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2019/12/15

術前治療後の遺残癌の量や状態は乳癌サブタイプ別の予後を予測する、大規模プール解析の結果【SABCS2019】

八倉巻尚子=医学ライター

 術前治療後の遺残癌の量や状態を示すRCBインデックスは、無イベント生存(EFS)や無遠隔転移生存(DRFS)などの予後の予測因子として、乳癌サブタイプ別においても有用であることが、5000人以上のデータをプール解析した研究で明らかになった。米University of Texas MD Anderson Cancer CenterのW. Fraser Symmans氏らが、12月10日から14日まで米サンアントニオで開催されたSAN ANTONIO BREAST CANCER SYMPOSIUM(SABCS2019)で発表した。

 術前治療後の病理学的完全奏効(pCR)は予後予測因子であることが知られている。RCB(Residual cancer burden)インデックスは、遺残した腫瘍床の最大径と直行する長さによる面積、腫瘍床の浸潤癌の割合と非浸潤癌の割合、リンパ節転移個数とリンパ節転移巣の最大径を組み合わせてスコアを計算し、3段階(RCBⅠからⅢ)にクラス分けされる。

 研究では米国や英国などの施設や臨床試験グループによる12のデータから、RCBインデックスに加えて、臨床ステージや病理学的ステージ、腫瘍のサブタイプ、グレード、治療状況を収集した。RCBインデックスの算出にはMD Anderson Cancer Centerのホームページで提供された計算プログラムが用いられた。

 合計で5328人のデータが収集され、最終的に5161人のデータを解析した。ホルモン受容体(HR)陰性HER2陰性は1774人、HR陰性HER2陽性は572人、HR陽性/HER2陽性は858人、HR陽性/HER2陰性は1957人だった。フォローアップ期間中央値56カ月で、EFSイベントは1164人、DRFSイベントは1072人だった。またRCB-0(pCR)は1676人、RCB-Iが662人、RCB-IIが2017人、RCB-IIIは806人であった。

 解析の結果、RCBインデックスによってEFS、DRFSは異なることが確認され、術前治療後の病理学的ステージ別でも同様だった。またRCBインデックスの増加に伴うハザード比が、EFSでは1.82(95%信頼区間:1.73-1.91)、DRFSは1.86(同:1.76-1.97)だった。

 サブタイプ別には、EFSハザード比は、HR陽性/HER2陰性で1.55(95%信頼区間:1.41-1.71)、HR陽性/HER2陽性では1.71(同:1.51-1.94)、HR陰性/HER2陽性は2.16(同:1.79-2.61)、HR陰性/HER2陰性では1.98(同:1.82-2.15)だった。DRFSハザード比は、HR陽性/HER2陰性で1.55(95%信頼区間:1.4-1.72)、HR陽性/HER2陽性で1.87(同:1.63-2.15)、HR陰性/HER2陽性では2.10(同:1.76-2.5)、HR陰性/HER2陰性においては2.02(同:1.84-2.21)だった。

 HR陰性/HER2陰性では、RCBインデックスによって予後は大きく異なり、pCRに比べてRCBインデックスの増加に伴いEFSイベント発生率も増加することが示された。RCB-0(pCR)では、5年EFS率が91%(95%信頼区間:88-93)、10年EFS率が86%(同:81-90)。RCB-Iでは、80%(95%信頼区間:74-86)と75%(同:68-83)。RCB-IIでは66%(95%信頼区間:62-70)と61%(同:57-66)。RCB-IIIでは、28%(95%信頼区間:22-35)と25%(同:19-33)だった。

 HR陰性/HER2陽性においては、HER2に対する術前治療を行った場合に、RCB-0では、5年EFS率が94%(95%信頼区間:91-97)、10年EFS率が93%(同:89-96)。RCB-Iでは、85%(95%信頼区間:76-96)と85%(同:76-96)。RCB-IIでは63%(95%信頼区間:52-75)と63%(同:52-75)。RCB-IIIでは、60%(95%信頼区間:42-86)と60%(同:42-86)だった。

 HR陽性/HER2陽性では、HER2に対する術前治療を行った場合に、RCB-0では、5年EFS率が94%(95%信頼区間:91-97)、10年EFS率が91%(同:86-97)。RCB-Iでは、91%(95%信頼区間:85-96)と83%(同:75-92)。RCB-IIでは76%(95%信頼区間:70-82)と64%(同:56-73)。RCB-IIIでは、54%(95%信頼区間:40-71)と45%(同:28-70)だった。

 HR陽性/HER2陰性において、RCB-0では、5年EFS率が88%(95%信頼区間:83-93)、10年EFS率が81%(同:73-91)。RCB-Iでは、91%(95%信頼区間:86-95)と86%(同:80-93)。RCB-IIでは80%(95%信頼区間:78-83)と69%(同:66-73)。RCB-IIIでは、71%(95%信頼区間:67-76)と52%(同:46-59)だった。

 多変量解析の結果、EFSに対して、RCBインデックスによるハザード比がHR陰性HER2陽性で2.04と高く、HR陰性HER2陰性で1.93、HR陽性HER2陽性で1.67、HR陽性HER2陰性で1.52だった。またすべてのサブタイプでT4ステージのハザード比が高かった。

 以上の結果から、RCBインデックスは予後との関連性が認められ、乳癌の各サブタイプにおいて、独立した予後因子であるとした。

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