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2020/06/01

新規診断多発性骨髄腫の導入治療にカルフィルゾミブ3剤併用はボルテゾミブ3剤併用と比べ有意差示さず【ASCO2020】

八倉巻尚子=医学ライター

 新規診断多発性骨髄腫(NDMM)の導入治療として、プロテアソーム阻害薬カルフィルゾミブレナリドミドデキサメタゾンの3剤併用療法(KRd)は、ボルテゾミブとレナリドミド、デキサメタゾンの3剤併用療法(VRd)に比べて有意な生存改善は認めないことが、無作為化フェーズ3試験ENDURANCE(E1A11)で明らかになった。抗腫瘍効果はKRdのほうが高い傾向があった。5月31日に行われた米国臨床腫瘍学会(ASCO2020)のプレナリーセッションで、米国Mayo ClinicのShaji K. Kumar氏らが発表した。

 NDMMに対し導入治療として、プロテアソーム阻害薬ボルテゾミブとレナリドミド、デキサメタゾンの3剤併用療法(VRd)が標準的に使用されているが、ENDURANCE試験では次世代プロテアソーム阻害薬のカルフィルゾミブがボルテゾミブに代わって効果を示すかが検討された。また維持治療の期間についても検討された。

 試験はNDMM患者をVRd群とKRd群に1:1に割り付けて行われた。患者は増悪時の幹細胞移植の予定の有無で層別化された。治療を36週間行ったのちに、2度目の割り付けを行って、期間を設定せず増悪もしくは毒性発現までレナリドミド維持治療を続ける群とレナリドミド2年間投与の維持治療群に1:1に分けた。患者は導入治療のレジメンで層別化された。

 VRd群では、ボルテゾミブ1.3mg/m2(皮下注、静注)を1-8サイクルは1、4、8、11日に投与し、9-12サイクルでは1、8日に投与した。レナリドミドは25mgを1-14日に経口投与した。デキサメタゾンは1-4サイクルには20mgを、5-8サイクルは10mgを1、2、4、5、8、9、11、12日に投与し、9-12サイクルは10mgを1、2、8、9日に投与した。治療は3週を1サイクルとして12サイクル行った。

 KRd群では、カルフィルゾミブは1サイクルには20mg/m2を1、2日に、36mg/m2を8、9、15、16日に投与し、2-9サイクルは36mg/m2を1、2、8、9、15、16日に投与した。レナリドミドは25mgを1-21日に投与した。デキサメタゾンは1-4サイクルには40mgを、5-9サイクルは20mgを1、8、15、22日に投与した。治療は4週を1サイクルとして9サイクル行った。

 維持治療は24サイクルまで、もしくは増悪もしくは過度の毒性まで、4週おきにレナリドミド15mgを1-21日に投与した。また幹細胞の採取は医師の判断で治療12週後から実施可能だった。

 主要評価項目は、導入治療における無増悪生存期間(PFS)と維持治療における全生存期間(OS)であった。副次評価項目は奏効率、微小残存病変(MRD)陰性率、増悪までの期間、OS、毒性だった。

 対象は、治療歴のないMMで直近の幹細胞移植が予定されていない患者。ECOG PSは0-2、また高リスクの特徴(del17p、t (14;16)、t(14;20)、LDHが正常上限の2倍以上、形質細胞性白血病)のない患者とした。1087人が登録し、VRd群542人、KRd群545人だった。2群の患者背景はバランスがとれていた。年齢中央値は65歳。70歳以上の患者が31.6%、国際病期分類(ISS)ステージIIIの患者が25.5%だった。細胞遺伝学的異常のある患者が28.0%で、t(4;14)が9.4%だった。

 導入治療を完遂した患者はVRd群43.3%、KRd群61.6%だった。有害事象・合併症で治療を中止した患者が17.3%と9.9%であった。幹細胞移植を受けた患者はVRd群28.0%、KRd群26.8%だった。

 2回目の中間解析(2020年1月)でPFSは298イベントが発生した(事前に計画された399人の75%)。観察期間中央値は15カ月であった。PFS ハザード比は1.04(95%信頼区間:0.83-1.31)、p=0.742で有意差はなかった。PFS中央値はVRd群が34.4カ月(95%信頼区間:30.1-評価できず)、KRd群は34.6カ月(95%信頼区間:28.8-37.8)だった。70歳以上の患者ではPFS中央値はVRd群が37カ月(95%信頼区間:29-評価できず)、KRd群は28カ月(95%信頼区間:24-36)だった。

 サブグループ解析で、細胞遺伝学的異常のある患者ではKRd群が良好の傾向があった。一方、70歳以上、男性ではVRd群が良好だった。

 効果判定では、非常に良い部分奏効(VGPR)以上がVRd群64.7%、KRd群73.8%(p=0.002)と、KRd群でVGPR割合は高かった。PR以上は84.3%と86.7%だった(p=0.132)。厳格な完全奏効(sCR)が4.0%と5.9%、CRが10.8%と12.4%、VGPRが49.9%と55.5%、PRが19.5%と12.9%だった。

 OSの生存曲線は2群が重なっていた。観察期間中央値29カ月で、148人(13.6%)が死亡した。OSハザード比は0.98(95%信頼区間:0.71-1.36)、p=0.923だった。OS中央値には達していない。3年OS率がVRd群 84%(95%信頼区間:80-88)、KRd群86%(95%信頼区間:82 -89)だった。

 治療関連有害事象(TRAE)はグレード3-5がVRd群59.4%、KRd群65.6%だった(p=0.038)。非血液毒性はグレード3-5が41.4%と48.3%だった(p=0.024)。グレード3以上のTRAEはVRd群で末梢神経障害が多く、KRd群では呼吸困難、高血圧、心不全、急性腎障害が多く認められた。グレード3以上の心臓・肺・腎臓の有害事象が4.8%と16.1%(p<0.001)、グレード3以上の末梢神経障害は8%、0.8%だった。

 二次性発癌がVRd群3.0%、KRd群5.3%に認められ、浸潤癌は2.7%と3.4%だった。

 以上の結果から、NDMMに対し、KRd療法はVRd療法と比べて PFSの改善を示さなかった、今回のデータからはVRd療法が導入治療として標準的な治療であるとした。

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