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2019/10/29

NRG1融合遺伝子陽性固形癌に抗HER2/HER3特異性抗体MCLA-128が有効である可能性【AACR-NCI-EORTC2019】

横山勇生=編集委員

 NRG1(neuregulin1)融合遺伝子を有する固形癌に、HER2/HER3を標的とした2特異性抗体であるMCLA-128が有効である可能性が明らかとなった。NGSでNRG1融合遺伝子が同定された患者にMCLA-128を投与したところ、3人全員で腫瘍縮小効果が認められた。10月26日から30日まで米ボストンで開催されているAACR-NCI-EORTC International Conference on Molecular Targets and Cancer Therapeutics(AACR-NCI-EORTC2019)で、米Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSK)のAlison Schram氏によって発表された。

 発表された結果は、米食品医薬品局(FDA)によって認められたアクセス拡大プログラムの一部として行われたもの。この結果を基に、NRG1融合遺伝子陽性腫瘍を持つ患者を対象に、世界的な多施設バスケット型フェーズ2試験が行われているという。

 NRG1融合遺伝子は各種の固形癌の1%未満に発生していると考えられている。MCLA-128は、NRG1融合遺伝子とHER3が結合することを阻害し、さらにHER3とHER2の相互作用を妨げることで効果を発揮すると考えられている。

 NGSで同定された29人(膵癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、胆嚢癌、肉腫、リンパ腫など)のうち、3人に2週おきに750mgのMCLA-128が静脈内投与された。その結果、全員で有意な腫瘍縮小が認められた。

 3人のうち1人は、肝転移を有する進行膵管腺癌患者だった。MCLA-128の投与によって、腫瘍マーカーであるCA19-9値が262単位/mLから50単位/mLに減少した。また、8週時点の画像診断で腫瘍の直径が44%減少し、次の画像診断でさらに54%減少、RECISTv1.1による評価で部分奏効となった。最初の投薬後数週間で患者の倦怠感が改善し、体重が戻り始めたという。

 もう1人は肝転移を有する進行膵管腺癌患者で、MCLA-128の投与によって、CA19-9値が418単位/mLから11単位/mLに減少した。また、6週時点の画像診断で腫瘍の直径が22%減少し、次の画像診断で25%減少していた。RECISTv1.1による評価では病勢安定となった。治療で患者が訴えていた腫瘍関連の腹痛が収まったという。

 最後の1人は脳転移を有する非小細胞肺癌患者で、チロシンキナーゼ阻害薬であるアファチニブを含む6ラインの治療歴があった患者だった。MCLA-128の投与によって、腫瘍は33%縮小し、次の画像診断で41%減少した。RECISTv1.1による評価では部分奏効となった。

 3人とも現在も投薬が継続されている。

 NRG1融合遺伝子の検索を行わずMCLA-128を投与された117人の結果から、忍容性が認められている。ほとんどの薬剤関連が疑われる副作用はグレード1/2で、グレード3の副作用は5%以下、グレード4はなかった。重篤な胃腸系の毒性や皮膚毒性はなく、循環器系の副作用もなかった。

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