。

 コホートAでは対照群の67%がクロスオーバーしており、調整後のOSのハザード比は0.42(95%信頼区間:0.19-0.91)となり、調整前と比べて生存曲線がより開いていた。

 コホートBの追跡期間中央値は、オラパリブ群18.7カ月、対照群18.3カ月だった。コホートBのOS中央値は、オラパリブ群14.1カ月(95%信頼区間:11.1-15.9)、対照群11.5カ月(95%信頼区間:8.2-17.1)、ハザード比0.96(95%信頼区間:0.63-1.49)だった。コホートBでは対照群の63%がクロスオーバーしており、調整後のOSのハザード比は0.83(95%信頼区間:0.11-5.98)だった。

 コホートA+Bの追跡期間中央値は、オラパリブ群20.7カ月、対照群20.5カ月だった。コホートA+BのOS中央値は、オラパリブ群17.3カ月(95%信頼区間:15.5-18.6)、対照群14.0カ月(95%信頼区間:11.5-17.1)、ハザード比0.79(95%信頼区間:0.61-1.03、p=0.0515)だった。クロスオーバーの影響を調整したOSのハザード比は0.55(95%信頼区間:0.29-1.06)となった。

 探索的な解析では、BRCA1、BRCA2の遺伝子変異を有する患者でオラパリブによるOSの有用性が示されたが、その他の遺伝子変異は対象数が少ないこともあり、有用性は示されなかった。

 安全性プロファイルは主要解析と一致していた。投与期間中央値は、オラパリブ群7.6カ月、対照群3.9カ月だった。グレード3以上の有害事象は、オラパリブ群52%、対照群40%、減量に至った有害事象(主に好中球減少症)はそれぞれ23%、5%、投与中止に至った有害事象は20%、8%、試験治療に関連すると報告された死亡は1%未満、1%に発現した。

 この試験は、分子で定義した前立腺癌のサブグループでOSの改善を前向きに検証した初のRCTとなり、研究チームは「日常臨床での遺伝子検査の実施を裏付ける」とした。試験の詳細は、New England Journal of Medicine誌の9月20日オンライン版に掲載されている。

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