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2020/04/28

原発性乳癌で診断時のESR1遺伝子変異は術後内分泌療法の選択に役立つ可能性【AACR2020】

八倉巻尚子=医学ライター

 早期の原発性乳癌においてESR1遺伝子変異の頻度は低いが、ESR1遺伝子変異は内分泌療法への抵抗性と予後不良につながる可能性が、大規模な前向き観察研究(SCAN-B study)における解析で示唆された。4月27日と28日にバーチャルミーティングとなったAmerican Association for Cancer Research Annual Meeting(AACR2020)で、スウェーデンLund UniversityのMalin Dahlgren氏らが発表した。

 エストロゲン受容体(ER)をコードするESR1遺伝子の変異は内分泌療法に対する耐性メカニズムとして知られている。内分泌療法に抵抗性を示す転移を有する乳癌において、ESR1遺伝子変異は12-55%に認められる(Nat Genet. 2013;45:1439-45/ Nat Genet. 2013;45:1446-51)が、原発性乳癌では少なく、TCGA(The Cancer Genome Atlas)では0.8%であった。またESR1遺伝子では少なくとも62種類の変異(E380Q、D538Gなど)が同定されている。

 住民ベースの前向き観察研究SCAN-B study(NCT02306096)に参加した原発性乳癌3217人を対象に、原発性乳癌におけるESR1遺伝子変異の頻度、予後や内分泌療法の効果との関連性が検討された。初回診断時に組織を採取し、RNAシークエンス解析でESR1遺伝子変異の有無を調べた。また腫瘍DNAでも検証した。

 3217人の年齢中央値は64歳(24-96歳)で、腫瘍径中央値は17mm、ER陽性が85%を占め、HER2陽性が13%、内分泌療法を受けた患者が78%だった。

 この結果、ESR1遺伝子変異は原発性乳癌全体において30人(0.9%)に認められ、このうち29人はER陽性であった。ER陽性乳癌に限ると、ESR1遺伝子変異は1.1%に見られた。内分泌療法を受けていた患者グループでは1.2%に見られた。もっとも多い遺伝子変異はE380Qであった。

 内分泌療法を受けた患者グループにおいて、ESR1遺伝子変異型の患者(27人)は、ESR1遺伝子野生型の患者(2456人)に比べて、全生存期間 (OS)は有意に下回った(p=0.008)。またESR1遺伝子変異型の患者は無再発期間(RFI)も有意に短かった(p=0.007)。
 
 多変量解析でESR1遺伝子変異を年齢や腫瘍径などで調整したところ、OSの有意な不良因子であった(ハザード比2.1-2.6)。RFIにおいても有意な不良因子だった(ハザード比3.6-4.5)。

 以上の結果から、原発性乳癌においてESR1遺伝子変異は稀であるが、診断時のESR1遺伝子変異は術後補助療法としての標準的な内分泌療法への抵抗性を予測できる可能性があるとした。このためER陽性の原発性乳癌ではESR1遺伝子のスクリーニングは術後補助療法の選択に役立つだろうとしている。

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