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2020/09/18

全身治療未治療の切除不能HCCで有用性が示されたアテゾリズマブ+ベバシズマブ、特に注目すべき有害事象も管理可能【ESMO2020】

森下紀代美=医学ライター

 全身治療を受けたことがない切除不能肝細胞癌(HCC)患者を対象に、抗PD-L1抗体アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法をソラフェニブと比較したフェーズ3のIMbrave150試験から、有害事象に関する新たな解析結果が報告された。アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法は、特に注目すべき有害事象(adverse events of special interest:AESI)の管理が可能で、AESIの性質と重症度は個々の薬剤とHCCで既知の安全性プロファイルと一致していたことがわかった。

 9月21日までVirtual形式で開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2020)で、国立がん研究センター東病院肝胆膵内科長の池田公史氏が発表した。

 IMbrave150試験は、日本を含む世界規模で実施された非盲検の多施設共同試験。全身治療の治療歴がない切除不能HCC患者を、アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法を行う群(アテゾリズマブ群、336人)、または対照群としてソラフェニブを投与する群(ソラフェニブ群、165人)に2対1でランダムに割り付けた。アテゾリズマブ群では、アテゾリズマブ1200mgとベバシズマブ15mg/kgを3週毎に投与し、ソラフェニブ群では、ソラフェニブ400mgを1日2回連日投与した。投与は、受容不能な毒性の発現、または試験担当医が臨床上の有益性がないと判断するまで継続された。主要評価項目は、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)だった。

 試験の結果、アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法は、ソラフェニブと比べて死亡のリスクを42%、増悪のリスクを41%減少させることがすでに報告されている。また同併用療法の安全性と忍容性は、個々の薬剤とHCCで既知の安全性プロファイルと一致していた(Richard S. Finn, et al. N Engl J Med 2020;382:1894-905)。

 免疫チェックポイント阻害薬に関連する免疫関連有害事象の早期発見は、治療の成功と臓器障害の可逆性に重要である。今回、池田氏らは、IMbrave150試験におけるアテゾリズマブとベバシズマブに関連するAESIの頻度と管理について報告した。

 IMbrave150試験ではAESIを事前に定義している。アテゾリズマブのAESIは、アテゾリズマブとその他の免疫チェックポイント阻害薬の免疫に関連するリスクに基づき、ベバシズマブのAESIは、ベバシズマブの既知の薬物有害反応に基づき、それぞれ定義された。今回の解析では、AESIの発現率、性質、重症度、発現から30日以内のコルチコステロイド(またはその他の免疫抑制薬)の使用について、試験治療を1回以上受けた全患者を対象とした。

 安全性の評価が可能だったのは、アテゾリズマブ群の329人(98%)、ソラフェニブ群の156人(95%)だった。2019年8月29日のカットオフ日において、追跡期間中央値は8.6カ月だった。投与期間中央値は、アテゾリズマブ7.4カ月、ベバシズマブ6.9カ月、ソラフェニブ2.8カ月だった。

 アテゾリズマブで定義したAESIは、アテゾリズマブ群の68.7%、ソラフェニブ群の82.1%に発現した。治療に関連するグレード3/4のAESIは、アテゾリズマブ群の14.9%、ソラフェニブ群の25.0%に発現し、いずれかの試験治療の中止につながったAESIはそれぞれ6.1%、5.8%に発現した。

 ベバシズマブで定義したAESIは、アテゾリズマブ群の57.8%、ソラフェニブ群の48.7%に発現した。治療に関連するグレード3/4のAESIは、アテゾリズマブ群の16.1%、ソラフェニブ群の13.5%に発現し、いずれかの試験治療の中止につながったAESIはそれぞれ7.9%、0.6%に発現した。

 アテゾリズマブおよびベバシズマブのAESIのほとんどはグレード1/2だった。アテゾリズマブで定義されたAESIのうち、インフュージョンリアクションは、全グレードではアテゾリズマブ群の10.9%に発現したが、グレード3/4は2.4%のみだった。肝炎、甲状腺機能低下症も、ソラフェニブ群と比べてアテゾリズマブ群で多く観察されたが、アテゾリズマブで定義されたAESIの50%以上が回復した。

 ベバシズマブで定義されたAESIの出血は、グレード3/4はアテゾリズマブ群の6.4%、ソラフェニブ群の5.8%に発現し、両群で同等だった。アテゾリズマブ群では、全グレードの消化管出血は2.4%、食道静脈瘤の出血は2.4%、上部消化管出血は1.2%に発現し、グレード3/4はそれぞれ1.8%、1.2%、0.6%に発現した。

 アテゾリズマブで定義されたAESIで、発現から30日以内にコルチコステロイドの全身投与が必要となった患者は、アテゾリズマブ群の12.2%だった。アテゾリズマブ群の4人(1.2%)では、ミコフェノール酸モフェチルなどその他の免疫抑制薬が必要だった。

 今回の結果から、池田氏らは「アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法は、全身治療を受けていない切除不能HCC患者の新たな標準治療となる」と結んだ。

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