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2020/09/21

濃厚な前治療を受けた転移を有するHR陽性HER2陰性乳癌患者のOSがアベマシクリブ+タモキシフェンで延長する可能性【ESMO2020】

森下紀代美=医学ライター

 濃厚な前治療を受けた転移を有するホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性乳癌(MBC)患者に対し、CDK4/6阻害薬アベマシクリブタモキシフェンと併用することにより、アベマシクリブ単剤と比べて全生存期間(OS)が有意に延長することが、多施設共同、非盲検、フェーズ2のランダム化比較試験next MONARCHのOSの最終解析から示された。この試験にはOSの優越性の検出力はなかったが、アベマシクリブとタモキシフェンの併用は、アベマシクリブ単剤200mgと比べてOSを7.2カ月延長し、死亡のリスクが38%減少する結果となった。

 9月21日まで開催されているESMO VIRTUAL CONGRESS 2020(ESMO2020)で、米Sarah Cannon Research Institute-Cancer CentreのErika Hamilton氏が発表した。

 nextMONARCH試験の対象は、アベマシクリブ単剤を評価したMONARCH1試験と同じ(MONARCH1試験ではタキサンの投与が条件に含まれていた点を除く)で、HR陽性HER2陰性のMBCで2レジメン以上の化学療法を受けており、転移に対する化学療法を1-2レジメン受けている患者だった。アベマシクリブ150mgとタモキシフェン20mgを投与する群(A+T群、78人)、アベマシクリブ150mgを投与する群(A-150群、79人)、アベマシクリブ200mgと予防的にロペラミドを投与する群(A-200群、77人)の3群に、患者を1対1対1でランダムに割り付けた。主要評価項目は試験担当医の評価による無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目は奏効率、安全性、OSだった。探索的な評価項目には、バイオマーカーと臨床転帰の関連などが含まれた。

 PFSの主要解析の結果はすでに報告されている。PFS中央値は、A+T群9.1カ月、A-150群6.5カ月、A-200群7.4カ月で、A+T群のA-200群に対するハザード比は0.815、p=0.293となり、有意差はなかったが、アベマシクリブにタモキシフェンを追加することでPFS中央値は数字上延長していた(E. Hamilton, et al. SABCS 2018 Abstract No.PD1-11)。

 今回は、最後の患者が治療を開始してから24カ月後の時点に予定されていたOSの最終解析の結果が報告された。この試験にはOSの優越性を検証するパワーはなかったが、OSの検証はあらかじめ定められた副次的評価項目に含まれていた。

 データカットオフ日の2019年6月28日の時点において、234人中12人(A+T群6人、A-150群3人、A-200群3人)が試験治療を継続していた。追跡期間中央値は27.2カ月だった。

 OS中央値は、A+T群24.2カ月、A-150群20.8カ月、A-200群17.0カ月となり、ハザード比は、A+T群 vs A-200群で0.62(95%信頼区間:0.40-0.97、p=0.0341)、A-150群 vs A-200群で0.96(95%信頼区間:0.64-1.44、p=0.8321)となった。

 A+T群とA-150群のOSのサブグループ解析では、肝転移があるグループ、前治療で転移に対しタキサンの投与を受けたグループなどを含む、すべてのサブグループでA+Tが優れていた。

 PFSの最新解析の結果は主要解析と変わらなかった。PFS中央値は、A+T群9.07カ月、A-150群7.20カ月、A-200群7.43カ月となり、ハザード比はA+T群 vs A-200群で0.81(95%信頼区間:0.56-1.16、p=0.2493)、A-150群 vs A-200群で1.06(95%信頼区間:0.74-1.53、p=0.7400)となった。

 奏効率も主要解析時の結果と一致しており、A+T群34.6%、A-150群24.1%、A-200群33.8%だった。臨床的有効率(CBR)は、それぞれ61.5%、49.4%、51.9%だった。

 安全性に関する新たな知見はみられなかった。試験治療下で発現した有害事象(TEAE)のうち、グレード3/4の事象では、下痢の頻度は低く、いずれもグレード3のみでA+T群1.3%、A-150群3.8%、A-200群9.1%だった。グレード3/4の好中球減少症はA+T群20.5%/2.6%、A-150群29.1%/1.3%、A-200群33.8%/3.9%、貧血はA+T群12.8%/1.3%、A-150群7.6%(グレード3のみ)、A-200群11.7%(グレード3のみ)だった。嘔気はグレード3のみでA+T群2.6%、A-150群2.5%、A-200群2.6%、白血球減少症はグレード3のみでA+T群10.3%、A-150群12.7%、A-200群11.7%、疲労感はグレード3のみでA+T群3.8%、A-150群2.5%、A-200群6.5%の頻度だった。

 特に注目すべきTEAEのうち、静脈血栓塞栓症は、全グレードではA+T群10.3%、A-150群5.1%、A-200群3.9%に発現し、グレード3/4はそれぞれ5.1%、2.5%、2.6%だった。肺臓炎の発現は稀で、全グレードではA-150群1.3%、A-200群1.3%に発現し、グレード3/4はA-200群1.3%のみだった。有害事象による死亡は6人で、主要解析と一致していた。

 アベマシクリブ単剤については、今回のデータはMONARCH1試験の結果を確認するものとなり、またTEAEの下痢の頻度と重症度の改善が示された。MONARCH1試験ではグレード3の下痢がが約20%に発現していた。

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