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2019/12/15

低リスク早期乳癌の乳房温存術後に加速乳房部分照射は全乳房照射と再発・生存に有意差を認めず、P3の10年追跡結果【SABCS2019】

八倉巻尚子=医学ライター

 早期乳癌に対する乳房温存手術後の放射線治療として、低リスク患者において加速乳房部分照射全乳房照射と比べて、再発や生存に有意な差はないことが、ランダム化フェーズ3試験APBI IMRT Florence試験の10年間フォローアップの結果で明らかになった。イタリアUniversity of FlorenceのIcro Meattini氏らが、12月10日から14日まで米サンアントニオで開催されたSAN ANTONIO BREAST CANCER SYMPOSIUM(SABCS2019)で発表した。

 ASTROとESTROのガイドラインでは、乳房部分照射の適応として、50歳以上、切除断端2mm以上、pN0、pTis-T1もしくはT1-2としている。また乳房部分照射に関する最近の報告では、低リスク患者における同側乳房内再発(IBTR)割合は低下してきている。

 試験は、早期乳癌で乳房温存手術を受け、病理学的に腫瘍径が25mm未満、切除断端5mm以上、40歳超の患者を、強度変調放射線治療(IMRT)を用いた加速乳房部分照射(APBI)群もしくは三次元原体照射(3DCRT)を用いた通常分割全乳房照射(WBI)群に1:1で割り付けた。APBI群では腫瘍床に30Gy/5回の照射を行った。WBI群では50Gy/25回の照射を行い、その後、腫瘍床に10Gy/5回の追加照射(ブースト照射)を行った。

 主要評価項目は、同側乳房内再発(IBTR)割合で、副次評価項目は、全生存期間(OS)と乳癌特異的生存期間 (BCSS)、対側の乳癌(CBC)、急性期・晩期毒性、整容性などであった。

 2005年から2013年までに520人が登録し、APBI群は260人、WBI群は260人だった。IMRTによるAPBIでは、外科用クリップを目印に、CTV(臨床標的体積)は外科用クリップ位置+1cm、PTV(計画標的体積)はCTV+1cmとした。またリスク臓器について、対側の肺は5Gy以上照射される肺の体積(V5)は10%未満に、同側の肺はV10が20%未満、心臓にはV3が10%未満と設定した。

 2群の患者背景は、年齢や腫瘍サイズ、グレード、腫瘍タイプに大きな違いはなかった。50歳以上がAPBI群84.2%、WBI群は82.7%で、グレード1-2が90.0%と87.3%、pT1が85.8%と81.9%、リンパ節転移陰性が89.2%と81.9%、エストロゲン受容体(ER)陽性が95.4%と95.8%、ルミナールA/Bが94.9%と92.8%、全身治療を受けていない患者は35.8%と28.8%であった。

 解析の結果、2群のIBTR割合に有意な違いはなかった。APBI群では10年間にIBTRイベントは9人で、10年IBTR割合は3.9%、WBI群ではIBTRイベントは6人で、10年IBTR割合は2.6%だった。WBI群に対するAPBI群のハザード比は1.57(95%信頼区間:0.56-4.41)、p=0.39であった。

 局所領域の再発(LRR)は、10年LRR割合はAPBI群3.9%、WBI群3.0%で、ハザード比が1.34(95%信頼区間:0.50-3.59)、p=0.56であった。遠隔転移(DM)は、10年DM割合はAPBI群3.1%、WBI群も3.1%で、ハザード比が1.03(95%信頼区間:0.36-2.94)、p=0.95であった。

 乳癌特異的生存期間(BCSS)も有意差がなく、10年BCSS割合がAPBI群97.6%、WBI群97.5%で、ハザード比0.87(95%信頼区間:0.26-2.86)、p=0.82だった。OSに関しても有意差がなかった。10年生存割合がAPBI群92.7%、WBI群93.3%で、ハザード比0.99(95%信頼区間:0.49-2.00)、p=0.97であった。

 対側乳癌(CBC)は、10年間でAPBI群では2人(0.9%)、WBI群には8人 (3.5%) に見られ、ハザード比は0.07(95%信頼区間:0.06-1.24)、p=0.39となった。

 有害事象は、急性期の皮膚毒性が全グレードでAPBI群では21.1%、WBI群は66.5%だった(p=0.0001)。晩期の皮膚毒性がAPBI群では4.5%、WBI群は30.0%だった(p=0.0001)。

 整容性について、4段階で評価するHarvard Breast Cosmesis Scale(Excellent、Good、Fair、Poor)を用いた結果、APBI群で良好だった。医師の評価でExcellentがAPBI群では95.5%、WBI群は76.5%、Goodが4.5%と26.9%、Fairが0%と1.9%だった(p=0.0001)。患者評価ではExcellentがAPBI群では17.9%、WBI群は5.4%で、Goodが81.3%と84.6%、Fairが0.8%と15.4%だった(p=0.0001)。

 以上の結果から、IMRTによるAPBIを受けた早期乳癌患者において10年後のIBTR割合は低く、WBIによる治療を受けた患者と有意な違いはなかったとした。またLRRやDM、CBC、BCSS、OSも同程度で、急性期および晩期毒性、整容性はAPBI群のほうが優れていたことから、低リスクの早期乳癌患者において、APBIはWBIに代わる標準治療として考慮すべきだろうとしている。

 また最近の報告では、RAPID試験で8年IBTR割合はAPBI群3.0%とWBI群2.8%(Whelan T, et al. Lancet 2019)、NSABP B39/RTOG 0413試験では10年累積IBTR割合はAPBI群4.6%とWBI群3.9%であった(Vicini F, et al. Lancet 2019)。ただしASTROとESTROのガイドラインにおける乳房部分照射の適応は重要で、閉経後、ER陽性、リンパ節転移陰性、pT1の乳癌患者において乳房部分照射は考慮するとした。

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