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2020/05/25

HER2陽性転移性乳癌へのneratinibとカペシタビン併用のPFS延長効果はHER2発現が多い患者で高い【ESMO Breast2020】

横山勇生=編集委員

 2レジメン以上の抗HER2療法を受けたHER2陽性転移性乳癌に対する不可逆的pan-HER チロシンキナーゼ阻害薬neratinibとカペシタビンの併用療法の無増悪生存期間(PFS)延長効果は、HER発現がより多い患者でラパチニブとカペシタビンの併用療法よりも高いことが明らかとなった。neratinibとカペシタビンの併用療法とラパチニブとカペシタビンの併用療法を比較したフェーズ3試験であるNALA試験のバイオマーカー解析の結果示された。また、ホルモン受容体(HR)が陰性の患者でneratinib+カペシタビンのPFS延長効果が強くなること、NALA試験の参加者全体ではPIK3CA変異があるとPFSが短くなる傾向もあった。

 5月23日と24日に開催されたESMO Breast Cancer Virtual Meeting 2020(ESMO Breast2020)で、スペインVall d'Hebron University HospitalのCristina Saura Manich氏によって発表された。

 NALA試験は、HER2陽性転移性乳癌で、2レジメン以上の抗HER2療法を受けた患者を対象に行われた。無症候性および安定した脳転移を有する患者も含まれた。neratinib+カペシタビン群とラパチニブ+カペシタビン群に1:1の割合で患者割り付けを行った。試験の結果、neratinib+カペシタビン群がラパチニブ+カペシタビン群よりも無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、昨年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)で発表されていた(関連記事)。PFSのハザード比は0.76(95%信頼区間:0.63-0.93)、p=0.0059だった。

 今回発表されたのは、NALA試験に参加した患者について、バイオマーカー(PIK3CA変異、ERBB2変異、HER2蛋白発現、HR受容体の状態)とPFSとの関連を調べた結果。

 PIK3CA変異、ERBB2変異は、420検体についてNGSを用いて調べられた。検査結果は、ddPCRを用いて確認された。HER2蛋白発現は中央検査で、免疫組織化学染色(IHC)、H-score、HERmarkアッセイの3種類の方法で調べられた。HRはIHCで調べられた。サブグループのハザード比は、未層別化コックス比例ハザードモデルを用いて推定された。

 解析の結果、PIK3CA変異は34%(420件中143件)、ERBB2変異は5.5%(420件中23件)で認められた。PIK3CA変異は、全体としてPFSの短縮と関連していた。野生型の変異型に対するハザード比は0.809(95%信頼区間:0.638-1.030)、p=0.0791だった。野生型と変異型で、neratinib+カペシタビン群とラパチニブ+カペシタビン群の効果に差はなかった。

 ERBB2変異は件数が少ないが、PFSが良くなる傾向があり、野生型の変異型に対するハザード比は1.686(95%信頼区間:0.967-3.288)、p=0.0855だった。野生型と変異型で、neratinib+カペシタビン群とラパチニブ+カペシタビン群の効果に差はなかった。

 3つ全ての測定系で、HER2蛋白がより多く発現することは全体としてPFSが良好になることと関連していた。IHC3+の患者のIHC2+の患者に対するハザード比は0.665(95%信頼区間:0.544-0.817)、p<0.0001、H-scoreが中央値より上の患者の下の患者に対するハザード比は0.765(95%信頼区間:0.633-0.925)、p=0.0053、HERmarkアッセイでequivocalと判定された患者の陽性患者に対するハザード比は1.415(95%信頼区間:1.025-1.911)、p=0.0060、陰性患者の陽性患者に対するハザード比は1.321(95%信頼区間:1.023-1.688)、p=0.0120だった。

 いずれのHER2蛋白測定方法においてもHER2高発現患者においては、neratinib+カペシタビン群がラパチニブ+カペシタビン群よりもPFSを延長していた。IHC3+の患者においてはハザード比0.64(95%信頼区間:0.51-0.81)、H-scoreが中央値より上の患者においてはハザード比0.54(95%信頼区間:0.41-0.72)、HERmarkアッセイで陽性患者においてはハザード比0.65(95%信頼区間:0.50-0.84)だった。

 HR陽性患者においては、neratinib+カペシタビン群とラパチニブ+カペシタビン群の効果に差はなく、HER2蛋白が高発現の患者に限っても差はなかった。HR陰性患者は、全体としてneratinib+カペシタビン群で効果が高く、ハザード比0.42(95%信頼区間:0.31-0.57)だった。また、HER2が高発現の患者で有意にneratinib+カペシタビン群のPFS延長効果が高かった。

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