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2020/06/01

体細胞系列BRCA1/2遺伝子変異、生殖細胞系列PALB2遺伝子変異のある進行乳癌にオラパリブ単剤は有効【ASCO2020】

八倉巻尚子=医学ライター

 体細胞系列BRCA1/2遺伝子変異および生殖細胞系列PALB2遺伝子変異がある進行乳癌患者でオラパリブ単独療法は有効であることが、フェーズ2試験TBCRC 048で明らかになった。5月29日から31日までバーチャルミーティング形式で行われた米国臨床腫瘍学会(ASCO2020)で、米国Beth Israel Deaconess Medical Center/Dana-Farber Cancer InstituteのNadine M. Tung氏らが発表した。

 PARP阻害薬は生殖細胞系列(g)BRCA1/2遺伝子変異を有する乳癌に効果を示すが、gBRCA1/2遺伝子変異以外にも相同組み換え修復異常のある患者で効果を示す可能性がある。TBCRC 048試験では、相同組み換え修復経路の遺伝子のうち、gBRCA1/2遺伝子変異を除く、生殖細胞系列および体細胞系列の遺伝子変異に対するオラパリブの効果を検証した。

 主要評価項目は奏効率(RECISTv1.1)、副次評価項目は臨床的有用率(CR+PR+18週以上のSD)、奏効期間、無増悪生存期間(PFS)、毒性とした。奏効率は20%以上との仮説を立てた。

 適格基準は、ステージIV乳癌で、少なくとも1つの測定可能病変を有すること、2レジメンを超える転移性疾患に対する化学療法で増悪していない患者。PARP阻害薬の治療歴がある患者、プラチナ製剤で増悪した患者は除外された。

 登録後、生殖細胞系列(g)のコホート1と体細胞系列(s)のコホート2に分けられた。コホート2でsBRCA1/2遺伝子変異があった場合はgBRCA検査を行い、gBRCA1/2遺伝子変異が陰性であることを確認した。

 オラパリブは300mgを1日2回、1サイクル21日として投与した。病勢進行もしくは許容できない毒性発現まで投与した。効果判定は6週おきに24週まで行われ、その後は12週おきに行われた。効果判定でCR、PR、SDの場合は治療を継続し、PDや投与中止を要する毒性が見られた場合は試験を終了した。各コホートでSimon 2段階デザインを用いた。13人を登録し、1人で効果があれば14人を追加した。

 2018年4月から2020年1月までに54人が登録した。コホート2ではsBRCA2遺伝子変異の1人がgBRCA2遺伝子変異陽性だったため除外された。

 53人の年齢中央値は59歳(30-87歳)。ER陽性HER2陰性が75%、HER2陽性が5%、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)が19%だった。化学療法治療歴のなかった患者が19%、プラチナ製剤の治療歴がある患者が5%、CDK4/6阻害薬の治療歴があった患者が93%だった。

 コホート1とコホート2で、87%の患者でATMやCHEK2、PALB2、sBRCA1/2の遺伝子変異が見られた。

 コホート1(27人)で、9人がPRで、奏効率は33%(90%信頼区間:19%-51%)、臨床的有用率は44%(90%信頼区間:27%-62%)だった。奏効のあった患者はすべてgPALB2遺伝子変異があった。gPALB2遺伝子変異のあった11人で見ると、奏効率は82%、臨床的有用率は100%となった。コホート1で奏効期間中央値は9カ月、奏効までの期間中央値は12週(90%信頼区間:11-20)だった。

 コホート2(26人)で、8人がPRで、奏効率は31%(90%信頼区間:16%-49%)、臨床的有用率は44%(90%信頼区間:27%-62%)だった。PRのあった8人のうち、sBRCA1遺伝子変異が4人、sBRCA2遺伝子変異が4人だった。sBRCA1/2遺伝子変異のあった16人で見ると、奏効率は50%、臨床的有用率は67%となった。コホート2で奏効期間中央値は6.3カ月、奏効までの期間中央値は11週(90%信頼区間:8-12)だった。

 CHEK2遺伝子変異とATM遺伝子変異を有する患者は17人と多かったが、効果は見られなかった。

 また効果はすべての乳癌サブタイプで認められた。gPALB2遺伝子変異があった11人のうち、ER陽性HER2陰性の10人では8人で効果が見られ、HER2陽性の1人でも効果があった。sBRCA1/2遺伝子変異があった16人のうち、ER陽性HER2陰性の10人では4人、TNBCの6人では4人で効果があった。またCDK4/6阻害薬の治療歴があった患者でも効果が見られた。

 オラパリブの忍容性も認められた。主な有害事象は、吐き気(9%)、脱毛(4%)、貧血(20%)だった。有害事象による減量は8人(15%)、治療中止は2人(4%)だった。

 以上の結果から、両方のコホートで主要評価項目は到達したが、オラパリブの効果は特定の遺伝子変異(sBRCA1/2遺伝子変異とgPALB2遺伝子変異)がある患者で認められ、ATM遺伝子変異やCHEK2遺伝子変異の患者では効果は認められなかったとした。またsBRCA1/2遺伝子変異とgPALB2遺伝子変異のある乳癌患者での新しいコホート研究が行われているという。

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