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2020/09/21

再発卵巣癌にトラベクテジン/リポソーム化ドキソルビシンはOS改善を示さず、プラチナ系薬剤は変わらず標準治療【ESMO2020】

八倉巻尚子=医学ライタ

 プラチナ系薬剤の最終投与後6-12カ月に再発した卵巣癌に対し、トラベクテジンリポソーム化ドキソルビシン(PLD)の併用療法(TP療法)を行い増悪時にプラチナ系薬剤を再投与する治療は、カルボプラチンとPLD併用療法に比べて、有意な生存改善はなかったことが、無作為化フェーズ3試験のINOVATYON試験で明らかになった。

 9月21日まで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、イタリアIstituto di Ricovero e Cura a Carattere Scientifico (IRCCS) /University of Milan- BicoccaのNicoletta Colombo氏らが発表した。

 INOVATYON試験は、プラチナ系薬剤の投与後に再発した卵巣癌に対し、カルボプラチン/PLD(CP療法)に比べ、トラベクテジン/PLD(TP療法)を投与し再発時にプラチナ系薬剤を再投与するレジメンによる、全生存期間(OS)の改善を検証することを主要目的として行われた。副次目的には、無増悪生存期間(PFS)、次治療からのPFS、安全性、QOLの評価が含まれた。

 試験は、プラチナ系薬剤による1次治療もしくは2次治療後に再発した卵巣癌で、プラチナ系薬剤の最終投与からの期間(platinum-free interval;TFIp)が6-12カ月の患者を対象に行われた。患者にはPLD (30mg/m2)とトラベクテジン(1.1mg/m2)を3週おきに投与(TP群)、もしくはPLD(30mg/m2)とカルボプラチン(AUC 5)を4週おきに投与した(CP群)。増悪後の次治療は、TP群ではプラチナ系薬剤の再投与が必須であり、CP群では医師の判断で投与された。

 層別因子は、施設、化学療法ライン(2次、3次)、測定可能病変、アントラサイクリン系薬剤の投与歴であった。

 欧州117施設の617人が登録し、CP群に304人、TP群に307人が割り付けられた。2群の患者背景は類似していた。TFIpの中央値はCP群8.4カ月、TP群8.3カ月だった。2群とも30%の患者はプラチナ系薬剤による2回の治療歴を有した。生殖細胞系列BRCA遺伝子変異型の患者が9.2%と13.4%だった。

 6サイクル目までに治療が中断された患者が、CP群では28.3%、TP群は45.6%だった。6サイクル以降での中止が68.1%と53.4%であった。治療中断の理由は、病勢進行が64.0%と50.0%、死亡が5.8%と4.3%、許容できない毒性による中断が15.1%と19.3%、患者拒否/同意撤回が4.6%と12.8%だった。

 観察期間中央値44カ月で、死亡は466人、CP群230人(75.7%)、TP群236人(76.9%)であった。OS中央値は、CP群で21.3カ月(95%信頼区間:11.8-37.0)、TP群21.5カ月(95%信頼区間:11.6-32.4)で、ハザード比1.10(95%信頼区間:0.92-1.32)、p=0.284で、有意な違いは示されなかった。

 PFSの中央値は、CP群で9.0カ月(95%信頼区間:5.5-12.4)、TP群7.5カ月(95%信頼区間:3.0-11.5)でCP群が長く、ハザード比は1.26(95%信頼区間:1.07-1.49)、p=0.005だった。

 次治療を受けた患者は、CP群では74.0%、TP群では73.6%だった。次治療としてプラチナ系薬剤ベースの治療が行われたのはCP群17.8%、TP群では63.2%だった。また試験治療の維持療法としてPARP阻害薬が使われたのはCP群で6.6%、TP群で0.3%、次治療の維持治療としてPARP阻害薬が使われたのはCP群11.5%、TP群15.0%であった。

 次治療開始からのPFS中央値は、CP群5.7カ月(95%信頼区間:2.9-10.5)、TP群7.4カ月(95%信頼区間:4.1-10.9)でTP群が長く、ハザード比は0.84(95%信頼区間:0.70-1.02)、p=0.086であった。特にTP群でプラチナ系薬剤が投与された場合にはハザード比0.80(95%信頼区間:0.65-0.98)、p=0.028となった。

 OSのサブグループ解析において、TP群が明らかに有効な患者グループは同定されなかったが、前治療数が1回の患者ではCP群が良好な傾向を示した。

 そこで前治療数ごとのPFSとOSが解析された。PFSは、前治療が1回の患者ではハザード比1.42(95%信頼区間:1.17-1.73)、p<0.001となり、前治療が2回の患者では1.03(95%信頼区間:0.76-1.39)、p=0.863であった。OSは、前治療が1回の患者ではハザード比1.22(95%信頼区間:0.98-1.52)、p=0.073、2回の患者では0.87(95%信頼区間:0.63-1.22)、p=0.426となった。

 CP群のほうが良好な安全性プロファイルを示した。グレード3以上の薬剤関連有害事象は、CP群で36%、TP群で69%に認められた。グレード3以上の薬剤関連有害事象で最も多かったのは血液毒性で、CP群28%、TP群45%に見られ、消化器毒性はCP群7%、TP群18%、肝毒性はCP群1%、TP群18%であり、全グレードの神経毒性は両群とも18%であった。

 QOLは、QLQ-C30とQLQ-OV28を用いて、治療開始前と治療終了時/増悪時に評価された。全般的な健康状態はTP群のほうが不良であり、倦怠感、悪心・嘔吐、食欲不振などがTP群で多かった。

 以上の結果から、TP療法を行い増悪時にプラチナ系薬剤を再投与するレジメンは、CP療法よりもOSの有意な改善は示さず、主要評価項目は到達しなかったとした。このためプラチナ系薬剤ベースのレジメンは、プラチナ系薬剤の最終投与後6-12カ月に再発した卵巣癌患者では標準治療であると述べた。しかしTP療法はCP療法と同様のOSを示したことから、プラチナ系薬剤の治療数が多く、プラチナ系薬剤による毒性からの回復に時間を要する患者においては、TP療法を検討することが可能であるとした。

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