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2020/06/01

DNA修復機能異常のあるトリプルネガティブ乳癌にveliparibとシスプラチン併用でPFSは有意に改善【ASCO2020】

八倉巻尚子=医学ライター

 生殖系列BRCA遺伝子変異はないが、相同組換え修復異常HRD)などを有するBRCA-like型の進行トリプルネガティブ乳癌(TNBC)に対し、シスプラチンと経口PARP1/2阻害薬veliparibの併用はシスプラチン単独よりも無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、全生存期間(OS)も改善傾向を示すことが、無作為化フェーズ2試験SWOG S1416で明らかになった。5月29日から31日までバーチャルミーティング形式で行われた米国臨床腫瘍学会(ASCO2020)で、米国University of Kansas Medical CenterのPriyanka Sharma氏らが発表した。

 生殖系列(g)BRCA1/2遺伝子変異のある進行乳癌ではPARP阻害薬の効果が知られている。またTNBCの40-60%は相同組換え修復異常(Homologous Recombination Deficiency:HRD)があり、BRCA遺伝子変異のある場合と同様にPARP阻害薬に感受性があると考えられている。

 SWOG S1416試験では、転移を有する、かつ/もしくは局所再発TNBC患者、またはgBRCA1/2遺伝子変異やHRDがあるHER2陰性進行乳癌患者を対象に、シスプラチン+veliparib群とシスプラチン+プラセボ群を比較した。シスプラチンは3週おきに75mg/m2を1日目に投与した。Veliparib 300mgもしくはプラセボは3週おきに経口で1日2回、1-14日に投与した。

 全患者はgBRCA検査を受け、3つのグループに分けられた。gBRCA検査でgBRCA1/2遺伝子変異があった患者はgBRCAグループとした。gBRCA1/2遺伝子変異がなかった場合はバイオマーカー解析が行われた。myChoiceによる検査でHRD遺伝子不安定性スコアが42以上、体細胞系列BRCA1/2遺伝子変異、BRCA1遺伝子プロモーター領域メチル化、生殖細胞系列で相同組換え修復遺伝子変異(BRCA1/2遺伝子を除く)のいずれかがあった場合は、BRCA-likeグループとした。それ以外はnon-BRCA-likeグループとした。

 主要評価項目は、上記3グループにおける無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、病勢制御率、毒性であった。

 2016年7月から2019年6月までに335人が登録し、適格基準を満たした321人でITT解析が行われた。2群の患者背景はバランスがとれていた。年齢中央値は56.2歳、アジア人は3%、TNBC患者が95%を占め、転移性乳癌に対する化学療法が行われていない患者が69%、1回受けた患者は31%だった。術前・術後化学療法は74%が受けていた。カルボプラチン治療歴のある患者が10%だった。

 gBRCA検査は294人に実施された。gBRCA遺伝子変異陽性が37人(gBRCAグループ)、gBRCA遺伝子変異陰性257人のうち、組織検体が十分でない等でバイオマーカー解析による分類がされなかった患者は75人。バイオマーカー解析でBRCA-likeと分類されたのが99人、non-BRCA-likeが110人だった。BRCA-likeグループのうち、HRDスコア42以上の患者が8割弱を占めた。

 この結果、gBRCAグループにおいて、2群のPFSに有意差はなかった。PFS中央値はveliparib群6.2カ月、プラセボ群6.4カ月、ハザード比は0.66(95%信頼区間:0.30-1.44)、両側検定p=0.29であった。またOSは中央値が14.2カ月と14.6カ月、ハザード比が1.27(95%信頼区間:0.57-2.82)、両側検定p=0.56となった。

 BRCA-likeグループで、veliparib群は有意にPFSが改善した。PFS中央値は5.9カ月と4.2カ月、ハザード比0.53(95%信頼区間:0.34-0.83)、両側検定p=0.006だった。OSも良好な傾向を示した。OS中央値は14.0カ月と12.1カ月、ハザード比0.60(95%信頼区間:0.35-1.04)、両側検定p=0.067だった。また奏効率は45%と33%だった。

 しかしnon-BRCA-likeグループでは、veliparib群はPFS改善を示さなかった。ハザード比0.89(95%信頼区間:0.60-1.32)、両側検定p=0.56であった。また分類されなかった患者でも有意な改善はなかった。ハザード比1.00(95%信頼区間:0.59-1.70)、両側検定p=1.00だった。

 BRCA-likeグループで、PFSサブグループ解析の結果、治療ライン、内臓転移、術前・術後化学療法、PS、HRDスコアのどのサブグループでもveliparib群で良好だった。サブグループのうち1次治療としてveliparib投与を受けた患者ではPFS中央値は6.1カ月、プラセボ群4.2カ月、ハザード比0.49(95%信頼区間:0.29-0.83)、両側検定p=0.008だった。12カ月PFS率は23%と3%だった。OSも良好で、OS中央値は17.8カ月と10.3カ月、ハザード比0.53(95%信頼区間:0.28-0.99)、両側検定p=0.048だった。24カ月OS率は43%と20%となった。

 またHRDスコアが42以上の患者でも、veliparib群は有意にPFSが改善した。PFS中央値は6.1カ月と4.2カ月、ハザード比は0.53(95%信頼区間:0.31-0.89)、両側検定p=0.016だった。OSはBRCA-likeグループと類似していたとした。

 血液毒性がveliparib群で多く認められた。グレード 3/4の貧血がveliparib群23%、プラセボ群7%、好中球減少症が46%と19%、白血球減少症が27%と7%、血小板減少症が19%と3%だった。しかしveliparibとシスプラチン併用の毒性は管理可能で、新たな毒性の問題は認められなかったとした。

 以上の結果から、gBRCA遺伝子変異がない進行TNBCで、BRCA-like型の患者において、veliparibのシスプラチンへの追加は、有意にPFSを改善し、OSも改善傾向が示されたとした。またこの試験ではgBRCAグループでは有意な差が見られなかったが、患者数が少なく解析には十分なパワーがなかったとしている。フェーズ3試験BROCADE3ではgBRCA遺伝子変異陽性の進行乳癌患者で、プラチナ製剤ベースの化学療法にveliparibの追加によりPFSの改善が示されている(ESMO2019)。

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