このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

News ニュース

ニュース一覧へ

新着一覧へ

ニュース

2020/07/02

進行膵癌の1次治療としてNALIRIFOXが有用な可能性【WCGC2020】

横山勇生=編集委員

 進行膵管腺癌の1次治療として、ナノリポソーム型イリノテカン製剤nal-IRI)と5FU/LV、オキサリプラチンの併用療法(NALIRIFOX)が有用な可能性が明らかとなった。フェーズ1/2試験の主要解析で、ゲムシタビン+nab-パクリキセル、FOLFIRINOXで報告されている結果と効果は同等で副作用は少ないことが示された。

 7月1日から4日までバーチャル形式で行われているthe 2020 ESMO World Congress on GI Cancer (WCGC2020)で、米University of California Los AngelesのZev A. Wainberg氏によって発表された。

 フェーズ1/2試験は、未治療の局所進行または転移を有する膵管腺癌を対象に、NALIRIFOXの安全性と有効性を評価した。2パートから構成されたオープンラのベル試験として、オーストラリア、スペイン、米国の15施設で実施された。主要目的は、安全性、忍容性の評価と用量制限毒性(DLT)と推奨用量の決定。副次評価項目は、抗腫瘍効果で無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効率、16週時点の病勢コントロール率(DCR)、奏効期間だった。探索目的として、ゲノムプロファイリングによるバイオマーカー解析も行われた。

 フェーズ1/2試験は、28日間を1サイクルとして1日目と15日目にnal-IRI、5FU、LV、オキサリプラチンが投与された。試験のデータカットオフは2020年2月26日だった。

 1つ目のパート(パート1A)は用量漸増試験として行われ、コホートA(7人、nal-IRI 70mg/m2、5FU 2400mg/m2、LV 400mg/m2、オキサリプラチン 60mg/m2)、コホートB(7人、nal-IRI 50mg/m2、5FU 2400mg/m2、LV 400mg/m2、オキサリプラチン 60mg/m2)、コホートC(10人、nal-IRI 50mg/m2、5FU 2400mg/m2、LV 400mg/m2、オキサリプラチン 85mg/m2)、コホートD(7人、nal-IRI 55mg/m2、5FU 2400mg/m2、LV 400mg/m2、オキサリプラチン 70mg/m2)で行われた。1つ目のパートは2015年10月26日から2018年3月28日までに登録された。

 コホートAはDLTが2人で起こり忍容性なし、コホートBはDLT1人で忍容性あり、コホートCはDLTが2人で起こり忍容性なし、コホートDはグレード3以上の副作用が多く忍容性なしと判断され、コホートBの用量が推奨用量となった。

 2つ目のパート(パート1B)は、拡大部分としてnal-IRI 50mg/m2、5FU 2400mg/m2、LV 400mg/m2、オキサリプラチン 60mg/m2で25人に投与された。2つ目のパートは2018年6月11日から2018年10月29日までに登録された。

 パート1AのコホートBとパート2を合わせた32人をプール解析の対象とした。

 プール解析の対象となった32人の年齢中央値は58歳(39-76)、65歳未満が71.9%、男性が43.8%。ステージ4が87.5%だった。副作用で投薬中止となったのは8人(25.0%)、用量調整が行われたのは26人(81.3%)、治療中に発現した重篤な副作用で死亡したのは3人(9.4%)、治療関連のグレード3以上の副作用が発現したのは、22人(68.8%)だった。グレード3以上の副作用で多かったのは、好中球減少症(31.3%)、発熱性好中球減少症(12.5%)で、倦怠感や末梢神経障害はなく、ゲムシタビン+nab-パクリキセル、FOLFIRINOXで報告されている副作用よりも軽度である可能性が示された。

 プール解析の対象患者のPFS中央値は9.2カ月(95%信頼区間:7.69-11.96)、OS中央値は12.6カ月(95%信頼区間:8.74-18.69)で、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル、FOLFIRINOXで報告されている結果と同等だった。奏効率は34.4%(95%信頼区間:18.6-53.2)、16週時点のDCRは71.9%(95%信頼区間:53.3-86.3)、奏効期間中央値は9.4カ月(95%信頼区間:3.52-NE)だった。ただし、ゲムシタビン+nab-パクリキセル、FOLFIRINOXを投与した試験の患者背景に比べると、プール解析の対象患者は、年齢中央値が若いこと、ステージ3が含まれていること、女性が多いことなど良好になる因子が多かった。

 膵癌はclassicalタイプとbasal-likeタイプの2つに分けられ、basal-likeタイプは予後不良と関連することが報告されている。

 今回の試験では16人で腫瘍検体が得られ、ゲノムプロファイリングが行われた。そのうち抗腫瘍効果の評価が得られた12のうち11人がclassicalタイプ、1人がbasal-likeタイプで、奏効が認められた患者は全員classicalタイプだった。classicalタイプの患者のPFSは7.7カ月から17.8カ月、basal-likeタイプの患者は9.6カ月だった。

 現在、進行膵癌の1次治療として、ゲムシタビン+nab-パクリキセルとNALIRIFOXを比較するフェーズ3試験であるNAPOLI-3試験が行われているが、日本からは参加していない。

この記事を友達に伝える印刷用ページ