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2020/06/01

再発卵巣癌に対する腫瘍減量手術は完全切除で化学療法群と比較してOSを16カ月延長 【ASCO2020】

中西美荷=医学ライター

 二次腫瘍減量手術の意義を検討したAGO DESKTOP III/ENGOT-ov20試験の最終解析において、再発卵巣癌に対する減量手術の前向きランダム化フェーズ3試験として初めて全生存(OS)ベネフィットが認められた。完全切除が重要であることも明らかになった。5月29日から31日までVirtual Formatで開催された米国臨床腫瘍学会年次集会(ASCO 2020)で、ドイツAGO Study Group and KEM EssenのAndreas Du Bois氏が報告した。

 再発卵巣癌に対する二次腫瘍減量手術の意義については、長年にわたり議論されてきた。患者選択を行なっていないGOG-0213試験ではOSベネフィットは得られなかったことが最近報告されている(N Engl J Med 2019; 381:1929-1939)。

 AGO DESKTOP III/ENGOT-ov20試験では、プラチナ製剤不使用の期間(TFIp)6カ月以上、初回再発の再発卵巣癌でAGOスコア(ECOG PS 0、腹水<500mL、初回手術における完全切除)陽性の患者を、二次化学療法(化学療法群)または二次腫瘍減量手術(手術群)に無作為割付し、その後、同じ化学療法(プラチナ製剤使用を推奨)を実施した。AGOスコアは、二次腫瘍減量手術で完全切除可能な患者を予測するスコアとして、AGO DEDKTOP I試験で仮説を立て、DESKTOP II試験で検証された。

 無作為割付、データ管理は中央施設で行われた。これまでの試験での経験と外科手術の技量を考慮して選択された12カ国の80施設において、2010年9月から2015年3月までに407例が登録された。

 主要評価項目は全生存期間(OS)。OSイベント数122の時点で2017年に行われた中間解析で、無増悪生存期間(PFS)は手術群で有意に延長していた。今回、OSイベント数254(計画は244)となった2020年1月17日にデータベースを閉じ、最終解析を行なった。

 患者背景は、両群で大きな差はなかった。手術群(206例)、化学療法群(201例)においてそれぞれ、年齢中央値は60.8歳、62.2歳、FIGOステージIIIB-Vが75.6%、73.1%で、ともに99.0%がプラチナ製剤を含む前治療歴があった。登録前のTFIp>12カ月の患者割合は75.2%、75.1%、割付けられた治療実施は93.2%、96.0%。割付け後のプラチナ製剤を含む化学療法実施は88.8%、90.0%で、ベバシズマブは22.8%、23.4%に投与されていた。PARP阻害薬は広く普及に至っておらず、臨床試験でのプラセボを含め3.9%、6.0%とわずかだった。

 手術群における顕微鏡的完全切除率は74.2%で、手術時間中央値は222分(150-300)、消化管切除は35.8%、再開腹術の頻度は3.7%、周術期の死亡は1例のみだった。Du Bois氏は、この良好な成績の理由として、選択基準により患者PSが良好だったこと、経験豊富で手技に熟練した施設での手術だったことを挙げた。

 OS中央値は手術群53.7カ月、化学療法群46.0カ月でハザード比は0.75(95%信頼区間:0.58-0.96、p=0.02)、25%のリスク低減と8カ月のOS延長が得られた。PFS中央値はそれぞれ18.4カ月、14.0カ月でハザード比0.66(95%信頼区間:0.54-0.82、p<0.001)で34%のリスク低減となった。

 サブグループ解析では、完全切除例のOS中央値が61.9カ月だった一方で、腫瘍残存例では28.8カ月で化学療法群を下回った。完全切除例の腫瘍残存例に対するハザード比は0.40(95%信頼区間:0.28-0.59、Wald検定p<0.001)で60%のリスク低減、12カ月以上のOS延長となった。また完全切除例に限って化学療法群と比較すると、OS中央値は61.9% vs 46.0%でハザード比0.57(95%信頼区間:0.43-0.76、Wald検定p<0.001)、43%のリスク低減と15.9カ月のOS延長が得られた。

 Du Bois氏は、TFIp >6カ月であれば51%がAGOスコア陽性で、AGOスコア陽性患者における完全切除の可能性は75%であることに言及し、実臨床においては、TFIp >6カ月であれば二次腫瘍減量手術に適格かどうか、AGOスコア、画像所見、腫瘍の特徴から評価すべきとの見解を示した。また「もうひとつ、習熟した施設において手術すべき」と述べた。今回、完全切除例で認められた16カ月のOS延長は、「これが私たちが目指すべきものだ。17年に渡るDESKTOPの長旅での収穫により、ようやく再発卵巣癌患者にOSベネフィットをもたらすことができる。再発しても適切に対処すれば(未来は)変えることができる」(Du Bois氏)。

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