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2020/09/21

プラチナ製剤とICI治療歴のある進行尿路上皮癌に抗体薬物複合体sacituzumab govitecanは有望【ESMO2020】

八倉巻尚子=医学ライター

 プラチナ製剤と免疫チェックポイント阻害薬(ICI)後に増悪した進行尿路上皮癌に対して、抗体薬物複合体sacituzumab govitecanは臨床効果を示し、毒性も管理可能であることが、フェーズ2試験のTROPHY-U-01コホート1の最終結果で明らかになった。9月21日まで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、フランスInstitut de Cancerologie Gustave RoussyのYohann Loriot 氏らが発表した。

 sacituzumab govitecanは、ヒト化抗Trop-2モノクローナル抗体とイリノテカン活性代謝物であるSN-38をリンカーを介して結合させた抗体薬物複合体。TROPHY-U-01コホート1の中間解析では、転移を有する尿路上皮癌(mUC)患者35人において奏効率(ORR)は29%であった(ESMO2019)。米国FDAによりsacituzumab govitecanはmUCにおけるファストトラック指定を受けており、トリプルネガティブ進行乳癌では迅速承認が行われた。

 TROPHY-U-01試験(NCT03547973)は、複数のコホートからなる世界オープンラベルのフェーズ2試験。測定可能病変を有する局所進行切除不能もしくは転移のあるUC患者で、ECOG PS 0-1の患者を対象に、sacituzumab govitecan 10mg/kgを1サイクル21日として1日目と8日目に投与した。治療は臨床効果がなくなる、もしくは許容できない毒性の発現まで継続された。

 コホート1は、プラチナ製剤を用いた治療と免疫チェックポイント阻害薬(ICI)後に進行した患者を対象としている。前治療ライン数は問わなかった。試験の主要目標は中央審査でRECISTv1.1に基づいて評価された奏効率(ORR)、副次目標は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、安全性/忍容性であった。

 最終的なITT解析は113人を対象に行われた。年齢中央値は66歳(33-90歳)、75歳以上が23%、男性が78%を占めた。ECOG PS 1の患者が72%、内臓転移のある患者は62%で、肝転移は28%だった。前治療数の中央値は3.0回(1-8)だった。Bellmuntスコア(ECOG PS>0、肝転移あり、ヘモグロビン値10g/dL未満)が0の患者が12%、1が54%、2が27%、3が6%であった。

 データカットオフ日は2020年5月18日。治療を継続していた患者が16人(14%)だった。治療中止理由は病勢進行が66%を占め、有害事象による中止は7%だった。治療期間の中央値は3.7カ月(0-16カ月)だった。

 この結果、中央判定で確定した奏効率(ORR)は27%(95%信頼区間:19-37)で、完全奏効6人、部分奏効25人だった。

 奏効期間(DOR)中央値は5.9カ月(95%信頼区間:4.7-8.6)、効果発現までの期間(TTR)中央値は1.6カ月(範囲:1.2-5.5)であった。奏効率、DOR、TTRは治験担当医師評価による結果と一致していた。

 腫瘍縮小は76%の患者で認められた。効果が見られた31人では27人が生存しており、8人は効果が続いており治療も継続していた。スパイダープロットでは腫瘍縮小が持続していることが示されていた。

 PFS中央値は5.4カ月(95%信頼区間:3.5-6.9)、OS中央値は10.5カ月(95%信頼区間:8.2-12.3)であった。

 主な治療関連有害事象(TRAE)は、好中球減少症(46%)、下痢(65%)、悪心(58%)、倦怠感(50%)、脱毛(47%)が見られた。グレード3以上のTRAEは、好中球減少症(グレード3が22%、グレード4が12%)、発熱性好中球減少症(同7%、3%)、貧血(14%、0%)、下痢(9%、1%)だった。TRAEによる治療中止は7人(6%)で、うち3人は好中球減少症もしくはその合併症によるものだった。30%の患者がG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を使用した。治療関連死(発熱性好中球減少症による敗血症)は1人であった。

 以上の結果から、プラチナ製剤とICI後に進行した、治療歴が多いmUC患者において、sacituzumab govitecanは臨床的効果と安全性を示したとした。またORR、DOR中央値、PFS中央値は化学療法単剤のデータ(ORRが10%、PFSが2-3カ月)と比較して良好であるという。
 
 現在、sacituzumab govitecanの無作為化フェーズ3試験TROPiCS-04(NCT04527991)が進行している。局所進行切除不能もしくは転移のあるUCで、プラチナ製剤と抗PD-1/PD-L1抗体の治療後に進行した患者もしくはプラチナ製剤の術前/術後治療で12カ月以内に再発し、続いてICIを投与した患者を対象としている。sacituzumab govitecanを投与する群と化学療法(ドセタキセル、パクリタキセル、Vinflunineのいずれか)を投与する群を比較する。主要評価項目はOS、副次評価項目にはPFS、ORR、DOR、QOLが含まれる。

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