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2020/09/20

進行尿路上皮癌の1次治療で化学療法へのペムブロリズマブ追加はPFS、OSの改善を示さず【ESMO2020】

八倉巻尚子=医学ライター

 進行尿路上皮癌の1次治療として、プラチナ系薬剤を用いた化学療法への抗PD-1抗体ペムブロリズマブの追加は、化学療法単独に比べて、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)の有意な改善を示さなかったことが、オープランラベル無作為化フェーズ3試験のKEYNOTE-361試験で明らかになった。9月21日まで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、米国University of Michigan Health SystemのAjjai Alva氏らが発表した。

 KEYNOTE-361試験(NCT02853305)は、局所進行切除不能または転移性尿路上皮癌(腎盂、尿管、膀胱、尿道)で、ECOG PS 0-2、進行病変に対する全身療法が行われていない患者を対象に行われた。患者をペムブロリズマブ+化学療法群、ペムブロリズマブ群、化学療法群に1:1:1の割合で無作為化割付した。プラチナ系薬剤の種類、PD-L1発現(CPS10以上、10未満)で層別化された。

 ペムブロリズマブ+化学療法群では、ペムブロリズマブ200mgを3週毎、化学療法を最長6サイクルまで投与し、その後、維持治療としてペムブロリズマブ200mgを3週毎に最長29サイクルまで投与した。化学療法はゲムシタビン(1000mg/m2)とシスプラチン(70mg/m2)またはカルボプラチン(AUC5)を治験担当医師が選択して投与した。ペムブロリズマブ群では、ペムブロリズマブ200mgを3週毎に最長35サイクルまで投与した。化学療法群では化学療法を最長6サイクルまで投与した。

 主要評価項目は、盲検中央判定によるPFSとOSであった。副次評価項目はRECIST v1.1に基づき盲検中央評価による奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、奏効期間(DOR)、および安全性であった。

 試験は順次解析する方法で行われた。まず全患者(ITT)におけるペムブロリズマブ+化学療法群と化学療法群において、PFSとOSの優越性が検討された。全体のα=2.5%(片側検定)を維持するために中間解析時に消費したαが調整され、最終解析におけるp値の境界値はPFSで0.0019、OSで0.0142と設定された。

 続いて、ペムブロリズマブ+化学療法群のOSが化学療法群に対して優越性が示された場合にのみ、CPS10以上の患者においてペムブロリズマブ群と化学療法のOSの非劣性、次にOSの優越性を検証する。優越性が示されれば、全患者においてペムブロリズマブ群と化学療法を検証するデザインであった。

 2016年10月19日から2018年6月29日までに1010人が無作為化された。2020年4月29日時点で、無作為化からカットオフまでの期間の中央値は31.7カ月(22.0-42.3カ月)であった。

 ペムブロリズマブ+化学療法群351人、ペムブロリズマブ群307人、化学療法群352人で、患者背景はバランスがとれていた。肝転移を有する患者が各群2割、PD-L1 CPS10以上の患者はそれぞれ45.3%、51.8%、45.2%であった。化学療法は各群シスプラチンとカルボプラチンがおよそ半数ずつだった。

 解析の結果、全患者における盲検中央判定のPFS中央値は、ペムブロリズマブ+化学療法群8.3カ月(95%信頼区間:7.5-8.5)、化学療法群7.1カ月(95%信頼区間:6.4-7.9)で、ハザード比0.78(95%信頼区間:0.65-0.93)、p=0.0033だった。設定されたp値の境界値0.0019を超えていたため、有意ではなかった。2群の曲線は6カ月以降は開いており、開きは30カ月でも続いていた。12カ月PFS率は32.3%と18.5%だった。

 また探索的解析として、治験担当医師評価のPFS中央値は、ペムブロリズマブ+化学療法群8.3カ月(95%信頼区間:7.4-8.5)、化学療法群6.5カ月(95%信頼区間:6.2-7.4)で、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.59-0.82)だった。
盲検中央判定と治験担当医師評価の違いは主に、化学療法群において治験担当医師評価でPDとなった患者が盲検中央判定ではPDとは判定されたなかったことによるとしている。

 全患者における盲検中央判定のPFSに関するサブグループ解析では、ペムブロリズマブ+化学療法群のほうが良好な傾向が見られた。

 全患者におけるOS中央値は、ペムブロリズマブ+化学療法群17.0カ月(95%信頼区間:14.5-19.5)、化学療法群14.3カ月(95%信頼区間:12.3-16.7)で、ハザード比0.86(95%信頼区間:0.72-1.02)、p=0.0407であった。設定されたp値の境界値0.0142を超えていたため、有意ではなかった。12カ月OS率は61.8%と56.0%だった。

 次治療を受けた患者は、ペムブロリズマブ+化学療法群35.3%、ペムブロリズマブ群41.0%、化学療法群61.1%だった。抗PD-1/PD-L1抗体による治療を受けた患者はそれぞれ6.6%、4.6%、48.0%であった。

 探索的解析で、化学療法群において抗PD-1/PD-L1抗体の治療を受けた患者とペムブロリズマブ+化学療法群の比較では、OSハザード比0.71(95%信頼区間:0.48-1.04)となった。

 また、全患者におけるペムブロリズマブ+化学療法群のOSで優越性が示されなかったため、正式な解析結果ではないが、CPS10以上の患者およびITT患者でのペムブロリズマブ群と化学療法群のOSは類似しており、2群の曲線の開きは小さく、投与早期は化学療法群が上回り、その後クロスしていた。CPS10以上の患者におけるOSハザード比は1.01(95%信頼区間:0.77-1.32)、ITT患者は0.92(95%信頼区間:0.77-1.11)だった。

 奏効率(ORR)はペムブロリズマブ+化学療法群54.7%、ペムブロリズマブ群30.3%、化学療法群44.9%だった。DCRはそれぞれ80.3%、47.2%、75.9%であった。奏効期間(DOR)中央値は8.5カ月と28.2カ月、6.2カ月だった。

 ペムブロリズマブ+化学療法群の安全性プロファイルは化学療法群と類似していた。ペムブロリズマブ単独の有害事象は既報と一致して化学療法に比べて少なかった。グレード3-5の有害事象は、ペムブロリズマブ+化学療法群87.4%、ペムブロリズマブ群62.9%、化学療法群81.9%であった。有害事象による死亡は9.2%、8.6%、2.6%だった。有害事象による投薬中止は30.9%、15.9%、18.1%であった。

 以上の結果から、未治療の進行尿路上皮癌に対し、化学療法へのペムブロリズマブの追加は化学療法単独に比べて、PFSおよびOSにおける統計学的な有用性を示さなかったとした。

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