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2020/06/01

ER陽性HER2陰性乳癌の術後内分泌療法にS-1追加で複合リスク中・高リスク患者のiDFSが明らかに改善【ASCO2020】

八倉巻尚子=医学ライター

 エストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性乳癌に対する術後補助療法として、術後内分泌療法へのS-1追加で、浸潤性疾患のない生存期間(iDFS)は、腫瘍サイズや腋窩リンパ節転移などを加えた複合リスクが中リスクから高リスクの患者で改善することが、無作為化比較フェーズ3試験POTENTの探索的解析で確認された。5月29日から31日までバーチャルミーティング形式で開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2020)で、京都大学医学部附属病院手術部/乳腺外科の髙田正泰氏らが発表した。

 POTENT試験は、ER陽性かつHER2陰性の原発性乳癌を対象として、標準的な術後内分泌療法を行う群(内分泌療法単独群)と、標準的な術後内分泌療法にS-1を併用する群(S-1併用群)を比較した。同試験ではリスク評価として腋窩リンパ節転移の有無に術前化学療法や術前内分泌療法による効果などを加味した適格分類を設け、再発リスクが中程度、高リスクの患者を対象とした。試験の結果、術後内分泌療法とS-1の併用は術後内分泌療法単独に比べて、主要評価項目であるiDFSを有意に延長することが報告されている(Toi M, et al, SABCS 2019)。

 今回の解析は、新たに分類された再発リスクスコアを用いて、S-1追加の治療効果(absolute treatment effect)が検討された。POTENT試験の解析対象者(FAS)1930人のうち、解析データが得られた1897人を対象とした。

 患者の再発リスクは、内分泌療法単独群のデータ(954人)を用いて、腫瘍サイズ、腋窩リンパ節転移、グレード、ER、Ki-67発現レベルを組み込んだコックス回帰モデルで、複合リスク(composite risk)として決定した(Regan MM, et al. J Clin Oncol. 2016;34:2221-31)。その結果、低リスク群677人、中リスク群767人、高リスク群453人に分類された。

 まず術後内分泌療法単独群で、リスク群別の5年iDFS割合は低リスク群で91.6%、中リスク群82.0%、高リスク群67.2%となった(p<0.0001)。S-1併用群では、5年iDFS割合は低リスク群で92.5%、中リスク群88.7%、高リスク群75.3%だった(p<0.0001)。

 術後内分泌療法単独群との差はそれぞれ0.9%、6.7%、8.1%となった。またiDFSの層別ハザード比は低リスク群で0.86(95%信頼区間:0.45-1.63)、中リスク群は0.51(95%信頼区間:0.34-0.78)、高リスク群0.71(95%信頼区間:0.49-1.02)だった。

 サブグループ解析で、cT1-2、リンパ節転移陰性、グレード2-3もしくはKi-67が14%超の患者のうち、化学療法歴のある患者(209人)ではS-1追加による5年iDFS割合の差は15.2%、ハザード比は0.33(95%信頼区間:0.13-0.76)だった。化学療法歴のない患者(412人)では5年iDFS割合の差は8.0%、ハザード比は0.37(95%信頼区間:0.16-0.78)となった。

 またcT1-2、リンパ節転移陽性で、グレード2-3もしくはKi-67が14%超の患者のうち、化学療法歴のある患者(603人)ではS-1追加による5年iDFS割合の差は2.0%、ハザード比は0.77(95%信頼区間:0.52-1.13)だった。化学療法歴のない患者(311人)では5年iDFS割合の差は3.3%、ハザード比は0.56(95%信頼区間:0.27-1.12)となった。

 以上の結果から、複合リスクによって分類された中リスクから高リスクの患者では標準内分泌療法にS-1を追加することで、5年iDFS割合の有意な改善が確認されたとした。

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