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2020/06/03

CAR-T細胞療法薬JNJ-4528が再発・難治性の多発性骨髄腫で奏効率100%、9カ月PFS率85%を示す【ASCO2020】

中西美荷=医学ライター

 CAR-T細胞療法JNJ-682884528(JNJ-4528)が、フェーズ1b/2試験CARTITUDE-1において、多くの治療を受けた再発または難治性の多発性骨髄腫患者に迅速かつ深い寛解をもたらしたことが明らかになった。奏効率は100%だった。5月29日から31日までVirtual Formatで開催された米国臨床腫瘍学会年次集会(ASCO2020)で、Jesus G. Berdeja氏(米Sarah Cannon Research Institute)が報告した。

 多発性骨髄腫(MM)では、骨髄悪性形質細胞の表面でB細胞成熟抗原(BCMA=CD269)が過剰発現している。JNJ-4528は、このBMCAを標的とするシングルドメイン抗体フラグメント(VHH=nanobody)2つと、T細胞受容体(TCR)の細胞内ドメインCD3ζ鎖(シグナル伝達分子)、共刺激分子4-1BBから成るキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法薬。

 CARTITUDE-1は、3レジメン以上の前治療歴を有する、または免疫調節薬(IMiD)とプロテアソーム阻害薬(PI)の両方に対して抵抗性の、18歳以上のMM患者を対象とする国際共同フェーズ1b/2試験。追跡期間中央値6カ月の成績が2019年の米国血液学会(ASH2019)で報告され、奏効率100%を示したとされている。今回、より長期の追跡結果が明らかにされた。

 患者はスクリーニングに続いてアフェレーシスを受け、CAR-T製造中は必要に応じてブリッジ治療を受けた。JNJ-4528投与3-5日前にリンパ球除去療法としてシクロホスファミド300mg/m2とフルダラビン30mg/m2を投与した。JNJ-4528の標的投与用量は0.75×106(0.5-1.0×106)である。その後、評価と追跡を行なった。35例が登録されてアフェレーシスを受け、30例がリンパ球除去療法に進み、29例がJNJ-4528を投与された。

 29例の年齢中央値は60歳(50-75)で、3例(10%)が髄外性形質細胞腫を有し、7例(27%)が高リスクの細胞遺伝学的プロファイル(17p del、t[14;16]、t[14;14])を有していた。治療ライン数中央値は5(3-18)で、25例(86%)が自家造血幹細胞移植を受けていた。全例(100%)が3ライン以上、22例(76%)が5ラインの治療を受けており、25例(86%)がPI、IMiD、抗CD38抗体すべてに抵抗性で、28例(97%)が最後の治療に抵抗性だった。

 JNJ-4528の投与による全奏効率(ORR)は100%(sCR 25例86%、VGPR 3例10%、PR 1例3%)で、97%がVGPR以上を得た。ORRや寛解の深さと、ベースラインにおける骨髄細胞上のBCMA発現との関連性は認められなかった。最初の寛解までの期間中央値は1カ月(1-3)、CRまでの期間は3カ月(1-13)だった。CRを得た患者でNGSでの微小残存病変(MRD)検査が可能だった16例では、13例(81%)が検出感度10-5で、11例(69%)が検出感度10-6でMRD陰性だった。

 追跡期間中央値11.5カ月(3-17)において、29例中22例が無増悪生存しており、9カ月PFS率は85%(95%信頼区間:67-95)だった。死亡した3例のうち1例はサイトカイン放出症候群(CRS)、1例は治療とは関係なく試験期間中に発症した急性骨髄性白血病(AML)による死亡だった。

 安全性プロファイルは、LCAR-B38M(=JNJ-4528)の中国で実施されたフェーズ1試験LEGEND-2と一貫性があった。CAR-T細胞療法関連の有害事象(AEs)として、CRSが27例(93%)に認められ、グレード3以上は、グレード3が1例(3%)、グレード5が1例(用量制限毒性となるグレード4のCRSが続いた後99日目に死亡)だった。CRS発現までの期間中央値は7日(2-12)、持続期間中央値は4日(2-64)。CRSに対して、23例(79%)にはトシリズマブ、 6例(21%)にはanakinraまたはステロイド剤が投与された。また免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)と一致する神経障害が3例(10%)に認められたが、グレード3以上は1例(3%)のみだった。

 血液学的有害事象は、好中球減少29例(100%、全例グレード3以上)、血小板減少25例(86%、グレード3以上20例69%)、貧血22例(76%、グレード3以上14例48%)、白血球減少20例(69%、グレード3以上19例66%)、リンパ球減少15例(52%、グレード3以上14例48%)。

 グレード3/4の好中球減少は、発現までの時間中央値0.7週(0-1.3)、回復までの期間中央値1.6週(1.3-2.0)だった。グレード3/4の血小板減少は、発現までの時間中央値1.9週(0.4-3.5)、回復までの期間中央値5.3週(2.4-8.1)だった。Berdeja氏は、グレード3/4の血球減少の再発現が認められた症例があったことに言及し、「これが繰り返されるものなのかどうかはわからない。綿密な追跡と監視が行われている」とした。

 60日以上継続する重度の血球減少はまれだった。また血球減少が高グレードの感染につながることはなかった。感染の多くは上気道におけるもので、9例(31%)で認められたがグレード3/4は6例で、敗血症の1例を除き可逆的だった。

 非血液学的有害事象は低頻度で、AST上昇、ALT上昇が各9例(31%、グレード3以上各2例7%)、下痢10例(35%)、頭痛8例(28%)などだった。

 JNJ-4528はFDAのBreakthrough Therapy 指定を受けている。CARTITUDE-1試験のフェーズ2部分の登録は完了して進行中で、2019年11月7日からフェーズ2試験CARTITUDE-2(NCT04133636)、2020年4月20日からフェーズ3試験CARTITUDE-4(NCT04181827)も開始されている。

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