このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

News ニュース

ニュース一覧へ

新着一覧へ

ニュース

2020/01/28

切除不能転移を有する大腸癌で原発巣切除を先行しても生存改善は認められず【ASCO GI2020】

八倉巻尚子=医学ライター

 原発巣による症状がなく切除不能転移を有する大腸癌において、化学療法に先行して原発巣切除を行うことは、標準である化学療法単独に比べて生存を改善しないことが、フェーズ3試験のJCOG1007試験iPACS)で明らかになった。1月23日から25日まで米サンフランシスコで開催された2020 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI2020)で、国立がん研究センター中央病院大腸外科の金光幸秀氏らが発表した。

 同時性切除不能転移癌を有する大腸癌患者で原発巣による症状がない場合に、原発巣切除を先行することの意義は明らかでなかった。そこで原発巣による症状のない治癒切除不能ステージ4大腸癌において、原発巣切除+化学療法の化学療法単独に対する優越性を検証する無作為化対照試験JCOG1007が実施された。

 対象は、結腸および上部直腸腺癌で、cT1から他の臓器への浸潤がないT4、切除不能の要因(肝臓、肺、遠隔リンパ節、腹膜への転移)が1つ以上3つ以下、20-74歳、腸閉塞症状がない、活動性の出血もしくは腸穿孔・瘻孔形成がない、PS 0-1の患者とした。患者を原発巣切除後に化学療法を行う群と化学療法のみを行う群に無作為に1:1に割り付けた。化学療法レジメンは、mFOLFOX6+ベバシズマブ、CapeOX+ベバシズマブであった。患者は施設、原発巣の位置、PS、性別で層別化された。主要評価項目は全生存期間(OS)であった。計画されたサンプルサイズは各群140人、片側αは5%、検出力は70%で、2群のOS中央値は化学療法単独群24カ月、原発巣切除+化学療法群32カ月で、その差は8カ月と設定された。

 2012年6月から2019年4月に160人が登録された。最初の中間解析(データカットオフは2019年6月)で、原発巣切除+化学療法群の生存曲線は化学療法単独群を下回ることから、効果安全性評価委員会(DSMC)は早期の無効中止を勧告し、患者集積は2019年9月に中止された。

 化学療法単独群が82人、原発巣切除+化学療法群が78人で、2群の患者背景はバランスがとれていた。観察期間中央値は22.0カ月だった。解析の結果、OS中央値は原発巣切除+化学療法群で25.9カ月(95%信頼区間:19.9-31.5)、化学療法単独群で26.7カ月(95%信頼区間:21.9-32.5)、ハザード比1.10(95%信頼区間:0.76-1.59)、片側検定p=0.69で、有意な差がなかった。無増悪生存期間(PFS)中央値は原発巣切除+化学療法群で10.4カ月(95%信頼区間:8.6-13.4)、化学療法単独群で12.1カ月(95%信頼区間:9.4-13.2)、ハザード比1.08(95%信頼区間:0.77-1.50)であった。

 原発巣切除+化学療法群で、原発巣切除は74人(95%)に施行され、開腹手術が41人(55%)だった。術後合併症による原発巣切除後の治療関連死亡は3人だった。術後合併症はグレード3/4が15人(20%)、グレード4が2人(3%)だった。

 化学療法に関する有害事象は、血液毒性の頻度は2群で変わらなかったが、原発巣切除+化学療法群で感覚異常、高血圧、下痢、神経障害が多かった。グレード2以上の非血液毒性が化学療法単独群は84%、原発巣切除+化学療法群は95%で、グレード3/4が36%と49%、グレード4が1%と3%であった。

 化学療法が奏効してR0切除が施行できた患者は、化学療法単独群で4人(5%)、原発巣切除+化学療法群は2人(3%)だった。また緩和手術が化学療法単独群で11人(13%)に施行された。

 これらの結果から、原発巣による症状がなく切除不能転移を有する大腸癌において、化学療法前の原発巣切除は生存を改善せず、化学療法による有害事象の頻度は高くより重度であったとした。このため原発巣による症状がない切除不能ステージ4大腸癌患者に対しては、化学療法が標準治療であり、原発巣切除は勧められないとした。

この記事を友達に伝える印刷用ページ