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2020/06/01

PD-L1陽性トリプルネガティブ乳癌の1次治療にペムブロリズマブと化学療法の併用でPFS延長【ASCO2020】

八倉巻尚子=医学ライター

 PD-L1陽性(CPS10以上)で治療歴のない切除不能局所再発もしくは転移を有するトリプルネガティブ乳癌(TNBC)に対し、ペムブロリズマブと化学療法の併用で化学療法単独よりも無増悪生存期間(PFS)が延長することが、ランダム化二重盲検フェーズ3試験KEYNOTE-355で明らかになった。5月29日から31日までバーチャルミーティング形式で行われた米国臨床腫瘍学会(ASCO2020)で、スペインIOB Institute of OncologyのJavier Cortes氏らが発表した。

 転移を有するTNBCにペムブロリズマブ単剤は有望な抗腫瘍効果を示し、管理可能な安全性を示すことがKEYNOTE-012、KEYNOTE-086、KEYNOTE-119試験で報告されていた。

 KEYNOTE-355試験は、治療歴のない切除不能局所再発もしくは転移を有するTNBC患者を、ペムブロリズマブと化学療法(nab-パクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン+カルボプラチン)を投与する群(併用群)とプラセボと化学療法を投与する群(化学療法単独群)に2:1で割り付けて行われた。ペムブロリズマブは200mgを3週おきに投与した。投与は病勢進行まで継続され、クロスオーバーは許可されなかった。化学療法の種類(タキサン製剤、ゲムシタビン+カルボプラチン)、PD-L1発現状態 (CPSが1以上、1未満)、同じ種類の化学療法による術前・術後治療(あり、なし)で層別化された。

 主要評価項目は、PD-L1陽性(CPSが10以上、CPSが1以上) および全患者(ITT)におけるPFS(RECISTv1.1、盲検独立中央判定)と全生存期間(OS)の2つだった。有意水準αは片側検定0.025で、PFSが0.005、OSが0.018、奏効率が0.002に分けられた。PFSは階層的に分析され、CPS(combined positive score)が10以上の患者でPFSの優越性が証明された場合(p値の境界0.0041)は、CPSが1以上の患者で検証し(p値の境界0.00111)、次にITTで検討される。

 2019年12月11日時点で、観察期間中央値は併用群(566人)が25.9カ月、化学療法単独群(281人)が26.3カ月だった。2群の患者背景はバランスがとれていた。PD-L1 CPS 1以上の患者が両群とも75.1%を占め、PD-L1 CPS 10以上が38.9%と36.7%だった。タキサン製剤の治療を受けた患者が45.1%と45.2%、ゲムシタビン+カルボプラチンが54.9%と54.8%、同じ種類の術前・術後化学療法歴のあった患者が21.9%と22.1%、de novo転移癌の患者が29.5%と29.9%、無病期間(DFIが12カ月未満の患者)が22.3%と17.8%だった。

 この結果、PD-L1 CPS10以上の患者において併用群はPFSを有意に改善した。ハザード比0.65(95%信頼区間:0.49-0.86)、p=0.0012だった。PFS中央値は9.7カ月と5.6カ月だった。6カ月PFS率は65.0%と46.9%、12カ月PFS率は39.1%と23.0%だった。

 次に、CPS1以上の患者で解析された。ハザード比0.74(95%信頼区間:0.61-0.90)、p=0.0014だった。事前に設定したp値の境界は0.00111だったため、有意ではなかった。しかしPFS中央値は併用群7.6カ月、化学療法単独群は5.6カ月だった。6カ月PFS率は56.4%と46.6%、12カ月PFS率は31.7%と19.4%だった。

 ITT患者では、ハザード比0.82(95%信頼区間:0.69-0.97)だった。PFS中央値は7.5カ月と5.6カ月だった。6カ月PFS率は55.4%と47.8%、12カ月PFS率は29.8%と20.9%だった。

 サブグループ解析では、どのサブグループでも併用群が優れていた。またPD-L1発現状態別のサブグループ解析ではPD-L1陽性細胞の割合が高いほど、併用群で有効性が見られた。

 グレード3-5治療関連有害事象(AE)は、併用群で68.1%に見られ、2人が死亡。化学療法単独群では66.9%で、死亡はなかった。AEによる投与中止は18.1%と11.0%だった。主な治療関連AEは貧血、好中球減少症、吐き気だった。免疫関連AEは25.6%と6.0%、グレード3-5は5.2%、0%だが、死亡はなかった。甲状腺低下症が15.5%と3.2%に見られた。

 以上の結果から、PD-L1陽性(CPS 10以上)で治療歴のない局所進行もしくは転移を有するTNBC患者において、ペムブロリズマブと化学療法の併用は化学療法単独に比べて、統計学的有意かつ臨床的意義のあるPFS改善を示したとした。ペムブロリズマブと化学療法の併用は全般的に忍容性が優れ、新たな安全性の問題もなかった。OSのフォローアップは現在行われているという。

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