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2020/05/31

トラスツズマブ デルクステカンがHER2陽性の既治療進行胃癌の奏効率と全生存期間を有意に改善【ASCO2020】

横山勇生=編集委員

 HER2陽性の既治療進行胃・胃食道接合部腺癌に対して、抗HER2抗体薬剤複合体製剤トラスツズマブ デルクステカンT-DXdDS-8201)が奏効率と全生存期間(OS)を有意に改善できることが明らかとなった。無作為化多施設オープンラベルフェーズ2試験であるDESTINY-Gastric01試験で、主要評価項目が達成された。5月29日から31日までVirtual形式で開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2020)で、国立がん研究センター東病院の設樂紘平氏によって発表された。

 DESTINY-Gastric01試験は、トラスツズマブを含む2つ以上の前治療を受けたHER2陽性(保存検体でIHC3+またはIHC2+/IHC+)の再発・進行胃癌または胃食道接合部腺癌患者を対象に、日本と韓国で行われたフェーズ2試験。T-DXdを投与する群(T-DXd群、3週おきに6.4 mg/kgを投与)と医師選択治療群(イリノテカンかパクリタキセル)に患者を2対1で割り付けて実施された。層別因子は地域、ECOG PS(0か1)、HER2の状態だった、主要評価項目は、独立中央判定による未確定奏効率。副次評価項目は、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、安全性だった。

 T-DXd群で125人、医師選択治療群で62人(イリノテカン55人、パクリタキセル7人)が投薬を受けた。両群の患者背景に大きな差はなかった。治療歴数中央値は2(2-9)で、全員がトラスツズマブの投与を受けていた。タキサン系抗癌薬の投与歴があったのは85.6%、ラムシルマブの投与歴があったのは72.2%、免疫チェックポイント阻害薬の投与歴があったのは32.6%だった。データカットオフ時点(2019年11月8日)で、T-DXd群の22.4%、医師選択治療群の4.8%で投薬が継続されていた。

 試験の結果、未確定奏効率は、T-DXd群が51.3%(95%信頼区間:41.9-60.5)で、119人中61人で奏効が認められ、CRが11人だった。医師選択治療群が14.3%(95%信頼区間:6.4-26.2)、56人中8人で奏効が認められ、CRはなく、有意にT-DXd群が高かった(p<0.0001)。確定奏効率もT-DXd群が42.9%(95%信頼区間:33.8-52.3)、医師選択治療群が12.5%(95%信頼区間:5.2-24.1)で、T-DXd群が高かった。確定DCRは、T-DXd群が85.7%(95%信頼区間:78.1-91.5)、医師選択治療群が62.5%(95%信頼区間:48.5-75.1)で、T-DXd群が高かった。奏効期間中央値は、T-DXd群が11.3カ月(95%信頼区間:5.6-NE)、医師選択治療群が3.9カ月(95%信頼区間:3.0-4.9)だった。T-DXd群において持続的な奏効が認められていた。

 OS中央値は、T-DXd群が12.5カ月、医師選択治療群が8.4カ月、ハザード比0.59(95%信頼区間:0.39-0.88)、p=0.0097で、事前に規定されたp値の0.0202を下回り、有意にT-DXd群が長かった。6カ月OS率は、T-DXd群が80.3%、医師選択治療群が66.4%だった。12カ月OS率は、T-DXd群が52.1%、医師選択治療群が28.9%だった。OSのカプランマイヤー曲線は3カ月目頃から離れ始めていた。

 PFS中央値は、T-DXd群が5.6カ月(95%信頼区間:4.3-6.9)、医師選択治療群が3.5カ月(95%信頼区間:2.0-4.3)、ハザード比0.47(95%信頼区間:0.31-0.71)だった。6カ月PFS率は、T-DXd群が42.8%、医師選択治療群が20.6%、12カ月PFS率は、T-DXd群が29.9%、医師選択治療群が0%だった。PFSのカプランマイヤー曲線は早期から離れ始めていた。

 奏効率とOSのサブグループ解析は、一般的にT-DXd群が優位だった。

 治療中止につながった治療中の副作用発現率は、T-DXd群が15.2%、医師選択治療群が6.5%、中断につながったのは、T-DXd群が62.4%、医師選択治療群が37.1%で、T-DXd群の方が多かったが、減量につながった副作用発現率は、T-DXd群が32.0%、医師選択治療群が33.9%で同等だった。グレード3以上の副作用で多く認められたのは、好中球減少症(T-DXd群が51.2%、医師選択治療群が24.2%)、貧血(T-DXd群が37.6%、医師選択治療群が22.6%)、白血球数減少(T-DXd群が20.8%、医師選択治療群が11.3%)だった。12人(9.6%)で、T-DXd関連の間質性肺炎(ILD)が起きたが、グレード3は2人、グレード4は1人でグレード5はなかった。治療関連死がT-DXd群で1人認められたが、非ILDの肺炎によるものだった。

 なお、今回の試験結果は、The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE誌に同時掲載された。進行胃癌に対する結果が同誌に掲載されたのは久しぶりのことになる。

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