このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

News ニュース

ニュース一覧へ

新着一覧へ

ニュース

2020/06/02

アレクチニブの投与歴がある難治性のALK陽性NSCLCの日本人患者でbrigatinibの有効性を確認【ASCO2020】

森下紀代美=医学ライター

 アレクチニブの投与歴がある難治性のALK融合遺伝子陽性(ALK陽性)非小細胞肺癌(NSCLC)の日本人患者に対し、ALKチロシンキナーゼ阻害薬(ALK-TKI)brigatinibは、化学療法の治療歴に関わらず、臨床的に意義のある効果を示すことが、日本で行われたフェーズ2のJ-ALTA試験からわかった。5月29日から31日までバーチャル形式で開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2020)で、国立がん研究センター中央病院呼吸器内科の吉田達哉氏が発表した。

 brigatinibは、耐性変異を認めるALKにも効果が示されている次世代のALK-TKIで、アレクチニブやその他の次世代のALK-TKIに耐性となった患者に有効な可能性がある。

 J-ALTA試験は、IIIB/IIIC/IV期のALK陽性NSCLCの日本人患者を対象として、brigatinibの有効性と安全性を評価した単群、非盲検、多施設共同のフェーズ2試験。

 試験は3つのパートで構成され、パート1の安全性リードインでは、ALK-TKIによる前治療数は問わず、抗癌剤による前治療は3レジメンまでの患者(9人)で忍容性を確認した。パート2では、メインの難治性の拡大コホート(47人)と探索的なコホート(16人)で評価を行った。メインコホートは、アレクチニブ単剤またはクリゾチニブとアレクチニブによる前治療を受けた患者とした。探索的コホートは、クリゾチニブ、セリチニブ、ロルラチニブの単剤、またはアレクチニブを含むALK-TKI 2剤による前治療を受けた患者とした。安全性リードインのパートと合わせて、計72人をALK-TKI難治性コホートとした。パート3はTKI未治療の拡大コホートで、現在評価中である。brigatinibは、安全性リードインパートの最初の7日間は90mgで、その後は180mgで1日1回投与した。

 今回は、アレクチニブの投与歴があるメインコホートにおける有効性、ALK-TKI難治性コホートにおける安全性の結果が報告された。メインコホートの主要評価項目は、独立審査員会(IRC)の評価による確定奏効率だった。副次的評価項目は、ALK-TKI難治性コホートのIRCの評価による確定奏効率、試験担当医の評価による確定奏効率、IRCの評価による奏効期間、無増悪生存期間(PFS)、病勢コントロール率(DCR)、奏効までの期間、全生存期間(OS)、IRCの評価による頭蓋内奏効率などだった。

 2018年1月から2019年9月までに、日本の28施設から72人が登録された。メインコホートとALK-TKI難治性コホートにおいて、ベースラインで脳転移を認めたのはそれぞれ40%、44%、前治療のALK-TKIがアレクチニブのみの患者は74%、54%、クリゾチニブとアレクチニブの患者は26%、17%、化学療法の治療歴がある患者は40%、46%だった。

 データカットオフ日の2019年9月26日において、72人中28人がbrigatinibの投与を継続していた。72人の主要解析時の追跡期間中央値は10.6カ月(範囲:1.5-19.6)だった。

 IRCの評価による確定奏効率は、メインコホートでは点推定値で31%(95%信頼区間:17-44)、ALK-TKI難治性コホートでは31%(95%信頼区間:20-43)となり、いずれも部分奏効だった。DCRはそれぞれ79%、74%、奏効までの期間の中央値はいずれも1.9カ月、奏効期間中央値はメインコホートで6.1カ月、ALK-TKI難治性コホートで未到達(NR)となった。

 IRCの評価によるメインコホートのPFS中央値は7.3カ月(95%信頼区間:3.7-NR)、1年時の無増悪生存率は37%(95%信頼区間:21-53)となった。

 ベースラインで測定可能な中枢神経系転移を有した患者では、IRCの評価による頭蓋内奏効率は、メインコホートで25%(95%信頼区間:3-65)、ALK-TKI難治性コホートで21%(95%信頼区間:5-51)となった。IRCの評価による頭蓋内PFSは、メインコホートでは中央値に未到達(95%信頼区間:7.9-NR)だった。

 またbrigatinibにより、ALKキナーゼドメインのG1202R、I1171N、V1180L、L1196Mなど、難治性の二次変異がある患者でも部分奏効が得られたことがわかった。

 日本人患者におけるbrigatinibの安全性プロファイルは過去の試験と一致していた。試験治療下で発現した有害事象(TEAE)によるbrigatinibの投与中止は72人中4人(6%)で報告された。

 グレード3以上のTEAEで多く観察されたのは、血清クレアチンフォスホキナーゼ値の上昇(18%)、血清リパーゼ値の上昇(14%)、高血圧(11%)などだった。TEAEによる死亡が1件報告されたが、疾患の増悪による呼吸不全で、薬剤には関連しなかった。間質性肺疾患(ILD)/肺臓炎を発症した1人(1%)は、brigatinib投与開始から14日以内の早期の発症だった。6人に1件以上のILD/肺臓炎のイベントが発生し、さらに1人にグレード3の肺障害のイベントが発生し、独立データモニタリング委員会(IDMC)はILDとして評価した。

 国際的なフェーズ2のALTA-2試験では、アレクチニブ/セリチニブ投与後の設定で104人の登録が完了しており、brigatinibのデータが報告される予定である。

この記事を友達に伝える印刷用ページ