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2020/06/02

再発・難治性多発性骨髄腫に対するVd療法へのselinexor追加でPFS延長と末梢神経障害の減少【ASCO2020】

中西美荷=医学ライター

 再発または難治性の多発性骨髄腫(r/r MM)の無増悪生存期間(PFS)が、ボルテゾミブデキサメタゾン(Vd療法)にselinexorを加えた3剤併用療法(SVd療法)により有意に延長することが、BOSTON試験で示された。ボルテゾミブで問題となる末梢神経障害(PN)が有意に減少することも明らかになった。5月29日から31日までVirtual Formatで開催された米国臨床腫瘍学会年次集会(ASCO 2020)で、ギリシャNational and Kapodistrian University of AthensのMeletios A. Dimopoulos氏が報告した。

 Selinexorは経口投与可能な選択的核外輸送阻害薬(SINE)。核外輸送シグナル(NES)を持つ輸送基質を核外輸送する蛋白質Exportin 1(XPO1)に結合して核外輸送を阻害することにより、細胞核内の腫瘍抑制蛋白の蓄積と再活性化を促し腫瘍細胞をアポトーシスに導く。MMではXPO1が過剰発現しており、疾患の進行とともに発現が増大する。

 BOSTON試験は、1-3ラインの治療歴を有するr/r MM患者に対するSVd療法とVd療法を比較する国際共同オープンラベルランダム化フェーズ3試験。主要評価項目は無増悪生存(PFS)、重要な副次評価項目は奏効割合(ORR)、深い寛解(≧VGPR)、グレード2以上の末梢神経障害(PN)発現頻度で、今回の解析の追跡期間中央値は17.4カ月だった。

 主な登録基準は、18歳以上、測定可能病変(IMWG criteria)、MMに対する1-3ラインの前治療歴(プロテアソーム阻害薬[PI]前治療ありの場合PIで≧PR)、ECOG PS 0-2、クレアチニンクリアランス(CrCl)≧20mL/min、適切な肝機能および造血機能(好中球数>1000/μL、血小板数>75000/μL)。PIによる前治療、抗MMレジメンによる治療数(1 vs >1)および改定国際病期分類(R-ISS)のステージ(III vs I/II)で層別化した上で、SVd療法またはVd療法に無作為割付し、PDまたは許容できない毒性発現まで治療を継続した。

 SVd療法は1サイクル35日で、selinexor 100mgを週1回1日目に経口投与、ボルテゾミブ1.3mg/m2を4週投与1週休薬で1日目に皮下投与し、デキサメタゾン20mgはselinexorの投与日と翌日に経口投与した。Vd療法は1サイクル21日で、ボルテゾミブ1.3mg/m2を週2回1日目と4日目に投与し、デキサメタゾン20mgはボルテゾミブ投与日と翌日に経口投与した。

 登録患者は402例。SVd群(195例)、Vd群(207例)の患者背景はバランスが取れており、それそれで、年齢中央値66歳(40-87)、67歳(38-90)、75歳以上34例(17%)、47例(23%)、診断から登録までの期間3.8年(0.4-23.0)、3.6年(0.4-22.0)だった。両群ともに約30%で腎障害が認められた(CrCl<30/30-60mL/min:SVd群2%/27%、Vd群5%/29%)。

 SVd群のPFS中央値は13.93カ月で、Vd群の9.46カ月と比較して有意な延長が認められた(ハザード比0.70、p=0.0075)。両群のPFS曲線は早期に分離し、時間経過とともに広がっており、Dimopoulos氏は「SVdのweeklyレジメンによるPFSベネフィットは迅速かつ持続的である」とした。

 PFSベネフィットは、年齢、細胞遺伝学的リスク、前治療の種類やライン数などに関わらず、すべてのサブグループで認められた。レナリドミド既治療例におけるハザード比は0.63(95%信頼区間:0.41-0.97)で、Dimopoulos氏はレナリドミドがしばしば1次治療として用いられることに触れ、「再発時の選択肢として、免疫調節薬(IMiD)を含まない新規機序の治療法があることが示されたことは重要である」と述べた。

 ORRはSVd群で有意に高かった(76.4% vs 62.3%、p=0.0012)。また、いずれのサブグループにおいてもORRはSVd群で有意に高く、「サブグループにおけるPFSベネフィットが裏付けられた」(Dimopoulos氏)。

 深い寛解(≧VGPR)を得た患者割合はSVd群でVd群と比較して有意に高かった(44.6% vs 32.4%、p=0.0082)。

 グレード2以上のPN発現頻度は、SVd群でVd群と比較して有意に低かった(21.0% vs 34.3%、p=0.0013)。またPNは、治療中止の原因としてもっとも多い有害事象だったが、その頻度はSVd群でより低かった(4.6% vs 7.4%)。Dimopoulos氏によれば、BOSTON試験はボルテゾミブをバックボーンとする治療法の週1回投与と週2回投与を比較した初めての試験で、24週(Vd群8サイクル)の時点で、SVd群ではボルテゾミブが40%、デキサメタゾンが25%低用量となるようなデザインとされている。

 Dimopoulos氏は、「ボルテゾミブとデキサメタゾンに新規薬剤selinexorを組み込んだ3剤併用療法は、既治療MMに対するもっとも使いやすい、新たな標準治療となる可能性がある」とした。

 2019年7月3日、FDAはselinexor をデキサメタゾンとの併用で迅速承認している。フェーズ2b試験STORMの成績(Chari A, et al. N Engl J Med. 2019;381:727-738)に基づくもので、4ライン以上の前治療を有し、2剤以上のPIs、2剤以上のIMiDs、抗CD38モノクロール抗体に対して抵抗性(triple-class refractory)のr/r MM成人患者が対象。Karyopharm Therapeuticsは、今回のBOSTON試験の成績をもとに、1ライン以上の治療歴を有するr/r MMに対する適応追加を申請した。

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