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2020/02/15

限局性前立腺癌で寡分割照射(60Gy/20回)は通常分割照射に非劣性を示す、8年観察の結果【ASCO GU2020】

八倉巻尚子=医学ライター

 限局性前立腺癌の放射線療法として、標準的な分割照射(74Gy/37回)に対し、寡分割照射(60Gy/20回)は非劣性を示すことが、多施設ランダム化フェーズ3のCHHiP試験の8年間観察結果から明らかになった。英国Institute of Cancer Research / The Royal MarsdenのDavid P. Dearnaley氏らが、2月13日から15日まで米サンフランシスコで開催されているGenitourinary Cancers Symposium(ASCO GU2020)で発表した。

 CHHiP試験は、限局性前立腺癌に対する寡分割照射の有効性と安全性を検証するための試験。5年間の結果では、中等度の寡分割照射(60Gy/20回)は通常の照射スケジュールである74Gy/37回に対して非劣性であることが示されている(Lancet Oncology 2016)。中等度寡分割照射は現在、国際的に標準治療となっているが、再発リスクはあるため長期的な治療成績が求められていた。

 試験には2002年10月から2011年6月までに、臨床病期T1b-T3aN0M0の限局性前立腺癌で精嚢転移のリスクが30%以下、PSA30ng/mL以下の患者3216人が登録された。74Gyを37回(7.4週)で分割照射する群と60Gyを20回(4週)および57Gyを19回(3.8週)で分割照射する群に1:1:1の割合でランダム化した。アンドロゲン遮断療法は、放射線療法の少なくとも3カ月前から開始し、放射線療法終了まで継続した。

 主要評価項目は、生化学的再発までの期間または臨床的再発までの期間とした。試験は非劣性を検証するデザインで、74Gy/37回照射に対して2つの寡分割照射におけるハザード比は信頼区間の上限が1.208とした。Cox回帰分析は年齢、NCCNリスク分類、グリーソンスコア、臨床病期(Tステージ)、ホルモン療法前のPSA値で調整した。

 観察期間中央値は9.3年だった。この結果、主要評価項目のイベントは643人に認められ、8年無イベント率は74Gy/37回群では80.6%(95%信頼区間:77.9-83.0)で、60Gy/20回群は83.7%(95%信頼区間:81.2-85.9)、57Gy/19回群は78.5%(95%信頼区間:75.8-81.0)だった。74Gy/37回群に対する調整ハザード比は60Gy/20回群では0.85(90%信頼区間:0.72-1.01)、p=0.11で非劣性が確認された。57Gy/19回群では調整ハザード比1.17(90%信頼区間:1.00-1.36)、p=0.10で非劣性は示されなかった。

 年齢別に、75歳未満では8年無イベント率は74Gy/37回群では81.2%(95%信頼区間:78.3-83.8)で、60Gy/20回群は83.2%(95%信頼区間:80.5-85.6)、57Gy/19回群は78.0%(95%信頼区間:75.0-80.6)だった。74Gy/37回群に対する調整ハザード比は60Gy/20回群では0.90(95%信頼区間:0.73-1.11)、p=0.35、57Gy/19回群では調整ハザード比1.25(95%信頼区間:1.02-1.52)、p=0.03だった。

 75歳以上では8年無イベント率は74Gy/37回群が77.1%(95%信頼区間:68.9-83.3)で、60Gy/20回群は86.7%(95%信頼区間:79.1-91.7)、57Gy/19回群は81.6%(95%信頼区間:74.0-87.1)だった。60Gy/20回群の調整ハザード比0.48(95%信頼区間:0.27-0.88)、p=0.03、57Gy/19回群では0.77(95%信頼区間:0.48-1.26)、p=0.31だった。このため長期の観察で寡分割照射は75歳以上の患者で効果が認められるとした。

 8年時点の無遠隔転移率は74Gy/37回群では95.6%(95%信頼区間:94.0-96.7)、60Gy/20回群は95.3%(95%信頼区間:93.7-96.4)、57Gy/19回群は94.8%(95%信頼区間:93.2-96.0)で、3群に有意な差はなかった。

 全生存期間(OS)について、74Gy/37回群では19%、60Gy/20回群は16%、57Gy/19回群は18%で死亡が認められた。8年生存率は74Gy/37回群では85.9%(95%信頼区間:83.6-87.9)、60Gy/20回群は88.6%(95%信頼区間:86.5-90.4)、57Gy/19回群は86.7%(95%信頼区間:84.5-88.7)だった。OS調整ハザード比は60Gy/20回群は0.84(95%信頼区間:0.68-1.03)、p=0.10、57Gy/19回群は0.98(95%信頼区間:0.81-1.20)、p=0.88で、どちらも有意な違いはなかった。

 臨床医による評価の晩期毒性は群間でほぼ同じであった。5年時点でRTOGグレード2以上の腸管毒性は74Gy/37回群で1.6%、60Gy/20回群は2.0%、57Gy/19回群が1.9%だった。RTOGグレード2以上の膀胱毒性は1.9%と1.5%、1.9%に認められた。患者報告でも中等度以上の副作用に有意な違いはなかった。腸管の副作用は74Gy/37回群で5.4%、60Gy/20回群は7.6%、57Gy/19回群が5.3%だった。尿路の副作用は6.7%と9.3%、7.9%だった。

 以上の結果から、長期の観察で60Gy/20回照射の74Gy/37回照射に対する非劣性が確認され、晩期毒性は3群とも低かったことから、限局性前立腺癌に対する標準治療として60Gy/20回照射の使用を支持できるものであるとした。また57Gy/19回照射は75歳以上の患者におけるオプションになるとした。

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