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2020/06/24

個別化癌ワクチンRO7198457とアテゾリズマブの併用が有用な可能性【AACR2020】

横山勇生=編集委員

 患者個人の癌に特異的なネオアンチゲンのmRNAを用いた個別化癌ワクチンであるRO7198457と、抗PD-L1抗体アテゾリズマブの併用が有用である可能性が明らかとなった。局所進行または転移を有する固形癌を対象に行われているフェーズ1b試験で、忍容性が認められ一部の患者で抗腫瘍効果が確認された。

 6月22日から24日までウェブ上で開催されているAmerican Associaiton for Cancer Research(AACR)2020 VIRTUAL ANNUAL MEETING IIで、英The Royal Marsden NHS Foundation Trust and The Institute of Cancer ResearchのJuanita S. Lopez氏が発表した。

 RO7198457は、患者の腫瘍と血液の遺伝子解析を行い、同定された腫瘍特異的なネオアンチゲンのmRNAで構築されたワクチン。最多で20個までのネオアンチゲンを選択し、そのmRNAをリポソームに内包して投与される。投与されたワクチンは、自然免疫系を刺激するとともにネオアンチゲンが発現し、プロセッシングを受け抗原提示細胞によって提示されることで抗腫瘍免疫を誘導すると期待されている。

 発表されたフェーズ1b試験は、用量漸増コホート部分と拡大コホート部分から構成され、拡大コホートは、免疫チェックポイント阻害薬既治療患者グループ(非小細胞肺癌、悪性黒色腫が対象)と免疫チェックポイント阻害薬未治療患者グループ(悪性黒色腫、非小細胞肺癌、トリプルネガティブ乳癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、大腸癌/直腸癌が対象)に分けられていた。

 投薬は21日間を1サイクルとして、2サイクルまでは週1回、3サイクル目は隔週に投与し、7サイクル目と13サイクル目で1回、その後は8週おきに投与された。アテゾリズマブは、1200mgを3週おきに投与された。

 全体で進行固形癌患者144人が登録された。用量漸増部分には30人、拡大コホート部分は免疫チェックポイント阻害薬既治療患者グループに42人、免疫チェックポイント阻害薬未治療患者グループに72人が登録された。

 患者が多かった癌は、非小細胞肺癌、悪性黒色腫、トリプルネガティブ乳癌、尿路上皮癌患者だった。治療歴数中央値は用量漸増コホートが4(1-9)、免疫チェックポイント阻害薬既治療患者グループが3(1-10)、免疫チェックポイント阻害薬未治療患者グループが2(1-11)だった。PD-L1発現50%未満が、用量漸増コホートの80%、免疫チェックポイント阻害薬既治療患者グループの50%、免疫チェックポイント阻害薬未治療患者グループの75%を占めていた。

 RO7198457の投与量が15μgだったのが27人、25μgだったのが95人、38μgだったのが11人、50μgだったのが9人だった。

 試験の結果(データカットオフは2020年1月10日)、RO7198457投与とアテゾリズマブ併用には忍容性が認められた。用量制限毒性は認められなかった。副作用の多くはグレード1か2だった。免疫関連の副作用は、アテゾリズマブ単剤を投与した場合と比べて増加しているものはなかった。8人が副作用で投薬中止となった。

 多くの患者が病勢進行(PD)だったが、一部の患者で抗腫瘍効果が確認された。用量漸増コホートでトリプルネガティブ乳癌1人で部分奏効、直腸癌患者1人で完全奏効が認められた。拡大コホート(RO7198457の投与量は25μg)で免疫チェックポイント阻害薬未治療患者グループにおいて、尿路上皮癌患者(10人)での奏効率は10%、非小細胞肺癌患者(10人)での奏効率は10%、トリプルネガティブ乳癌患者(22人)での奏効率は4%、腎細胞癌患者(9人)での奏効率は22%、悪性黒色腫患者(10人)での奏効率は30%だった。

 63人について末梢血の解析を行ったところ、患者の73%でワクチンによるネオアンチゲン特異的なT細胞の反応が認められた。

 現在、悪性黒色腫の1次治療としてRO7198457とペムブロリズマブの併用を評価するフェーズ2試験と、非小細胞肺癌の術後療法としてRO7198457とアテゾリズマブの併用を評価するフェーズ2試験が行われている。

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